異世界の裏口

千代子レイ子

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35 花のいない裏では……

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 花が引っ越しに翻弄している間、カメリアは『王家の鈴蘭2』の情報を引き続き探していた。

 城に行っている間はルーベンスが行っていたがやはり芳しくないらしい。

「あの始めに見た感想も無くなってる……。コピーしてとっといて良かったわ。それにしても変ね」

 そうして諦めかけた時『王家の鈴蘭2』を実況動画としてアップしているものを見つけた。カメリアは複雑な事は出来ない為、側にメモ用紙を置いて必要事項を書き出すことにした。



 再生リストからまとめて動画を見終わるとカメリアはルーベンスが置いたソファーに寝転がった。

 (消える恐れがあるから絶え間なく続けて見たけど、中々疲れるわね……。お陰で成果は得られたけど、今日はもうこれ以上は無理だわ。)

 そのまま寝てしまったカメリアはルーベンスに起こされるまで爆睡していたようだ。

「カメリア。こんなところで寝ていたら風邪を引くぞ?」
「……お兄様? …………!! い、今、何時ですか?!」
「? 6時だ」
「6時?!! そんなに寝てしまったの?!!」

 慌てて外を見ると太陽がちょうど沈みそうな角度だった。

「……彼方は西側……ということは朝じゃなくて夜? 18時? なんだ紛らわしい事を……」
「18時? 何だそのよく分からない時間帯は? 18分の間違えかい?」

 (!! …………そうよ。こっちでは午前も午後も12時で一旦区切って読むから12時以降の時間帯は基本続けて読まないのよね。寝ぼけてたわ)

 そんな前世と今世の違いを考えていたら、ふと時間の進み具合の疑問が頭をよぎった。

 (なんで思い付かなかったのかしら。こちらの時間と向こうの時間が同じだって……花ちゃんが何も言わないから同じだと勝手に思ってたけど、これは調べないと……)

「カメリア?」
「ちょっと調べさせて……」

 起き抜けにパソコンを起動するカメリアに不思議な顔をしながらも画面を見ると日時設定画面検索をかけていた。

「日時が知りたいのか?」
「えぇ。今日の日付と時間を表示したいの」
「別に検索しなくても出来るぞ」

 ルーベンスはカメリアからパソコンを奪うとすぐに日時を表示してくれた。

「…………2005年……」
「?」

 この『王家の鈴蘭』は発売が2020年だった。どういう仕組みか分からないが、このパソコンが2005年から情報を引き出しているなら見つかるわけがない。

 (どういうこと? これじゃあ初期の情報もないはずだわ。でもこの前まではちゃんと初期と2の話は出ていたのに……)


 ー歪みー

 何故か頭に浮かんだ言葉が全身を凍らせた。花の存在が原因なのか? もう会えないと思っていた大切な孫とまた生活出来る喜びにあまり深く考えなかった。

「カメリア?」
「……このゲームは発売が2020年でした。しかしこのパソコンに表示されている数字は2005年です。パソコン表示がおかしいのならいいのですが違いますよね?」
「…………」
「お兄様?」

 ルーベンスはパソコンをスリープモードにするとそのまま静かにカメリアへ語る

「そうだ。このパソコンは時間を移動している。過去と3年後の未来をランダムに移動している状態だ」
「何故分かったのですか?」
「私は花様からこれを授かってからすっかり虜になったんだよ。おかしいと直ぐに気付いさ」
「なら何故すぐに仰らなかったの!」
「私の株取引は違法だろう?」

 (……そうか……未来から過去に戻って情報を入手すれば億万長者になれるわ……)

「私が優秀だとしてもここまでの大金を一気に稼ぐことなど普通は出来ないよ」
「……なら何故今回のゲームの話でそれを話さなかったのですか? 株取引の心苦しさからですか?」
「確かにそれもあるが、確証もなしに不安を煽るのはよくないだろ?」
「……そうですね」
「だからまずは分かることから少しずつ始めようと思う」



 本棚から1の設定資料集と言う名の画集を取り出し、先程メモ書きした物と攻略日記のコピーを簡易テーブルに置いた。

「1は正直私がこのゲーム通りに動いてないので話がどこまで進んだのかはっきり言えませんが、大体の時点はわかります」
「1のバットエンドはないはずだ。宰相は娘を溺愛しているし、他の者は全員国外か牢屋で死刑待ちになっている」
「では、2の始まりを見ましょうか」
「……これがよく分からない。導入の比喩が多すぎて何を言っているのか理解出来ない。まるで古語を読解するような気分になる」
「お兄様でもやはり分かりませんか……」

 そう不人気理由の1つにこの意味有りげな導入が上がっている。

 物凄く重要だと言わんばかりに演出しておいて、最後まで不明で終わると言う無駄な煽り。ユーザーからは意味不明演出入れて何がしたかったの? モヤモヤのままで終わらせるとか酷い。などクレーム祭り。

「一体このゲームは何なの……」

 『王家の鈴蘭』と言う1つのゲームから分かった不気味な現象。まるで操られたように集まったゲームの登場人物たち。

 解読の先に本当に答えはあるのだろうか……。
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