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36 忘れていた芋男爵
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カメリアたちが『王家の鈴蘭』を調べているとは知らずに花はまた1通の手紙を受け取っていた。
「? 誰? えーと……あん…の……アンノン商会! 読めた! ……じゃなくて忘れてた!!!」
そうすっかり芋男爵のことを忘れていたのだ。日本でお金の心配がなくなり、必然とこちらで稼ぐ必要が無くなってしまったのだ。
(それに向こうの仕事も辞めちゃったしなぁ……)
「ヤバい。どうしよう……中身読み辛い……」
「ん? あぁ、手紙か貴族の言い回しは難しいよな! 貸して読んであげるよ」
花の呟きをまだ慣れない読み書きのことだと誤解したオリバーは笑顔で花の役にたちたいと目をキラキラさせている。
(ここはむしろ読んでもらった方がいいのかもしれない)
「お願いします……」
「? じゃ、読むね……」
「……忘れていたね」
「うん。忘れていた」
「折角商会に入ったのに本の複写だけで終わったもんね」
「詫びも兼ねて芋レシピを何枚か渡すよ……」
手紙の内容は案の定、遠回しにいつになったら菓子を作りに来るんだ? 連絡をくれ! でした。
読み終わったオリバーも忘れていたらしく、顔から思い出したと言わんばかりの表情だ。
「へルマンもこの前、家に来てたんだから言ってくれてもよかったのに!」
「いや、いや、あいつにそんな期待を持ってはいけない。仕事以外は子供みたいなもんだから、花様なんて言ってるけどあいつの中では友達くらいの感覚になってると思う」
「……否定出来ない悲しさ……」
(最近、何故やつが攻略対象なのか本当に分からない。ゲームでは裏家業のボスみたいになってるけど、全く欠片も想像出来ないし、好みの問題だがそこまでカッコいいとも思えない)
「奥さんは何処に惚れたのかな?」
「花……夫婦のことは夫婦しか分からないんだ。糖質ダイエットしたいならいいけど、無闇に藪はつつかない方がいいよ」
「……ハイ。ソウデスネ」
(くっ、確かに糖質制限ダイエットじゃなくて糖質ダイエットなのが当てはまりすぎて反論出来ない。……うっ、思い出しただけでも甘過ぎる……)
こうしてへルマンに男爵への手紙を託して花は芋ケーキレシピを複写する。
「あっ、これ、ミー君好きそうだね!」
「……お芋好きだもんね」
「はぁ。マリー、ミー君に会いたくなっちゃった」
「……うん。私も会いたい……」
「……マリー、メリー……」
複写の邪魔をしながらしんみりする双子に花は何も言えなかった。王族のミー君。手紙のやり取りはしているけどこんなの本当は異例中の異例だ。
場所もここからは遠い辺境である。新幹線や飛行機が定刻通りに来る交通システムのないこの世界で気軽に「行こうか!」とは言えない。
それに口達者だけどマリーもメリーもまだまだ小さい。長旅は小さな子供には中々堪えるものだ。
「じゃ、お芋の種はもう送ってあるから、今度の手紙にはこのレシピも一緒に挟んでおこうか!」
「おっ、いいね! ならマリーはミー君が好きなお芋でお芋の家を描こうかな」
「……お芋のお家?」
「そう! 全部ミー君が好きなお芋で出来てるんだよ!」
「……おならがいっぱい出そう……」
「おなら!! あははは! おなら祭りだ!!」
ぷうっ、ぷぷっぷうと、声を出しながらマリーはお尻をフリフリして踊る。それをメリーが笑いながら真似をする。
「ルーベンスが見たら笑顔でお説教されるわね……」
苦笑しながら双子のおならダンスを横目に花は複写を続けた。
それから日取りが決まり芋男爵ことアンノン商会へオリバーを護衛に赴く。
早速応接室に通されると花は謝罪とお詫びの品という芋ケーキレシピ数枚を男爵に渡した。
「色々ごたついていたとは言え、連絡の1つもせず本当に申し訳ありません」
「………………」
「? ……男爵様?」
「こ、これが天使の涙のレシピか!!」
「天使の涙?」
「ふふ、あの甘い芋の名前だよ! 素晴らしいだろう?」
(サツマイモが天使の涙なんて恥ずかしい名前に改名されるとは……)
「ちなみにホクホク芋は女神の祝福だ! 今、悪魔の種と配合して新種を作っている所だ! 上手くいいとこ取りしてくれることを願ってる最中でな」
「両方試したんですか?」
「あぁ、今のところ全く問題ないな! むしろ掛け合わせたことで成長が早くて、今月末にも結果が分かりそうだ!」
男爵は相変わらず芋談義には花を咲かせている。
「結果しだいだが、革命が起こるかもしれない。そう! 芋革命だ!!」
「……儲かるといいですね……」
芋愛がそこまでない花に言えるのはそれくらいしかなかった。
「? 誰? えーと……あん…の……アンノン商会! 読めた! ……じゃなくて忘れてた!!!」
そうすっかり芋男爵のことを忘れていたのだ。日本でお金の心配がなくなり、必然とこちらで稼ぐ必要が無くなってしまったのだ。
(それに向こうの仕事も辞めちゃったしなぁ……)
「ヤバい。どうしよう……中身読み辛い……」
「ん? あぁ、手紙か貴族の言い回しは難しいよな! 貸して読んであげるよ」
花の呟きをまだ慣れない読み書きのことだと誤解したオリバーは笑顔で花の役にたちたいと目をキラキラさせている。
(ここはむしろ読んでもらった方がいいのかもしれない)
「お願いします……」
「? じゃ、読むね……」
「……忘れていたね」
「うん。忘れていた」
「折角商会に入ったのに本の複写だけで終わったもんね」
「詫びも兼ねて芋レシピを何枚か渡すよ……」
手紙の内容は案の定、遠回しにいつになったら菓子を作りに来るんだ? 連絡をくれ! でした。
読み終わったオリバーも忘れていたらしく、顔から思い出したと言わんばかりの表情だ。
「へルマンもこの前、家に来てたんだから言ってくれてもよかったのに!」
「いや、いや、あいつにそんな期待を持ってはいけない。仕事以外は子供みたいなもんだから、花様なんて言ってるけどあいつの中では友達くらいの感覚になってると思う」
「……否定出来ない悲しさ……」
(最近、何故やつが攻略対象なのか本当に分からない。ゲームでは裏家業のボスみたいになってるけど、全く欠片も想像出来ないし、好みの問題だがそこまでカッコいいとも思えない)
「奥さんは何処に惚れたのかな?」
「花……夫婦のことは夫婦しか分からないんだ。糖質ダイエットしたいならいいけど、無闇に藪はつつかない方がいいよ」
「……ハイ。ソウデスネ」
(くっ、確かに糖質制限ダイエットじゃなくて糖質ダイエットなのが当てはまりすぎて反論出来ない。……うっ、思い出しただけでも甘過ぎる……)
こうしてへルマンに男爵への手紙を託して花は芋ケーキレシピを複写する。
「あっ、これ、ミー君好きそうだね!」
「……お芋好きだもんね」
「はぁ。マリー、ミー君に会いたくなっちゃった」
「……うん。私も会いたい……」
「……マリー、メリー……」
複写の邪魔をしながらしんみりする双子に花は何も言えなかった。王族のミー君。手紙のやり取りはしているけどこんなの本当は異例中の異例だ。
場所もここからは遠い辺境である。新幹線や飛行機が定刻通りに来る交通システムのないこの世界で気軽に「行こうか!」とは言えない。
それに口達者だけどマリーもメリーもまだまだ小さい。長旅は小さな子供には中々堪えるものだ。
「じゃ、お芋の種はもう送ってあるから、今度の手紙にはこのレシピも一緒に挟んでおこうか!」
「おっ、いいね! ならマリーはミー君が好きなお芋でお芋の家を描こうかな」
「……お芋のお家?」
「そう! 全部ミー君が好きなお芋で出来てるんだよ!」
「……おならがいっぱい出そう……」
「おなら!! あははは! おなら祭りだ!!」
ぷうっ、ぷぷっぷうと、声を出しながらマリーはお尻をフリフリして踊る。それをメリーが笑いながら真似をする。
「ルーベンスが見たら笑顔でお説教されるわね……」
苦笑しながら双子のおならダンスを横目に花は複写を続けた。
それから日取りが決まり芋男爵ことアンノン商会へオリバーを護衛に赴く。
早速応接室に通されると花は謝罪とお詫びの品という芋ケーキレシピ数枚を男爵に渡した。
「色々ごたついていたとは言え、連絡の1つもせず本当に申し訳ありません」
「………………」
「? ……男爵様?」
「こ、これが天使の涙のレシピか!!」
「天使の涙?」
「ふふ、あの甘い芋の名前だよ! 素晴らしいだろう?」
(サツマイモが天使の涙なんて恥ずかしい名前に改名されるとは……)
「ちなみにホクホク芋は女神の祝福だ! 今、悪魔の種と配合して新種を作っている所だ! 上手くいいとこ取りしてくれることを願ってる最中でな」
「両方試したんですか?」
「あぁ、今のところ全く問題ないな! むしろ掛け合わせたことで成長が早くて、今月末にも結果が分かりそうだ!」
男爵は相変わらず芋談義には花を咲かせている。
「結果しだいだが、革命が起こるかもしれない。そう! 芋革命だ!!」
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