異世界の裏口

千代子レイ子

文字の大きさ
45 / 61

39 同郷

しおりを挟む
「カルロス様、少し質問してもよろしいですか?」
「なんだ?」
「カルロス様の想い人のお父上って誠実で真面目で優しい人ですか?」
「……お前、占い師か?!」
「いえ、シッターです」
「嘘だ!! 全部当てたじゃねぇか!!」
「そうなんですか? じゃ、やっぱり想い人なんですね?」
「!!!! ……くっ、はめやがったな……」

 真っ赤になりながら睨むカルロスをニヤニヤしてからかってるいると反撃が来た。

「お前だって、オリバーの女じゃないって言ったの嘘だったじゃねぇか!! 公私混同してんじゃねぇよ!!」
「うっ、た、確かに……って、そんなことはどうでもいいんですよ! 後1つ聞きたいんですけど、お父上は髪の毛私みたいに黒いですか?」
「あぁ。……と、言うよりお前に似てる。同じ国の人間だろ? 手紙を寄越すぐらいだし……」
「はい。それで私も会ってみたくて……お願い出来ませんか?」
「……あー……そうだな……うん。き、聞いといてやる!!」

 (娘さんとの会話のネタになるから嬉しいんだな。普通を装っているけど、口元がニマニマしてますよ!)




「初めまして。手紙の件はありがとうございました。私は宮沢健之といいます」
「は、初めまして。私は佐藤花と申します」

 (…………おい! カルロス!! 何処が私に似てるんだ!! この人滅茶苦茶イケメンじゃないか!! 芸能人かと思ったわ!!)

「今日はお招き頂き、本当に嬉しかったです。さつまいものビニールテープに気付かなかったら一生会えませんでした」
「えっ? ビニールテープ?」
「はい。さつまいもの1つにスーパー特有の値段シールとバーコード入りのテープが巻かれてました。懐かしくて泣きそうでしたよ」

 (……それ、完璧私のミスだ……)

 それから宮沢さんはこちらに来た経緯と扉が消えた話もしてくれて、本当にありがたかった。

「原理はわかりませんが、私の場合は妻との結婚を決意して日本にある借家の荷物を粗方こちらに持ってきたら、ある日扉が消えていたんです。本当に驚きました」
「では、地球とはいきなりのお別れだったんですね」
「地球……そうですね。はい。……何だか花さんと話していると懐かしい言葉が聞けてちょっと感動します」

 やっぱりいくらこちらに慣れようとも故郷を忘れる事は難しいんだろう。

「実はお呼びしたのは質問もあったのですが私、宮沢さんに家を貸していた男の姪なんです」
「?!! 家主さんの姪……えっ?!」
「驚くのも無理ありません。実はあなたが行方不明になった後伯父を含め3人突然居なくなっていて、たぶん、全員こちらに渡ったんではないかと思ってるんです」

 宮沢さんはまさか自分以外に3人も行方不明になっていると聞いて固まってしまった。

「そう思った根拠に実は宮沢さんと会う前、サツマイモ販売をしているアンノン商会の護衛の奥さんが3番目に行方不明になっていた女性だったんです」
「?!!」
「まぁ、まだ2番目の女性と伯父は見つけてないので憶測ですけど」
「そ、その護衛の奥様にも会えますか?」
「? はい。連絡先を教えましょうか?」
「いえ、いきなり男性の私が連絡するのも失礼かもしれませんから、出来ればあなたを交えて橋渡しをしてもらえませんか?」

 (男性と言うことで気を使っている宮沢さん。きっと女性だったら気兼ねなく訪れて、日本の話をしたりして楽しくお喋りするんだろうなぁ)

 こちらに永住すると決めても同郷の人がいるといないとではやっぱり心持ちが違うんだろう。

 

 こうして後日、元住居人同士で話す機会を作ると言う何とも奇妙な会で宮沢さんとリナさんが対面した。

「はいはい。邪魔しないの! いい子だからここで待ってましょうねぇ」
「あっ、あいつ、俺のリナに微笑みやがった!」
「はいはい。どうどう。初対面で嫌悪感出しながら会うわけないでしょ!」

 案の定、仕事をサボったのか有給取ったのかは知らないがへルマンが嗅ぎ付けてきた。

「……へルマン何してるの?」
「あっ、メリー! 聞いてくれよ、俺のリナが浮気してんだ!! 許せねぇよな!」
「浮気じゃないでしょ! 庭の東屋で子供たちも側にいるじゃない」
「……へルマンは何が許せないの?」
「俺のリナが男と会ってるからだ!!」
「……? どっち?」
「えっ? どっちって?」

 花が振り替えるとそこにはカルロスもいた。ちゃっかり花が用意したお茶を持っていっている。

「……点数稼ぎしているな……」

 一瞬アルベルトかと疑ったくらい上手く猫を被っていて外面はいいように見える。

「ねぇ、みんなで何してるの?」
「おっ、マリーか! ……!! そうだ! マリー、依頼だ! あの2人が何を話しているか調べてくれ!!」
「!! 依頼だね! ……こほん! いいだろう! 助手! 君も付いてきたまえ!」
「……はい! 教授!!」

 マリーとメリーは、まだ探偵ごっこがお気に入りみたいで役に入りきってお茶に突撃していった。

「ふふふふ。密会に驚くがいい。間男め!」
「……あんな開けた庭に大人数いる密会なんて聞いたことねぇよ!」

 嫉妬深いへルマンに呆れる花だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~

浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。 「これってゲームの強制力?!」 周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。 ※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

【完結】灰かぶりの花嫁は、塔の中

白雨 音
恋愛
父親の再婚により、家族から小間使いとして扱われてきた、伯爵令嬢のコレット。 思いがけず結婚が決まるが、義姉クリスティナと偽る様に言われる。 愛を求めるコレットは、結婚に望みを託し、クリスティナとして夫となるアラード卿の館へ 向かうのだが、その先で、この結婚が偽りと知らされる。 アラード卿は、彼女を妻とは見ておらず、曰く付きの塔に閉じ込め、放置した。 そんな彼女を、唯一気遣ってくれたのは、自分よりも年上の義理の息子ランメルトだった___ 異世界恋愛 《完結しました》

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

処理中です...