異世界の裏口

千代子レイ子

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41 名前の意味

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「じゃあ他の大人から借りたらいいんじゃない?」
「それがね、オリバーに聞いたらそんな変態行為は止めろと言われるからルーベンス先生に聞いたんだ」
「……うん。メリーも聞いた」
「そしたら、『マリーは下着をベッドに夜飾るから貸して欲しいと言われて頷きますか? 想像してご覧なさい? 洗ってあるといっても他人のです。変態行為に思えませんか?』 ってね! でね、オリバーの意味が分かったの!」

 (確かに変態行為だわ。しかも、いきなり子供がベッドに自分の靴下を飾りたいなんて事情を知らない人が聞いたら驚くのも無理無いね)

「だから花なら大きくて使ってない靴下を、持っているんじゃないかって思ったの!」
「なるほど。マリーは見る目あるね。任せなさい!!」
「……メリーも欲しい」
「ふふ。了解!」

 こうして平等にする為、子供たちには100均の大きな靴下をプレゼントした。

「?!! でっか!! 花の国には巨人でも住んでるの?」
「違うよ。マリーみたいにいっぱいプレゼントが欲しい子供が多いからクリスマス用に作ったんだよ」
「ふっ、わかってるね!」

 したり顔で巨大靴下を持っているマリーは、早速メリーを呼んできた。

「……花の国には巨人が住んでるの?」
「あはは! マリーと同じこと言ってる!! あのね、花の国にもマリーたちと同じ考えの子供がいっぱいいて、巨大靴下が欲しいって作ったんだよ!」
「……天才!」

 メリーが目をキラキラさせて喜んでいたので、もう1つ面白い事を教えてあげた。

「あのねメリー。クリスマスに楽しくすごしてね! って意味で『メリークリスマス』って挨拶する風習があるの」
「……風習?」
「昔からやってることだよ。例えば朝起きた挨拶が『おはよう』みたいなこと」
「じゃ、メリークリスマスのメリーの意味は?」
「えっと、楽しいとか陽気とかだったような……」
「……陽気なクリスマス?」
「それは『楽しいクリスマスを!』って挨拶だね」
「それじゃメリーって花の国では『楽しい』って意味なんだ!」

 (英語読みならそうなんだろうか? あんまり英語得意じゃないから自信ないけどメリークリスマスの意味はあってるはずだし、いいのかな?)

「じゃ、マリーは?」
「マリー? えっと……後で調べておきます」
「花の国の言葉なのに?」
「外国語なの」
「あー、それって外国語がかっこいいとかでしょ? もう花は見栄っ張りだなぁ。はいはい。そう言うお年頃ってやつだね」
「…………」

 なぜ背伸びしいたいお年頃の子になっているのだろうか。花はマリーから同情されて『そう言うことではない』と反論したかった。




「……あのね、メリーはね『楽しい』って意味なんだよ。名前に意味があるの! 凄いよね」

 メリーは自分の名前に意味が有ることが嬉しくてみんなにそれを報告して回った。そしたらー……

「なぁ、俺の名前は? 意味は?」
「……嫁にでも聞けよ……」
「聞いたよ! そしたら母国語しか分からないって言われた」

 案の定へルマンが子供と共に駄々をこねに来た。

 (子持ちのおっさんが何してるんだよ!)

「はぁ。分かった! 全員の意味を調べるから……けど、変な意味だったり無くても文句言わないでよ?」
「分かった!」

 こうしてへルマンと子供たちについて調べた。

「へルマンは英雄だった人の名前。あと宗教の神学者とか。まぁ偉大な人ってことだよ」
「おぉ!! 当たってるじゃねぇか!!」
「……占いじゃねぇよ!」
「俺は! 俺は!」
「僕も! ぼーくもー!!」
「こら! 順番だ! 少しくらい待て!」

 やはり名前に意味があるのは珍しいらしく子供たちは興奮している。

「えっと、まずエイジ君から英語では年とか一時期って意味だったんだけど、たぶんこの名前ってリナさんがたかたんでしょう?」
「そうだ!」
「ならたぶん母国語の意味だと思うんだ。漢字が分からないから何ともいえないけど、英士なら『抜きん出て凄い人』って意味。英傑が近いかな?」
「えいけつ?」
「知力や勇気などの能力に優れている人のことだよ」
「……母ちゃん……」
「さっすが、俺のリナたぜ!!」

 お兄ちゃんの名前が立派だったので弟は早く花から話が聞きたくてしょうがない。

「僕は!!」
「はいはい。えっと、ジン君は英語だと結構強いお酒の銘柄なんだけど、これもリナさんが付けたなら母国語の意味だと思うんだ。なので仁だったとしたら、『人を慈しむ心を持つ、愛のある人』って意味だと思うよ」
「愛ある人?」
「つまり 優しくて人から必要とされる人になってほしいという願いが込められるんじゃないかな? この字はね昔の偉いお坊さん……神父さんが人を愛することって意味で使ってたらしいよ」
「??」

 まだ小さい弟君には意味が難しいらしく、頭をひねっている。

「母ちゃんが優しい人になって欲しいって願ったんだよ!」
「うん! 僕、意地悪しないよ!」
「だろ? 母ちゃんの願いが叶って良かったな!」
「うん!」

 子供の頭を撫でるへルマンの顔はとても穏やかで嬉しそうだった。きっと愛する妻が子供に願った名前の意味に感動しているんだろう。
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