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42 お城の舞踏会
しおりを挟む「それで、マリーの意味は?」
ついに来てしまったその時。
(英語で調べたらマリーって『結婚する、結婚させる』だったんだよねぇ。これだと結婚を強制する意味になりそうで嫌なんだよなぁ)
「元々はお花の名前だったみたい」
「わぁー……。マリーお花なんだ」
「うん。そのお花の花言葉も『私を思って』とか愛に関するロマンチックなものが多いよ」
「へぇ。マリーその花見てみたい!!」
「とってもいい匂いだからポプリみたいなのがあったらあげるわ。マリーの由来だもんね」
「わぁー!! 嬉しい!! ありがとう花! さすが出来る女だね!」
「…………」
折角ルーベンスという立派な先生が付いてるのにへルマンという悪友がいるため、時々マリーの言葉遣いがおっさんくさい。完璧弊害が生じている。
そんな名前の由来がプチブームになる頃、恐怖の手紙が届いた。
王宮からの招待状だ。しかも今回はお茶会ではなく隣国の皇太子夫婦を招いた大規模なパーティーにご招待と言う、花にとっては非常に迷惑しかない話である。
「断れないよね? 風邪とか言って休めないかな?」
「うーん。花は貴族じゃないから誤魔化せるとは思うけど、どうかしらねぇ……」
「えっ、何? 何? 怖いんだけど!」
その恐怖は当たった。
「花様ですね。皇太子殿下からの言付けを預かりました!」
渡された手紙を恐る恐る開ける。
『風邪など召さないように舞踏会当日までは城でお過ごし下さい。もしもの時は医師が早急に対処するように手配してあるので安心していただけますよ。(風邪とか言って仮病しないように早めに来い! 本当に熱が出てもお抱え医師に見せるから大丈夫だよなぁ?)』
特○呪物だった。
「……先手を取られたわね」
「うっ、うっ、カメリアー! 付いてきて!!」
「ごめんなさい。諸事情で舞踏会みたいな大きなパーティーには出られないの」
「えぇ?! 私1人のなんて無理だよ!!」
「大丈夫よ! 今回はパートナーも必要だからオリバーに付いていってもらえばいいわ」
「本当に? オリバー貴族じゃないし、冒険者の仕事もあるのに?」
「平気よ。ギルドに城から呼ばれたと報告さえすれば大丈夫なはずだから」
こうして今回はカメリアではなくオリバーが付添人だ。
「……本当に俺が行って良かったの?」
「うん! お願い! 1人にしないで!!」
「!! そ、その上目遣いはダメだよ……花……」
「えっ? 何で? じゃ、下向くからその代わりずっと側にいて……」
「!!!! そ、そのセリフは理性がぐらつくからもっとダメ!!」
「…………」
頭にきた花は無言でオリバーの腕にしがみついた。確保することに全力を注ぐことにしたのだ。
「?!! は、花?!」
「行くよ!!」
「えっ?! この服装で?!」
「そう、皇太子様からのご命令だからね! こちらの服を着ないようにってね」
「えぇ?! 何で?!」
「さぁ? 高貴な人の考えは分かんないよ」
そう、最近のメークイン男爵家に住まう人々は双子に習って花の国(地球)の服を着ている。理由は単純明快。楽で機能性が抜群だからだ。なので外出しないルーベンス、カメリア、双子は勿論最近はオリバーもよく花にねだって着ていた。
「えー!! クリスマスは?!」
そして問題はこちらも……。
「城からの呼び出しだからね。でも私が居なくても出来るよ?」
「ダメ! 花がいなきゃ楽しくないもん!」
「……マリー……」
「では、2回すれば良いのでは?」
「あっ、そっか! さすがマリーの先生だね!」
「楽しい思い出は共有したいですからね」
「はぁ……。でもやっぱり城は嫌な所だね! マリーは前に見たから知ってる。花も油断しちゃダメだから!」
「うん。分かった」
そして帰ってからクリスマスをやる約束をして花たちは城へと向かった。
「あの綺麗な民族衣裳はどうしましたの?!!」
案内人に付いていってると、いきなり知らない貴族のおばさまに、凄い剣幕で質問され戸惑ってしまう。
「シルバー婦人、困ります! こちらは皇太子妃殿下のお客人ですよ!」
「存じておりすわ! ですがあの素晴らしいドレスを着ていらっしゃらないのは何が理由があるのか、心配でならないのです!!」
「えっと、シルバー婦人でよろしいかしら? あれは王族の前だけで着る特別な衣裳なのです。本日は面会がございませんので着ることが出来ませんの」
「まぁ! そうでしたの! なんて素敵な文化ですの! では私たちはそれを遠くでしたが、見ることが出来てのは運が良かったのですね!」
「今度の舞踏会では着ることになりますので、その時はよろしくお願いいたします」
「えぇ! えぇ! 勿論ですよ!!」
おばさまは嬉しそうに踵を返していった。
「へぇ、あのドレスってそんなに特別なんだ」
「嘘だよ」
「えっ?!」
「面倒くさいから、そう言うことにしたの」
「何で?!」
「だって着てこいとか見せて欲しいとか言われたら断りにくいでしょ?」
「なるほど」
案内人とオリバーが納得してる隣で花は先程の婦人を思い出していた。どの世界でもあぁいう豪胆なおば様というのはいるんだなぁと少し親近感を覚えた。
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