異世界の裏口

千代子レイ子

文字の大きさ
48 / 61

42 お城の舞踏会

しおりを挟む

「それで、マリーの意味は?」

 ついに来てしまったその時。

 (英語で調べたらマリーって『結婚する、結婚させる』だったんだよねぇ。これだと結婚を強制する意味になりそうで嫌なんだよなぁ)

「元々はお花の名前だったみたい」
「わぁー……。マリーお花なんだ」
「うん。そのお花の花言葉も『私を思って』とか愛に関するロマンチックなものが多いよ」
「へぇ。マリーその花見てみたい!!」
「とってもいい匂いだからポプリみたいなのがあったらあげるわ。マリーの由来だもんね」
「わぁー!! 嬉しい!! ありがとう花! さすが出来る女だね!」
「…………」

 折角ルーベンスという立派な先生が付いてるのにへルマンという悪友がいるため、時々マリーの言葉遣いがおっさんくさい。完璧弊害が生じている。



 そんな名前の由来がプチブームになる頃、恐怖の手紙が届いた。

 王宮からの招待状だ。しかも今回はお茶会ではなく隣国の皇太子夫婦を招いた大規模なパーティーにご招待と言う、花にとっては非常に迷惑しかない話である。

「断れないよね? 風邪とか言って休めないかな?」
「うーん。花は貴族じゃないから誤魔化せるとは思うけど、どうかしらねぇ……」
「えっ、何? 何? 怖いんだけど!」



 その恐怖は当たった。

「花様ですね。皇太子殿下からの言付けを預かりました!」

 渡された手紙を恐る恐る開ける。

 『風邪など召さないように舞踏会当日までは城でお過ごし下さい。もしもの時は医師が早急に対処するように手配してあるので安心していただけますよ。(風邪とか言って仮病しないように早めに来い! 本当に熱が出てもお抱え医師に見せるから大丈夫だよなぁ?)』

 特○呪物だった。

「……先手を取られたわね」
「うっ、うっ、カメリアー! 付いてきて!!」
「ごめんなさい。諸事情で舞踏会みたいな大きなパーティーには出られないの」
「えぇ?! 私1人のなんて無理だよ!!」
「大丈夫よ! 今回はパートナーも必要だからオリバーに付いていってもらえばいいわ」
「本当に? オリバー貴族じゃないし、冒険者の仕事もあるのに?」
「平気よ。ギルドに城から呼ばれたと報告さえすれば大丈夫なはずだから」

 こうして今回はカメリアではなくオリバーが付添人だ。

「……本当に俺が行って良かったの?」
「うん! お願い! 1人にしないで!!」
「!! そ、その上目遣いはダメだよ……花……」
「えっ? 何で? じゃ、下向くからその代わりずっと側にいて……」
「!!!! そ、そのセリフは理性がぐらつくからもっとダメ!!」
「…………」

 頭にきた花は無言でオリバーの腕にしがみついた。確保することに全力を注ぐことにしたのだ。

「?!! は、花?!」
「行くよ!!」
「えっ?! この服装で?!」
「そう、皇太子様からのご命令だからね! こちらの服を着ないように・・・・・・・・・・・・ってね」
「えぇ?! 何で?!」
「さぁ? 高貴な人の考えは分かんないよ」

 そう、最近のメークイン男爵家に住まう人々は双子に習って花の国(地球)の服を着ている。理由は単純明快。楽で機能性が抜群だからだ。なので外出しないルーベンス、カメリア、双子は勿論最近はオリバーもよく花にねだって着ていた。



「えー!! クリスマスは?!」

 そして問題はこちらも……。

「城からの呼び出しだからね。でも私が居なくても出来るよ?」
「ダメ! 花がいなきゃ楽しくないもん!」
「……マリー……」
「では、2回すれば良いのでは?」
「あっ、そっか! さすがマリーの先生だね!」
「楽しい思い出は共有したいですからね」
「はぁ……。でもやっぱり城は嫌な所だね! マリーは前に見たから知ってる。花も油断しちゃダメだから!」
「うん。分かった」

 そして帰ってからクリスマスをやる約束をして花たちは城へと向かった。




「あの綺麗な民族衣裳はどうしましたの?!!」

 案内人に付いていってると、いきなり知らない貴族のおばさまに、凄い剣幕で質問され戸惑ってしまう。

「シルバー婦人、困ります! こちらは皇太子妃殿下のお客人ですよ!」
「存じておりすわ! ですがあの素晴らしいドレスを着ていらっしゃらないのは何が理由があるのか、心配でならないのです!!」
「えっと、シルバー婦人でよろしいかしら? あれは王族の前だけで着る特別な衣裳なのです。本日は面会がございませんので着ることが出来ませんの」
「まぁ! そうでしたの! なんて素敵な文化ですの! では私たちはそれを遠くでしたが、見ることが出来てのは運が良かったのですね!」
「今度の舞踏会では着ることになりますので、その時はよろしくお願いいたします」
「えぇ! えぇ! 勿論ですよ!!」

 おばさまは嬉しそうに踵を返していった。

「へぇ、あのドレスってそんなに特別なんだ」
「嘘だよ」
「えっ?!」
「面倒くさいから、そう言うことにしたの」
「何で?!」
「だって着てこいとか見せて欲しいとか言われたら断りにくいでしょ?」
「なるほど」

 案内人とオリバーが納得してる隣で花は先程の婦人を思い出していた。どの世界でもあぁいう豪胆なおば様というのはいるんだなぁと少し親近感を覚えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~

浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。 「これってゲームの強制力?!」 周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。 ※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

【完結】灰かぶりの花嫁は、塔の中

白雨 音
恋愛
父親の再婚により、家族から小間使いとして扱われてきた、伯爵令嬢のコレット。 思いがけず結婚が決まるが、義姉クリスティナと偽る様に言われる。 愛を求めるコレットは、結婚に望みを託し、クリスティナとして夫となるアラード卿の館へ 向かうのだが、その先で、この結婚が偽りと知らされる。 アラード卿は、彼女を妻とは見ておらず、曰く付きの塔に閉じ込め、放置した。 そんな彼女を、唯一気遣ってくれたのは、自分よりも年上の義理の息子ランメルトだった___ 異世界恋愛 《完結しました》

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

処理中です...