異世界の裏口

千代子レイ子

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48 扉の消滅

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 しかし捜索は難航して依然王妃は見つからない。隣国の国王陛下も協力して小規模となっても続けられていた。

 だがその間に隣国ではクーデターが勃発して捜索どころではなくなってしまう。そして激しい反乱で国は崩壊。王家もバラバラになり新しい国家が誕生した。

 でもそれもつかの間のこと新しい政権は信用なく隣国たちと渡り合うにも力を使い果たしていたのだ。なのですぐに隣国はうちの皇太子により併合されてしまう。

 (まるで知っているかのように踊らされてるわね)

 今回の功績で皇太子の地盤は確実のものとなり、王位継承が早まったなんて噂も飛び交っている。

 そんな中、皇太子妃の妊娠も分かり現在城はお祭り騒ぎ状態で大変らしい。

「なんか私たちが茶番をしてから一気に色々なことが起きて頭が回らない」
「……うん」
「? どうしたの?」
「いや、その、避妊しなかったら花も今頃もしかしたら赤ちゃんいたのかなって……」

 オリバーの発言に真っ赤になりながらも花はそっと手を繋いだ。

「……そうかもしれないけど、私はまだ2人の時間を楽しみたいな……」
「!! それって将来は俺のお嫁さんになってくれるってこと?」
「ちゃ、ちゃんとプロポーズしてくれたらね?」
「する! する!! ねぇ、花の国のしきたりとか教えてよ!」

 嬉しそうに聞いてくるオリバーに花はそっと抱きついた。

「……断ることなんてないよ。だから素直に言ってくれればいいの」
「……うん。愛してるよ、花」
「私も。愛してる。オリバー、待ってるね」

 誓いのキスをするように甘く甘く塞がれる唇は次第に熱を帯びて2人はベットへと沈んだ。




 皇太子妃の妊娠で城と皇太子からのムチャブリ依頼もなく現在は平和である。

「子供が生まれる1年ぐらいは王宮から連絡はこないかな」
「1年?」
「? まぁ、約10ヶ月? だったっけ?」
「いやいや、妊娠報告があったんなら生まれるまであと3ヶ月くらいだよ」
「えっ?! そんな早期なのこの世界?!」
「花の国では違うの? 王族は妊娠が発覚したら生まれる3ヶ月まで秘密にされるんだよ。流産とかさせないためにね」
「あぁ。そう言うことね。ビックリした」

 王族の妊娠って大変だ。しかも今回は初産なので殿下もきっとかかりきりだろう。

「でも殿下って、子供生まれてたら親バカになりそう」
「王子でも姫でも溺愛しそうだよね」







 そして3ヶ月後、無事にお世継ぎが生まれ国中がお祭り騒ぎとなった。だがそれと同時にこちらは扉が消えてしまったことに花はパニックになってしまう。

「ど、どうしよう! 無い! 無い! 何で急に?!! カメリア! カメリア!! どうしよう!!」
「とりあえず落ち着きましょう。焦っても出てくるものじゃないわ」
「うん。でも……はっ! パソコンは?!」

 花は慌ててパソコン部屋に急いで起動させる。

「動いた!! ネットも見れる! ……でもそれだけだよね……」

 扉が消えて部屋で意気消沈してる花の元に皇太子がやって来た。

「……相変わらず夜に来るんですね……」
「こう見えて私はとても忙しいんだよ。息子も生まれたしね」
「それで? 用件は?」
「おやおやせっかちだね」
「時間ないんでしょ?」

 窓辺に視線を向けながら会話する花。皇太子は気にも止めず部屋の中心で花へ頭を下げた。

「……何のまねですか?」
「ありがとう」
「?」

 流石に意味が分からず皇太子に向き合うといつもの腹黒笑顔ではなく真顔だった。

「君のお陰でこの物語に終止符をうつことが出来た。私が一番望むハッピーエンドにだ」
「……ハッピーエンド……」
「君もよく知っているだろう?『王家の鈴蘭』だよ……」
「!!」

 まさか皇太子の口からその乙女ゲームの名前を聞くとは思わず花は固まる。

「全く酷い呪いの物語だよ……」
「えっ?」
「私はね、この物語のエンディングを260・・・回迎えているんだ。……いや、もう正確な数字は曖昧だけどそんなものだろう」

 エンディングを迎えている? 王子は全て記憶しているの? そんなの狂ってしまわないの?

「君の言いたいことは分かる。普通の人間だったら狂っているね。発狂ものだ。でも始めの150回ぐらいは全く覚えてないんだよ」
「どういうことですか?」
「バグだよ。そういえばわかるかな?」
「……バグ? それで思い出すものなんですか?」
「思い出すと言うか知ったと言う方が近いかな?」

 そして皇太子は2冊の本?を渡してくれた。

「日記だ。1つは皇太子妃の。もう1つは私のだ・・・。最後のページを読んでくれ」

 不思議に思いながらも言われたページの日記を読むとそこには殴り書きのように何度も「これは繰り返しだ! 忘れるな! 忘れてはいけない! 思い出せ! これは真実なんだ!」と狂ったように書かれてある。

「……これは一体……」
「終止符をうってくれた君には私の真実を話そう」

 花の目に写る皇太子は片目から一粒の涙を流していた。

 
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