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49 皇太子の過去1
しおりを挟むバグを発見したのはたまたまだった。普段付けている日記を取り出してページを開くと同じ日記帳に同じ字で今日書こうと思っていた内容が書かれていたからだ。
驚いてもう一度日記帳がしまってある引き出しを見ると同じ物がそこにある。中身を見るとそちらは昨日までの日記しか書かれていない。つまりこちらが本来の日記帳なのだろう。では、これは?
見比べばそっくりそのままな日記に私は両方共、私が書いた物だと実感する。不思議に思いながらも最後のページを見ると、ある部屋に転移しろと書かれてあった。まるで自分が見ることを予知しているように。
少し怖いが自分が何かを知らせたいのだろうと、禁止されてる転移魔法でその場書に行くと大きな婚約者の絵画が飾られてあり、部屋中知らない日記が散らばっていた。
私はその1つを取り上げて読むとそれは婚約者の日記だとしる。
『○月✕日
誰も彼も私を犯人にしたいようだ。冤罪でこの事件を終了するつもりらしい。それで私を殺してから別に犯人がいたとあわてふためき、すまなかったとでも言うのかしら? なんて自分よがりな悲劇のヒーローなのかしらね? 気持ち悪い。だから私は許さないと書き残す。お前は罪の無い人間を殺した犯人だと。いくら優しいあの女に罪は無いと慰められても、それは所詮他人事だと言ってやる! お前には罪がある! お前は罪人だ! 皇太子、お前は血塗られた人殺しだ!!』
(えっ? 俺が婚約者を殺すのか? なぜ……)
それから同じような日記が続き恐怖で私は部屋を後にした。
(一体何が起きているんだ?! 私は何を伝えたかったんだ? あそこにヒントが埋まっているのか?)
暫くして落ち着いた頃、またあの部屋に行き日記を見ると内容が激変していた。
『悪役令嬢→私 ヒロイン→カメリア 攻略対象→皇太子、第2王子、アルベルト、へルマン、ルーベンス、(隠しルート)王弟
死亡率順→皇太子→王弟→へルマン、アルベルト
ただし、確率は婚約者になった時点でほぼ100%になるので注意!! 婚約破棄か解消を目指すこと!!』
(どういうことだ……まるで別人が書いたような内容だ。しかも演劇のような悪役などまるで意味が分からない……)
なので最後のページを見ると日記は余白ページを半分残して終わっていた。
『やっぱり駄目だった。皇太子は毒を飲んで私の罪と確定してしまった。やはり悪役という運命からは逃れられないみたい。明日私は死ぬ。なるほど。悪役令嬢は高貴で孤独な可哀想な、か弱い女性なんだね。これじゃ、悪役令嬢じゃなくて単なるお飾り公爵令嬢じゃない。生け贄ね。あー、怖い、怖い、怖い。死にたくない! 死にたくない。誰か助けて』
彼女の最後の叫びで日記が終わっている。白いページは助けは来なかったことを意味し、己が冤罪で殺したと主張しているようで手の震えが止まらない。
「はぁ、はぁ、何なんだこの日記は……」
皇太子妃の日記が恐くなって私は自分側の日記を読むことにした。もしかしたら救いがあるかもしれないとすがる思いだったがそれは打ち消される。
『○月△日
冤罪だった。何ひとつ彼女は関与していなかった。知らなかった。無実の訴えを無視して殺した。日記を見つけた。カメリアのことが書いてあった。その通りに言われた。罪はないと言った。あるに決まってる。ゆるさいと人殺しだと書かれていた。俺の子供は罪人の血を受け継ぐ高貴で汚れたものになる。罪のない子供に罪を背負わせる悪魔の親に私はなるのだ。これが呪いなのか? いや、正しい罪だ。誰も罰してくれない地獄の苦しみを心に持ちながら生きていくしかない。カメリア、君はなんて薄っぺらい言葉しか言えないんだろうね。気持ち悪い同情だよ。寄り添っていることに酔っている君が腹立だしくてしかたないよ』
(カメリア? 誰だそれは? 私は浮気をするのか?)
そんな最悪な日記に疲れて本棚に寄りかかると上から日記が落ちてきた。危なかった頭に直撃するところだったぞ。
日記に跡が付かないようにページを真っ直ぐに直そうとしてその内容が目に入った。
『○月△△日
もうすぐ出産だ。女でも男でも嬉しい。皆、跡取りの王子を熱望するが私はどちらでも構わない。私たちの可愛い子供には変わり無いのだから。でもオリヴィアに似た女の子だったら嫁に出したくないかもしれない。手元に置きたいから女王制度を作るかな。いや、まだ女の子と決まってないのだから落ち着かないといけない。
オリヴィア。愛してるよ。私の誰よりも愛しい皇太子妃』
「えっ? オリヴィア……結婚して子供までいるのか?!」
慌てて次のページをめくる。だがそこには絶望が書いてあった。
『ころす、ころす、ころす、ころす、ころす、ころす!!
オリヴィアと子供が殺された。ノーザンルビー公爵お前は殺さないよ。そんな簡単に楽になれると思うなよ。お前が隣国の馬鹿と繋がってるのは知ってる。だから戦争だ。現場に行かせてやる。ただし、お前は死ない。王族の禁忌魔法で何度も再生させてやるよ。化物宰相は特効で何度も殺されて生き返ろ!! 何度も何度も何度も死ね死ね死ね死ね!! 国王、お前はついでに殺してやる。無能なだけだったからね
オリヴィア。君と息子を守れなくてごめん。可愛い子だったよ。その瞳は見れなかったけど髪は君と同じ色だった。復讐は絶対するから少し待っててね』
狂気がそこにはあった。殴り書きの意思表明。私はきっと隣国を蹂躙して宰相を苦しめて殺したかもしれない。この怒りは底知れない深い悲しみがある。
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