異世界の裏口

千代子レイ子

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50 皇太子の過去2

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 私はパラパラとオリヴィアの出産前の日記を読む。そこには予想通り幸せが詰まっていた。心から愛していたのだろう。夢と希望の未来が至るところに書かれていて何もなければ良い時代になっていたと思われただけに反動が悲しかった。

 それから私は暇を見つけては双方の日記を読み続けた。そこで幾つかのパターンがあることに気付く。きっと私の所にあったあの日記はこれを知らせたかったのだろう。

「それにしても私は馬鹿だな。オリヴィアと違ってフラフラし過ぎている。何故一途にオリヴィアだけを愛さないのか」

 日記の私は浮気をしまくっていることが多い。カメリア、エミリー、イライザ。どれも金と権力だけしか見ていない悪女だ。皇太子妃を豪遊して遊べる何かと勘違いしている。

「まぁ、それで私共々自滅しているから自業自得なんだが恥ずかしい。私はここまで馬鹿ではないと思っていたが教訓なんだろうか?」

 そんなことを考えてながら読み進めると、破滅する時の共通人物と敵の姿が浮かび上がってきた。

 まず敵はオリヴィアの父親、宰相だ。とても王家を憎んでいるのが分かる。次に弟の婚約者サウザンド侯爵家。王家の乗っ取りを考えているらしく私を蹴落として弟を傀儡にするつもりらしい。

 そして元凶の隣国王。奴のわがままが崩壊の亀裂を作り、完成した頃に我領土を蹂躙した。

「こいつだけは殺すなり阻止しないといけないな」


 たがそう思っても毎回上手くいかずに殺されたり、惨めに生かされたりしていた。たまにこの部屋のことを忘れて同じバカをして繰り返しは戻される。

 そして決まった時間を経過すると記憶を薄くもったままスタート時点と思われるオリヴィアとの見合い時期に戻されるのだ。

 だがそれでもオリヴィアの日記を読むにつれ、ある設定と法則が見えてきた。

 私は気がおかしくなってきても夢のように薄く覚えて続けるが、オリヴィアは数回繰り返しを行うとまたリセットされて新しくなっているように思える。たまにゲームを知らないオリヴィアになる時もあるが基本はゲーム『王家の鈴蘭』を知っているオリヴィアだ。

 そして同時にカメリアもゲームを知っている毎回違う・・・・カメリアか知らないかのどちらかになっている。なので様々な性格のカメリアが毎回引っ掻きますのである意味こいつも元凶だと思っている。

 そんなもがき苦しんでいる頃、ついに希望が見えた。ある繰り返しの途中、弟の婚約者が行方不明となり隣国で奴隷にされていた。しかも再起不能なまでに尊厳、身体をボロボロにされて発見された為、婚約は解消。

 サウザンド侯爵家も領地で起きた事件なので王家に文句を言うわけにもいかず、犯人探しをしているうちに失墜してしまう。

 そして弟を担ぎ上げようとしていた筆頭が消えてもくすぶっていた奴らがある日、巨大な強盗団に次々襲われ死んでいった。

 さすがにおかしいと調査すると、どうやら異国の男が強盗団を上手く統率していたことが判明する。それが花の伯父、勇治郎だった。

 やつは魔法とは異なる銃と言う武器をいくつも作製し、少人数で金持ちの貴族屋敷を襲っては皆殺しにしていた。なのでくすぶっていた奴らが狙われたのはたまたまの偶然。

 本当に奇跡的なことだった。そんな勇治郎も所詮は異世界人。魔法の前では無力だ。私の指揮の元、捕まえてたが殺すことはしない。俺はこの極悪男には偶然だとしても感謝しているから。

 この繰り返しの元凶を1つ消してくれたからだ。なので奴と交渉することにした。

「俺の暗部に入らないか? 勿論裏切られて困るから命を担保にすがな」

 すると奴は仕事内容と給金、休暇について詳しく聞いてきた。雇用条件の確認は大切だと、何人もの人間を殺してきたやつの台詞とは思えなくて笑ってしまう。

「いいぜ。俺はこっちの世界が性に合ってるようだしな! 向こうじゃ息苦しくて面倒くさかったから丁度いい。命をかけて汚ねぇ仕事をする。いいねぇ。おもしれぇ!!」

 契約を結んだ勇治郎は優秀だった。彼の天職だったのかもしれない。本人も生き生きと任務をこなしてくれている。

 そんな彼がまた朗報をくれた。彼の姪がこちらの世界に来ていてメークイン男爵家にこっそり住んでいると。しかも毎回死んでしまう双子は勿論、叔父の息子まで助け出していたのだ。

 (毎回死亡時期と場所が変わるから助けることは五分五分な事が多くて、助かっても必ずどちらかが今までは死んでいた。だが、今回は違う。こらは好機なのかもしれない……)

「はぁ。しかも母ちゃんまで転生・・してるとか、何なんだよ! くそっ!」
「……転生?」
「あぁ、主には難しいかもしれねぇけどな漫画とかゲームとかであるんすよ」
「……ゲーム……勇治郎、詳しく教えてくれるかい?」
「? いいけど、荒唐無稽な話だぜ? まっ、俺がここにいるし少しは理解しやすいか……」

 勇治郎から聞いた話はまさに繰り返しで今、起きている『王家の鈴蘭』の話らと酷似しているのが多かった。

 ループものか……。今回カメリアの中は勇治郎の母親で花の祖母だ。つまり形は違えど親族。これまでのカメリアとは異色な人物になっている。

 これは終わりを迎えられる偶然かもしれない。

「ふっ、オリヴィア……今度こそ君と子供を守って幸せに暮らせるかもしれない」

 今度こそこの好機、逃してなるものか……。
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