【BL R18】欠陥Ωの淫らな記録

カニ蒲鉾

文字の大きさ
17 / 26

4-10 闇オークション

しおりを挟む

 
 会話も、ラジオの音もない静かな車内。
 
 流れる車窓からの夜景をぼぉっと眺め、時折窓に移る反射で男性が僕を見つめている事を知る。
 
 
 初めのうちは背筋を伸ばし気を張って乗っていたが、怒涛の数時間、時刻はそろそろ朝日が昇ろうとしている頃。疲労がピークに達した身体はうつらうつらと舟をこいでいた。
 
 
「つかささん」
 
 
 静かに名前を呼ばれ、肩を優しく引き寄せられる。
 眠さのせいか鈍い反応は、男性の胸に寄りかかり包み込まれても全く動くことが出来なかった。むしろ不思議と落ち着くものに惹かれるように、無意識に男性の首筋へスリと擦り寄ってしまう。
 
 
「着いたら知らせます。寝ててください」
「……は、い」
 
 
 初対面のはずなのに、名前も知らないこの男性に身体は既に慣れきっている。


 不思議な安心感に意識を手放すのはすぐだった。
 


 
 
 *****
 

 
 見つけた――。

 
 この世に生を受け、親より先に認識した運命の存在。

 自分のではない記憶がその運命と共にすごした時間を渇望し、日々愛おしさと寂しさに気が狂いそうだった。
 

 別に前世の記憶がある訳では無い。

 
 その生涯を終え次に転生する度、運命の人と過ごした記憶だけが必ず受け継がれていた。
 
『楓真さん』
『フーマ様』
『楓真』
『楓真くん』
 
 その時その時で呼び方や年齢、関係性は違えど、綺麗な微笑みで俺を呼ぶ愛おしい人。
 
 
 つかささん――。
 
 
 俺は今世、あなたを見つけられないまま24になりました。
 一体どこにいるの……。
 
 
 決まって、つかささんには記憶は引き継がれない。出会えたとしても、常に初めましてから始まる関係性。あなたと出会う瞬間は何度経験しても込み上げる感動が常に大きくなっていく。
 たとえ、あなたに俺の記憶が無かったとしても、俺が覚えていて、俺があなたを見つける。
 
 俺たちは運命――。
 
 
 だから今世も、いつどこでつかささんと出会えるか、もしかしたら会えず終わってしまうかもしれない、そんな日々を過ごしていた。
 
 
 まさかたまたま父さんの代わりに気まぐれに参加した貴族たちの悪趣味な会の大トリとして大勢の目の前に晒されるあなたを目にする日が来るなんて、そんな出会いは全く想像すらしていなかった――。
 
 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

無慈悲な機械は逃げる穴を執拗に追いかける

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司と俺のSM関係

雫@不定期更新
BL
タイトルの通りです。

雄牛は淫らなミルクの放出をおねだりする

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...