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しおりを挟むそれからはもう何も考えられなかった。
「あっ、あっ、んん……っ」
エミールが腰を揺らす度、打ち付けられる度にあられもない声が口から溢れる。
恥ずかしくて口元を覆っているのに、唇を噛み締めようと力を入れるのにそのどちらもすぐに意味がなくなってしまう。
「アリー、もっと声を聞かせてくれ」
「っ、いや、こんな、あっ、はしたない……っ」
「そんな事ない。かわいい」
「……っ、もう、エミールったらそればかり」
「だって何をしていても、どんな表情でも声でもかわいいんだ、仕方がないだろう?」
「んんッ、あっ、もう……っ」
かわいいかわいいと連呼され、それも恥ずかしさを増す要因のひとつだ。
想いが通じ合ってからエミールは前にも増して甘やかな雰囲気で接してくれるようになったけれど、こうして何度もひっきりなしにかわいいと言われるのは初めてかもしれない。
エミールの目にかわいく写っているのならそれは嬉しいが、やはり恥ずかしい。
「んやっ、あ、んんんッ」
腰を押さえられ、奥を何度も貫かれる。
そこに彼のものが触れると勝手に腰が動いてしまう。
「っ、アリー、それはまずい……っ」
「え?なに……?」
「うあっ、ちょっと待っ……!」
「やっ、だめ、エミール、あっ、ああああッ」
揺れる腰にエミールが呟いたかと思ったら、すぐに深く足を抱えられこちらの腰が浮いた。
そのまま上から先程よりも深く強く激しく中に彼のものが打ち付けられもう声が止まらない。
良いところにしか当たらない。
中が更に潤み、水音が私の声と彼の吐息と混ざり部屋に響き渡る。
「ダメだ、もう……っ」
「……っ」
限界を訴える彼の声。
私ももう限界だ。
挿入される前に感じたあの感覚が再び襲ってくるのをどこかで感じる。
「アリー……っ」
「んっ、きて、エミール、もっと、もっと……っ!」
「……ッ」
「あっ、あ……っ、んう……ッ」
これまでで一番激しく揺さぶられ、どくどくと中に熱が放たれるのを感じる。
もっと深く。
もっと奥でそれを感じたくて、足を下ろし私の背に腕を回すエミールの腰にそのまま足を絡めた。
肩に腕を回し、全身を密着させるとお互いの鼓動が重なり激しく脈打っているのがわかる。
「はあっ、はあ……っ、エミール……」
激しく動かされた反動で息が切れる。
自分自身はそんなに動いていないはずなのに息も絶え絶えだ。
中ではまだエミールのものがびくびくしていて、奥にたくさん注がれているのがわかる。
それに反応して私の中も震えているようだ。
お互いを抱き締め合ったまま余韻を噛み締めていると。
「アリー」
エミールが顔をあげ、汗で張り付いた私の髪を優しく梳かし頬を撫で……
「ありがとう、俺を受け入れてくれて」
そうお礼を言われた。
その一言に胸が締め付けられる。
お礼を言われる筋合いなんてない。
ありがとうはこちらのセリフでもある。
その思いを口にする前に、エミールの手が今度は頭に伸びる。
「それで、身体は大丈夫か?痛みは?」
「痛みは、ないわ。多分大丈夫だと思う」
「良かった」
頭を撫で、心配そうに覗き込みぺたぺたと顔を触り、次に身体にも触れる。
エミールの手が腰に触れると、敏感になっている肌は簡単にびくりと震えた。
「……っ」
それは当然彼にも伝わっているだろう。
腰に触れた手だけではない。
未だ中にいるアレもたまにどくりと脈打ち私を刺激するのだ。
「アリー」
「っ、なあに?」
またもどくりとするそれに反応してしまっていると……
「もう一度、良いか?」
「え?あ……っ、や、うそ、どうして……!?」
「悪い、一度じゃ足りない」
「……っ」
すっかり質量を取り戻したそれが中で大きく主張を始め、私の返事を待たずにゆらゆらと腰を揺すられる。
小刻みにリズム良く奥だけをつんつんと突かれると、中に出されたものがぐちゅぐちゅと音を立て隙間から溢れ出す。
「待って、あっ、中が……っ」
「どうした?痛いか?」
「ちが、エミールのが、溢れちゃうから……っ、あっ、もったいない……っ
「……っ、っ」
「あ……ッ!?え、待って、激し……っ」
「今のは、アリーが悪い……っ」
「え?やっ、んっ、んあああッ」
それから更に翻弄され続け、落ち着いたのは明け方近く。
腰が立たなくなってしまい崩れ落ちる私を抱えて風呂場に向かったエミールに隅々まで身体を清められ、背後から抱き締められるように座りゆっくりと湯船に浸かっている内に眠気に襲われてきた。
「ん……」
「眠くなってきたか?無理せず目を閉じていると良い」
「んん、でも、着替えが……」
「全部俺がやっておく」
「でも……」
「良いから。無理させたのは俺なんだからアリーはゆっくりしてくれ」
「……」
湯船からはみ出た肩に手ずから湯をかけられ、優しく包み込まれる感覚に眠気はピークに。
「おやすみ、アリー」
頭にキスをされ、それに答えた気がしたのは夢か現か。
気が付けばすっかりと寝入ってしまっており、着替えやら何やらを全てエミールにさせてしまったと知ったのはやっと起きれた昼過ぎの事。
申し訳なさといたたまれなさと、昨夜初めて身体を繋げた恥ずかしさと嬉しさと喜びとで頭の中はぐちゃぐちゃになってしまったのは言うまでもない。
終わり
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ようやく初夜🤣。長かった😂。
やっとです🤣長かった🤣
アリシアがほんわか癒し系女子で、自分をしっかりともった女性で、尚且つ他人を想いやれる懐の深さがあったからこそ、この夫婦は幸せになれたんでしょうね。
そうじゃなかったら、結構すれ違いのままで終わる可能性も…………。
エミール、アリシアの懐の深さに感謝しなよ٩(๑`^´๑)۶(笑)
まっ尻に敷かれる人生でしょうね。
意外とエミール嫌いじゃなかったので、ハッピーエンドになってよかったです🥰
アリシアがアリシアじゃなかったらすれ違いはもちろん、もっとぐだぐだの泥舟になっていたかもしれないですね笑
本当に感謝しろエミール!笑
長い事お付き合いいただきありがとうございました(^^)
感想嬉しかったです!
愛してるんだって、誰が誰をかちゃんと言えー‼️ヽ(`Д´)ノプンプン。こいつは言葉が多いくらいでちょうどいい。
すみません笑