木漏れ日の中で

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㊸ アベル視点

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「え?」
コツコツと靴の音が近づいたかと思えば、ふわりと嗅ぎなれた匂いに包まれる。
気づけばワインびたしになりすっかり冷えてしまった身体が暖かい腕のなかに包まれていた。
「せ、セドリック様?」
いつの間に来てくれたのかという嬉しさと、もっと早く来て欲しかった。ずっと側にいて欲しかったという我儘に揺れながら驚いた声を出して見上げる。

セドリック様はそんな僕に優しく笑ってくれる。セドリック様の後ろにはどうやら公爵家夫妻もいるようで2人の存在まではセドリック様に抱きしめられているせいで確認できなかったけど、「アベルちゃん、来るのが遅くなってしまってごめんなさいね」「少しばかり混んでいてね」と僕に声をかけてくれたので安心する。

「さて、これはどういうことかな?リリアご令嬢。」
「え、えと、こ、これは」
さっきまで意気揚々と僕に対する罰だと兄に語っていたリリア嬢はセドリック様をはじめとする自分よりも格上の存在の公爵家にたじろいでいた。

セドリック様をそれを見てリートに何か指示を出す。リートは天蓋付きのソファを確保したうえで僕たちが今いる場所に最も近い壁側に移動させる。それから僕をセドリック様の後ろには腕中からエスコートして天蓋付きのソファに座らせてくれる。
「リート!」
「アベル様。やっぱり自分もアベル様の入場の時から一緒にいとくべきでした。こんなにワインまみれになってしまって。」
リートは謝りながら魔法を使っていつのまにか僕のワイン見れの服を綺麗にし、ワインがポタポタたれていた髪も綺麗にスッキリする。
「あ、ありがとう」

忘れがちになってしまうがリートは騎士という立場でもあるけれど騎士になるには魔法を使う巧妙さや能力も求められるので色々な魔法が使えるのだ。
それからリートはブランケットをかけてくれてカーテンを降ろす。
「あんまりアベル様におとなたちの醜態を見せたくないとセドリック様をはじめ奥様や旦那様に見せないようにと言われたので。」と言いながら。
それから、「でもここでする事はアベル様にも聞いていて欲しいとおっしゃっていましたよ」ともいう。まぁ、どんな事をするのか僕は事前に聞いているけれどやっぱり僕のために動いてくれるのだから見届けてほしいのだろう。僕もそれが筋だと思うし。
リートは何があるか分からないからと天蓋の外にでる。カーテンはうっすらと人影が見える程度の薄さなので、なんとなくセドリック様たちとリリア嬢、兄様、父様と母様が向かい合っているのは見える。

幾ら3人の希望だからって当事者の僕がここにいて良いのか。少しだけソワソワしながら誰かが口を開くのを息を殺してまった。
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