美しき怪人は少年少女探偵団を眠らせてくれない

white love it

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第2章

7.

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 次の土曜日、智也達は午前十時にマンドリル公園に集合することにした。
 マンドリル公園はかなり大きな自然公園で、中には陸上球技場やスケボーのコートがあった。
 智也と亜紀、乃愛の三人はバスを乗り継いで向かった。
 智也や亜紀はともかく、普段はワンピースやスカートを好む乃愛までが、ジーンズにジャケットという活動的なスタイルで来ていた。
 三人は今公園の駐車場入り口で、ジュースを飲みながら公園でジョギングやBBQにいそしむ大人達を眺めているところだった。

「結局、誠君はどうやって来るつもりなの?」

 公園の駐車場で待っててくれと、前日智也のところに電話があったのだ。そのことを乃愛と亜紀に話すと、二人は首を傾げた。

「バスが一番近いのにね」
「まあ、きっと寄るところでもあるんだよ。それより、二人ともブタ男の顔はちゃんと覚えた?」
「大丈夫よ。正直覚えたくはない顔だけどね」
「亜紀ちゃんはどんな顔なら覚えておきたかったの?」
「そうね……誠みたいな顔かしら? なんて言うと思った」

 亜紀の答えに乃愛がクスクスと笑う。
 と、そこに自転車に乗った誠がやってきた。半袖の下にロンT、迷彩柄のハーフパンツというスタイルだった。

「待たせたな」
「ちょっと。わざわざ自転車で来たの? バスのほうが絶対近いわよ」

 亜紀の言葉にも誠はニヤニヤと笑っているだけだった。
 智也は誠の乗ってきた自転車に目を向けた。
 カッコいいロードバイクタイプ……いや、やけにタイヤが太いな。それにギアのところがやけになっている。それにサドルの下についているのは、バッテリー?

「もしかして誠、これ、普通の自転車じゃないの?」
「まあな」

 誠は自転車(?)を駐車場脇の木に厳重にチェーンで固定した。

「一応、区分は電動アシスト付き自転車だけどな。実際はモーターバイクだよ。最高速度は時速60kmまででる。まあ、一時間が限界だけどな。ああ、亜紀、何も言うな。非常事態なんだぞ」

 口をモゴモゴさせてる亜紀やポカンとしている乃愛をなだめながら、智也は聞いた。

「こんなのどこで手に入れたの? 海外?」
「自作だよ。パーツ自体はそこいらのホームセンターでも手に入る。フィンランドの大学生がネットで設計図を公開してるんだ」
「よく組みたてられたね?」
「まず最初に試作品として、ラジコンサイズのものを造ることになってるんだ。それで上手くいけば、本物は簡単さ。半日もかからなかったぞ」
「なるほど。上手くいけば、ブタ男の自宅まであとをつけられるしね」
「そういうこと」

 乃愛が一歩進み出ると言った。

「ありがとう」
「気にするな」

 おそらく同年代上位0.1%に入るであろう美少年、美少女の見つめ合いは、中々絵になるものだった。
 そんな二人を見ながら、苦笑顔の亜紀がショートボブの髪をかきあげた。
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