美しき怪人は少年少女探偵団を眠らせてくれない

white love it

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第3章

6.

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「しかし、驚いたわ。まさか車を運転するなんて……」

 智也が再び目を開けたとき、目の前に見えたのは壁だった。背後からネイレの声がするので振り向こうとした智也だったが、両手に鈍い痛みを感じて、首を回すことしかできなかった。
 誠、亜紀、乃愛はすでに目を覚ましていたが、四人は背中越しに車座に座らせられ手をロープで固く縛られていた。
 ソファに腰掛けるネイレから見て、目の前に誠、右に亜紀、左に乃愛、そして誠の背中越しに智也の位置だった。

「俺達をどうする気だ!?」
「そもそも、なぜ私達にかまうのよ?」
「いったい、どうしてここが分かったの?」

 三人がそれぞれ、思い思いのことを話したせいか、ネイレは苦笑した。

「まず最初、どうしてここが分かったか、だけど、あの電波塔で探ったのよ。乃愛ちゃんだっけ? コンビニでお菓子を買ったでしょ? 店員が覚えていたのね、あなたのこと。その記憶を探ったの。コンビニの位置とあなた達の家の延長線にあるものといえば……この別荘地くらいだもの」

 智也は無理に後ろを振りかえっているので、首が痛くなってきた。

「それから、別にあなた達にだけかまっているわけじゃないのよ。ただ、頭のいい人間は好きだけど、同時に私の計画のリスクにもなりえるわ。だから」

 ネイレの視線がスッと冷たくなった。

「今から私の計画を話すわ。その上で、あなた達が協力的な態度を示さないのであれば、将来的に脅威になりえるリスクとみなす。あなた達は少し関わりすぎたわ。私の想定よりも幾分速くね」
 
 そう言うと、ネイレはかなり大型のナイフを取り出した。今まで隠し持っていたのが信じられないほど、大きく、重みを感じさせるものだった。
 ネイレはナイフをゆっくりとテーブルに突き刺した。
 ネイレにリスク要因とみなされることがどういう意味なのかは分からなかったが、あまりいいことにならないだろうことだけは予測がつく。
 だが、ネイレは智也達の考えにはお構いなしに話を進めた。

「私の計画が何か? それは今から半世紀以上昔に、この国で極秘裏に進められていた、あるプロジェクトに関係があるの……」

 ネイレの昔語りが始まった。
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