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生配信18 親友
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まさか、コメント欄が罵詈雑言で埋まるとは思っていなかった。前回のFF14配信では無事だったため油断していたのかも知れない。
「今後、これを教訓にしていかなくては」
そう心に誓い、PCの時計に目をやると、
「15時10分か」
本当なら今頃、楽しくグリダニアの街を観光していて、1時間後に配信を閉じる予定だった。
本来あるはずだった予定が無くなったため、現在、俺は暇をこいている。
「暇や」
口に出るほど暇なのだ。
「家事でもやるか………って、もうやったか」
何かしていないと落ち着かない俺は、家事でもと思いだったが、午前中に全ての家事関連をやったことを思い出す。
「誰かの配信を見る、なんてどうだろうか?」
動画サイト開くが、知り合いは皆、配信をしていなかった。
知らない配信者さん達は配信をしているが、
「………いや、なんか、それは他の日にでもしようかな」
知り合い以外の配信を見る気分ではないので、その案もパスする。
家で出来る案は全て却下した。あと考えられる案は、
「お外に出るしかないか」
家の中がダメなら家の外。
と言っても、外で出来る暇潰しと言ったら、俺が考えられる案は1つだけ。
………
……
…
『で、俺の家に来たわけか』
「YES!」
現在、聡太さんの家の前にいて、インターフォン越しに会話している。
なぜ、インターフォン越しなのか。
それは、旅行疲れで寝ていた聡太さんをインターフォン鬼連打で叩き起こしたから。
昨日は鬼電で、今日は鬼インターフォン。流石の聡太さんも不機嫌になり、家には入れてくれない。
どうして聡太さんの家に来たのかは説明した。
説明したのだが、玄関の鍵が一向に開く気配がない。
「そーうーたさん、あーそびーましょ」
『たーき君………死に晒せよ』
ガチャ。
「もしもし、聡太さん? あれ、インターフォン切れてる?」
俺の声は、インターフォンが切れたため、聡太さんには届かない。
おかしいな。友達が来てあげたんだから、家に入れてくれてもいいじゃん。まあ、逆の立場だったら、俺も聡太さんと同じ行動するけどね。
さてさて、このまま諦めて帰ったら、また暇人になってしまう。それだけは避けなければ。
「ということで」
ピンポン。
『———』
「ふむ。出ないか」
ピンポンピンポン。
『———』
「マジか。中々強情だな」
ピンポンピンポンピンポン。
『———』
「奥の手使わせないでくれ」
玄関前でそう呟きながら少し待つ。もし、待っても開く気配がなかったら、奥の手を使うつもりだ。
「………………」
『——————』
よし、少し待ってあげた。秒数にすると15秒くらい。
強情な聡太さんには、奥の手を使わせてもらう。
「よし」
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピン、
「うるせぇーーーーーーーーー!」
今度はインターフォン越しではなく、本人がやっと出て来てくれる。
「うるせぇんだよ! お前、何回押してんだよ!」
「さあ?」
「さあ、じゃあねぇだろ! 滝、俺が出てこなかったらお前永遠と押してたな!」
そうりゃあ、そうでしょ。本人が出てくるまでインターフォン押すでしょ。
俺は当然のように頷き、怒り心頭の聡太さんにこう言い放つ。
「逆の立場だったたら、聡太さんは?」
「俺もやる!」
ですよね。
聡太さんも同じことしますよね。出てくるまで連打しますよね。類は友を呼ぶって奴ですよ。
ところで、聡太さんは出て来たが、入って良しの言葉がない。家主が良いと言われるまで、家に入らないのは常識。なので、
ピンポン。
もう1度インターフォンを押す。
「お前、なんで………っ! 分かったよ、分かったから。もう入れよ!」
やっと許可が出たので、聡太さんの家にお邪魔する。
「お邪魔しまーす!」
「くそ、もう少し寝たかった」
パジャマ姿の聡太さんは、渋々といった形で俺を家に入れてくれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「で、何しにきたの?」
聡太さん家の居間にあるソファーに座っていると、部屋着に着替えてきた彼が聞いてくる。
「んんん? 聞いてなかったんですか、俺の話。暇してたから遊びに来たんですよ」
「んんん? じゃあ、何か? なんの用もないのに、家に来たのか?」
「まあ、そうなりますね」
「………1発、いや数十発殴りてぇ」
そう言う聡太さんだが、俺を客として扱ってくれるらしく、飲み物とお茶請けを出してくれた。
お気遣いどうも、と言い、お茶請けの煎餅を食す。
モグモグ、ゴクン。
「いつも通り、暇潰しに付き合ってくださいよ」
「ケッ! それ全部食ったら帰れよ。話は聞いてやっから」
心底嫌な顔する聡太さん。
しかし、お茶請けに出された煎餅は、硬く、また数もある。
こんな硬い煎餅、そう簡単に全部食えませんよ。
硬い煎餅を食べながら、世間話をする———2時間ほど。
面白味のない話だけなのだが、気の合う友人となら2時間などあっという間。こういう、気楽に付き合い、心の許せる友人って、俗になんて言うんだろうね?
「おい、聞いてんのか?」
「聞いてますよ。ちなみに、焼肉食べにいく話、明日ですから」
「マジか!」
親友って言うんですかね?
「今後、これを教訓にしていかなくては」
そう心に誓い、PCの時計に目をやると、
「15時10分か」
本当なら今頃、楽しくグリダニアの街を観光していて、1時間後に配信を閉じる予定だった。
本来あるはずだった予定が無くなったため、現在、俺は暇をこいている。
「暇や」
口に出るほど暇なのだ。
「家事でもやるか………って、もうやったか」
何かしていないと落ち着かない俺は、家事でもと思いだったが、午前中に全ての家事関連をやったことを思い出す。
「誰かの配信を見る、なんてどうだろうか?」
動画サイト開くが、知り合いは皆、配信をしていなかった。
知らない配信者さん達は配信をしているが、
「………いや、なんか、それは他の日にでもしようかな」
知り合い以外の配信を見る気分ではないので、その案もパスする。
家で出来る案は全て却下した。あと考えられる案は、
「お外に出るしかないか」
家の中がダメなら家の外。
と言っても、外で出来る暇潰しと言ったら、俺が考えられる案は1つだけ。
………
……
…
『で、俺の家に来たわけか』
「YES!」
現在、聡太さんの家の前にいて、インターフォン越しに会話している。
なぜ、インターフォン越しなのか。
それは、旅行疲れで寝ていた聡太さんをインターフォン鬼連打で叩き起こしたから。
昨日は鬼電で、今日は鬼インターフォン。流石の聡太さんも不機嫌になり、家には入れてくれない。
どうして聡太さんの家に来たのかは説明した。
説明したのだが、玄関の鍵が一向に開く気配がない。
「そーうーたさん、あーそびーましょ」
『たーき君………死に晒せよ』
ガチャ。
「もしもし、聡太さん? あれ、インターフォン切れてる?」
俺の声は、インターフォンが切れたため、聡太さんには届かない。
おかしいな。友達が来てあげたんだから、家に入れてくれてもいいじゃん。まあ、逆の立場だったら、俺も聡太さんと同じ行動するけどね。
さてさて、このまま諦めて帰ったら、また暇人になってしまう。それだけは避けなければ。
「ということで」
ピンポン。
『———』
「ふむ。出ないか」
ピンポンピンポン。
『———』
「マジか。中々強情だな」
ピンポンピンポンピンポン。
『———』
「奥の手使わせないでくれ」
玄関前でそう呟きながら少し待つ。もし、待っても開く気配がなかったら、奥の手を使うつもりだ。
「………………」
『——————』
よし、少し待ってあげた。秒数にすると15秒くらい。
強情な聡太さんには、奥の手を使わせてもらう。
「よし」
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピン、
「うるせぇーーーーーーーーー!」
今度はインターフォン越しではなく、本人がやっと出て来てくれる。
「うるせぇんだよ! お前、何回押してんだよ!」
「さあ?」
「さあ、じゃあねぇだろ! 滝、俺が出てこなかったらお前永遠と押してたな!」
そうりゃあ、そうでしょ。本人が出てくるまでインターフォン押すでしょ。
俺は当然のように頷き、怒り心頭の聡太さんにこう言い放つ。
「逆の立場だったたら、聡太さんは?」
「俺もやる!」
ですよね。
聡太さんも同じことしますよね。出てくるまで連打しますよね。類は友を呼ぶって奴ですよ。
ところで、聡太さんは出て来たが、入って良しの言葉がない。家主が良いと言われるまで、家に入らないのは常識。なので、
ピンポン。
もう1度インターフォンを押す。
「お前、なんで………っ! 分かったよ、分かったから。もう入れよ!」
やっと許可が出たので、聡太さんの家にお邪魔する。
「お邪魔しまーす!」
「くそ、もう少し寝たかった」
パジャマ姿の聡太さんは、渋々といった形で俺を家に入れてくれた。
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「で、何しにきたの?」
聡太さん家の居間にあるソファーに座っていると、部屋着に着替えてきた彼が聞いてくる。
「んんん? 聞いてなかったんですか、俺の話。暇してたから遊びに来たんですよ」
「んんん? じゃあ、何か? なんの用もないのに、家に来たのか?」
「まあ、そうなりますね」
「………1発、いや数十発殴りてぇ」
そう言う聡太さんだが、俺を客として扱ってくれるらしく、飲み物とお茶請けを出してくれた。
お気遣いどうも、と言い、お茶請けの煎餅を食す。
モグモグ、ゴクン。
「いつも通り、暇潰しに付き合ってくださいよ」
「ケッ! それ全部食ったら帰れよ。話は聞いてやっから」
心底嫌な顔する聡太さん。
しかし、お茶請けに出された煎餅は、硬く、また数もある。
こんな硬い煎餅、そう簡単に全部食えませんよ。
硬い煎餅を食べながら、世間話をする———2時間ほど。
面白味のない話だけなのだが、気の合う友人となら2時間などあっという間。こういう、気楽に付き合い、心の許せる友人って、俗になんて言うんだろうね?
「おい、聞いてんのか?」
「聞いてますよ。ちなみに、焼肉食べにいく話、明日ですから」
「マジか!」
親友って言うんですかね?
応援ありがとうございます!
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