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レオナとリッカはイオリの目の前でこいつの処遇について話していたんだろうか。
だとしたら、大人しく座ってなにも言わなかったイオリは俺の無駄なことは言うなという指示を忠実に守っていることになる。
なかなか利口だな。
褒めてやろうかと思ったが、こんなことでいちいち褒めていてもしょうがないか。その変わりに、小柄で歩幅が狭く、歩くのが遅いため、小走りになって追いかけているイオリを待ってやることにした。
駆けてきたイオリが俺の方を見て「ありがとうございます。」と小さく頭を下げた。
なんとなく手持ち無沙汰な気持ちになり、イオリのデコを指先で弾き「早く歩け」と声をかける。
思ったより痛かったのかデコを押さえているイオリを無視してまた歩き始める。
「レオナもトウカもあんな感じだったけど、本当はえらい奴らだからな。失礼のないようにしろよ。俺と違って2人はもともとの家柄も良いから。」
「はい。」と小さくイオリが答える。
「俺は、まぁ、あいつらとは幼馴染みたいな感じだが、あまり家柄の方が良くない。どちらかと言うと剣術というかそういうのが認められて、この地位。…レオナとも仲良かったからな。」
「だからさっき、トウカ様が部隊のこととかを話されてたんですか?」
「そう。で、今から行くのが俺の部隊の訓練場。なんか知らんが俺の戦いを見て集まってきた物付きな奴らが集まってるとこだ。」
「リッカ様も皆さんから慕われてるんですね。僕もリッカ様が戦うところ、見たい…。」
恥ずかしいのか少し俯きつつイオリが言ってきた。
「慕ってるのか技術を盗みたいのかわからんがな。俺が戦ってるところは、おいおいだな。そのうち機会があるだろ。」
「強い方の戦う姿は迫力があって、男らしくて好きです。僕も一応は鬼族の端くれなので幼いときは武術を教えられたりもしましたが、やっぱり力が弱くてあんまり…。」
控えめにイオリが言ってきた。
「なんだ、イオリも武術を習っていたのか!力が弱いのなら俺の闘い方は合わないかもしれないが、戦い方も色々あるからな。仕事がないときはイオリも訓練場を使って良いぞ。」
小鬼族も戦ったりするのか。てっきり他の鬼族の慰み者になるばかりかと。これは、ちょうど良いな。
「戦う気があるなら訓練場で鍛えろ。トウカは戦いは全然だったがレオナが強くてな。昔はレオナと組んで盗賊を狩ったりもしてたんだが。レオナは王になったからな。さすがに最前線に立つわけにはいかないから。俺の隣が空いたままなんだ。これまではその時1番強いやつと組んでいたが、固定で組めるならその方が楽だからな。」
そういうとイオリが驚いたような顔をしてこっちを見てきた。
「た、戦いの場に立つことは好きです!僕もリッカ様と戦いたい。訓練、頑張ります!」と言って嬉しそうにする。
…健気な奴だな。
「弱い奴と組む気はないから、強くなれよ。」
「リッカ様とご一緒できるよう強くなります!」
いつもより大きめの声で宣言してきた。
奴隷だからか?忠実な奴だな。まぁ、その方が俺としてはありがたいが。
「ほら、ここだ。入るぞ。」
嬉しそうにしているイオリを横目に見て、訓練場の扉を開けた。
だとしたら、大人しく座ってなにも言わなかったイオリは俺の無駄なことは言うなという指示を忠実に守っていることになる。
なかなか利口だな。
褒めてやろうかと思ったが、こんなことでいちいち褒めていてもしょうがないか。その変わりに、小柄で歩幅が狭く、歩くのが遅いため、小走りになって追いかけているイオリを待ってやることにした。
駆けてきたイオリが俺の方を見て「ありがとうございます。」と小さく頭を下げた。
なんとなく手持ち無沙汰な気持ちになり、イオリのデコを指先で弾き「早く歩け」と声をかける。
思ったより痛かったのかデコを押さえているイオリを無視してまた歩き始める。
「レオナもトウカもあんな感じだったけど、本当はえらい奴らだからな。失礼のないようにしろよ。俺と違って2人はもともとの家柄も良いから。」
「はい。」と小さくイオリが答える。
「俺は、まぁ、あいつらとは幼馴染みたいな感じだが、あまり家柄の方が良くない。どちらかと言うと剣術というかそういうのが認められて、この地位。…レオナとも仲良かったからな。」
「だからさっき、トウカ様が部隊のこととかを話されてたんですか?」
「そう。で、今から行くのが俺の部隊の訓練場。なんか知らんが俺の戦いを見て集まってきた物付きな奴らが集まってるとこだ。」
「リッカ様も皆さんから慕われてるんですね。僕もリッカ様が戦うところ、見たい…。」
恥ずかしいのか少し俯きつつイオリが言ってきた。
「慕ってるのか技術を盗みたいのかわからんがな。俺が戦ってるところは、おいおいだな。そのうち機会があるだろ。」
「強い方の戦う姿は迫力があって、男らしくて好きです。僕も一応は鬼族の端くれなので幼いときは武術を教えられたりもしましたが、やっぱり力が弱くてあんまり…。」
控えめにイオリが言ってきた。
「なんだ、イオリも武術を習っていたのか!力が弱いのなら俺の闘い方は合わないかもしれないが、戦い方も色々あるからな。仕事がないときはイオリも訓練場を使って良いぞ。」
小鬼族も戦ったりするのか。てっきり他の鬼族の慰み者になるばかりかと。これは、ちょうど良いな。
「戦う気があるなら訓練場で鍛えろ。トウカは戦いは全然だったがレオナが強くてな。昔はレオナと組んで盗賊を狩ったりもしてたんだが。レオナは王になったからな。さすがに最前線に立つわけにはいかないから。俺の隣が空いたままなんだ。これまではその時1番強いやつと組んでいたが、固定で組めるならその方が楽だからな。」
そういうとイオリが驚いたような顔をしてこっちを見てきた。
「た、戦いの場に立つことは好きです!僕もリッカ様と戦いたい。訓練、頑張ります!」と言って嬉しそうにする。
…健気な奴だな。
「弱い奴と組む気はないから、強くなれよ。」
「リッカ様とご一緒できるよう強くなります!」
いつもより大きめの声で宣言してきた。
奴隷だからか?忠実な奴だな。まぁ、その方が俺としてはありがたいが。
「ほら、ここだ。入るぞ。」
嬉しそうにしているイオリを横目に見て、訓練場の扉を開けた。
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