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お揃いのキーホルダー
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藤澤君はそう言ってそのアザラシのぬいぐるみの顔を指でぐにぐにと潰して遊んでいる。
「やっぱりアザラシかペンギンが水族館人気ナンバーワンかな?」
そう言いながら藤澤君は真剣な顔でスマホ検索をし始めた。
「わ、違う! イルカだ! そうかー、イルカか、そうだよな、イルカいたわ、そういえば」
藤澤君はそう言って一人で検索結果に納得している。
「疑問が生まれるとスマホで即検索しちゃうとか、イマドキの若者だねー」
私がそう言うと藤澤君はムキになって反論してきた。
「え、だって気になるじゃん」
「はいはい。あ、そういえば、イルカショーも見たいね」
「うん、俺、イルカも大好き。超賢くない? イルカ」
その後見たイルカショーでも藤澤君は子どもたちにまじってはしゃいでいた。こういう無邪気なところが好きなんだよなあ。
藤澤君がお手洗いに行ったタイミングで化粧直しに行った。お手洗いの鏡で何度も自分の髪型や化粧をチェックしてしまう。お手洗いから戻る私を待つ藤澤君の姿が遠くに見えた。やっぱり藤澤君は遠くから見ても目を引くくらいかっこいい。
まず顔がとても小さくて足が長い。身長は175cmくらいですごく大きいというわけではないけれど、顔の小ささでとてもスタイルが良く見える。
ぼんやりと遠くを見ていた藤澤君が私の姿に気がつき、私に笑顔を向けてくれる。その笑顔を見るだけで心がふわんと暖かくなった。……こんなに幸せでいいのかな?
「じゃあ、そろそろご飯食べに行こうか」
「うん」
そう言って水族館の出口を出たところで、藤澤君が立ち止まった。
「あ、そうそう、奈々美さん」
「何?」
私が言うと、藤澤君はさっとポケットに手を入れた。
「じゃーん!」
藤澤君はそう言うと、さっきお土産屋さんで私が見ていたアザラシのぬいぐるみをポケットから勢いよく取り出して見せた。
右手にはちょっと怒った顔をしてピンクのボールを抱いたアザラシ、左手にはちょっとしょんぼりした顔をしてブルーのフラフープにしがみついているアザラシを持っている。
「……お揃いとかちょっとベタかなって思ったんだけど、俺、こういうとこでお土産買うの好きなんだよね。奈々美さんを待っている間に買っちゃった」
そう言うと藤澤君はピンク色のほうのアザラシをぐりぐりと私の頬に押し付けてきた。
「はい、奈々美さんのぶん」
「ちょ、ちょっとー。子どもか、あなたは」
照れ隠しで言った。
「俺、奈々美さんが思ってるよりずっと子どもだよー?」
「あ、ありがとう」
アザラシを受け取った私がお礼を言うと、藤澤君はにっこりと笑った。藤澤君に手渡されたアザラシを私は壊れ物を扱うようにそっと鞄にしまった。
お昼は藤澤君が予約してくれていたイタリアンのお店に入った。人気のナポリピザのお店らしく、店内はほぼ満席だったけれど、予約をしていたので待たされることなく席に着くことができた。
二人で散々頭を悩ませた挙句、前菜の盛り合わせ、マルゲリータとクアトロフォルマッジのハーフ&ハーフのピザにペスカトーレと牛肉の炭火焼きを注文した。
アツアツのピザが運ばれてくると藤澤君は大きな口で頬張った。
「うまい!」
藤澤君には無邪気という言葉がよく似合う。
「ちょ……なに、このチーズ、もちょもちょだね」
藤澤君が言った。その言葉に私は思わず尋ね返した。
「も、もちょもちょ……ってなに?」
「ん……なんていえばいいの?」
「もちもちじゃない?」
藤澤君の言い方がおかしくて私はくすくすと笑った。最近わかってきたことだけど、藤澤君は職場ではしっかりしているのに私生活ではちょっと抜けている。どの料理もすごく美味しくて二人でお腹いっぱいになるまで食べた。
「やっぱりアザラシかペンギンが水族館人気ナンバーワンかな?」
そう言いながら藤澤君は真剣な顔でスマホ検索をし始めた。
「わ、違う! イルカだ! そうかー、イルカか、そうだよな、イルカいたわ、そういえば」
藤澤君はそう言って一人で検索結果に納得している。
「疑問が生まれるとスマホで即検索しちゃうとか、イマドキの若者だねー」
私がそう言うと藤澤君はムキになって反論してきた。
「え、だって気になるじゃん」
「はいはい。あ、そういえば、イルカショーも見たいね」
「うん、俺、イルカも大好き。超賢くない? イルカ」
その後見たイルカショーでも藤澤君は子どもたちにまじってはしゃいでいた。こういう無邪気なところが好きなんだよなあ。
藤澤君がお手洗いに行ったタイミングで化粧直しに行った。お手洗いの鏡で何度も自分の髪型や化粧をチェックしてしまう。お手洗いから戻る私を待つ藤澤君の姿が遠くに見えた。やっぱり藤澤君は遠くから見ても目を引くくらいかっこいい。
まず顔がとても小さくて足が長い。身長は175cmくらいですごく大きいというわけではないけれど、顔の小ささでとてもスタイルが良く見える。
ぼんやりと遠くを見ていた藤澤君が私の姿に気がつき、私に笑顔を向けてくれる。その笑顔を見るだけで心がふわんと暖かくなった。……こんなに幸せでいいのかな?
「じゃあ、そろそろご飯食べに行こうか」
「うん」
そう言って水族館の出口を出たところで、藤澤君が立ち止まった。
「あ、そうそう、奈々美さん」
「何?」
私が言うと、藤澤君はさっとポケットに手を入れた。
「じゃーん!」
藤澤君はそう言うと、さっきお土産屋さんで私が見ていたアザラシのぬいぐるみをポケットから勢いよく取り出して見せた。
右手にはちょっと怒った顔をしてピンクのボールを抱いたアザラシ、左手にはちょっとしょんぼりした顔をしてブルーのフラフープにしがみついているアザラシを持っている。
「……お揃いとかちょっとベタかなって思ったんだけど、俺、こういうとこでお土産買うの好きなんだよね。奈々美さんを待っている間に買っちゃった」
そう言うと藤澤君はピンク色のほうのアザラシをぐりぐりと私の頬に押し付けてきた。
「はい、奈々美さんのぶん」
「ちょ、ちょっとー。子どもか、あなたは」
照れ隠しで言った。
「俺、奈々美さんが思ってるよりずっと子どもだよー?」
「あ、ありがとう」
アザラシを受け取った私がお礼を言うと、藤澤君はにっこりと笑った。藤澤君に手渡されたアザラシを私は壊れ物を扱うようにそっと鞄にしまった。
お昼は藤澤君が予約してくれていたイタリアンのお店に入った。人気のナポリピザのお店らしく、店内はほぼ満席だったけれど、予約をしていたので待たされることなく席に着くことができた。
二人で散々頭を悩ませた挙句、前菜の盛り合わせ、マルゲリータとクアトロフォルマッジのハーフ&ハーフのピザにペスカトーレと牛肉の炭火焼きを注文した。
アツアツのピザが運ばれてくると藤澤君は大きな口で頬張った。
「うまい!」
藤澤君には無邪気という言葉がよく似合う。
「ちょ……なに、このチーズ、もちょもちょだね」
藤澤君が言った。その言葉に私は思わず尋ね返した。
「も、もちょもちょ……ってなに?」
「ん……なんていえばいいの?」
「もちもちじゃない?」
藤澤君の言い方がおかしくて私はくすくすと笑った。最近わかってきたことだけど、藤澤君は職場ではしっかりしているのに私生活ではちょっと抜けている。どの料理もすごく美味しくて二人でお腹いっぱいになるまで食べた。
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