冷酷な王子がお馬鹿な私にハマり過ぎて婚約破棄できなくなってることを周りは誰も知りません※R15

みかん畑

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「お嬢様……。お嬢様……」
「ふぁ……。んー。エミリーですかぁ? まだ眠たいので寝ますぅ」
「もう起きる時間ですよ」
「あと10秒待ってください~」
「10秒ですね……。心得ました……」

 ん……。エミリーの声が泣いているような気がします。
 私は心配になって起きました。

「エミリー、どうしましたか?」
「ああ、お嬢様……ッ!」

 いきなり強く抱きしめられて驚きました。
 でも、エミリーのぬくもりに安堵を感じます。

 頭を何度も撫でられて、頬にキスまでされてしまいました。

「もう、どうしたんですか?」
「失礼しました。あまりにお嬢様を慕う気持ちが強すぎて、安堵から暴走してしまったようです」
「ここは……」

 思い出しました! 私、マリエルと入れ替わって牢屋に入れられたんでした!

「すまない。謝って許されることではないが、今のやり取りを見て確信した。本物は君だったんだな……」
「あ、殿下。もしかして、入れ替わりに気づいたんですか?」
「……そうだ。この通りだ。本当にすまなかった」

 そう言って、殿下は床に頭をこすりつけて土下座をしました!

「何してるんですか! 髪が汚れちゃいます!」
「俺は、もう婚約者を名乗るつもりはない。こんな、到底許されない扱いを君に行った。あの女に騙され、結婚までしてしまった。俺はクズだ……」
「このクズが……! お嬢様を犯すだけ犯して、入れ替わりにすら気づけないとはな! 死んで詫びろクズが!」
「エミリー落ち着いて!」
 
 本当に殿下の頭を踏み潰そうとしていたので、慌てて止めます!

「リア、彼女は俺を攻撃する正当な理由がある。自分の主人をこんな場所に入れたんだ……。下手したら死んでいてもおかしくなかったんだ。エミリーが俺を恨む気持ちは分かる」
「知った風な口を利くな! お嬢様の上っ面しか見てないからこんな事態になるんだ! 貴様になどもう預けられない! お嬢様は私が一生面倒を見る!」

 エミリーにプロポーズされちゃいましたよ! 嬉しいですけど、ちょっと落ち着いて欲しいです!

「エミリーが来てくれて本当に嬉しかったです。でも、殿下もちょっと遅れましたけど、ちゃんと気づいて来てくれたから良かったですよ」
「まさか、俺を許すつもりなのか?」
「はい。ちゃんとリアにもプロポーズしてくれますか?」
「う……ふぐっ……うぅぅぅぅぅぅぅ……!!!」

 殿下がマジ泣きしてます!? 王族なのに……!

「自分が許せない……!!!! どうして俺は気づかなかったんだ……! クソォ……ッ!!!!」

 ゴッ……と、殿下が石畳を殴りつけました……!

「や、やめてください! 何してるんですか!」

 慌てて止めます。エミリーも迅速に動いて、殿下を無理やり立たせるとベッドに投げ飛ばしました。

「やりすぎですよ!?」
「申し訳ありません。ですが、自傷に逃避しようとしたので止めさせていただきました」
「俺は自分が許せないんだ!」
「自己満足で不甲斐ない気持ちを解消されても困ります」
「しかし、俺は……!」
「うるさいので黙ってください。私はお嬢様に会う完璧な殿方を探している途中ですが、今のところ、本当に気に入らないことですが、お嬢様が一番愛しているのはあなたです」

 すごく悲しかったですけど、今は殿下の愛情が戻ってきてますから。
 リアは馬鹿かもしれないですけど、まだ殿下のことが好きです。

「先ほどは激情に駆られ酷い暴言を吐きました。申し訳ありません」
「……いや。到底許されないことをした俺の責任だ」
「ニャー」

 あれ? エリーがまた出てきました。
 屋敷に帰ってなかったんですね?

「なぜマリーがここに……」
「その子は精霊じゃないか?」
「え!?」
「聖女は犬か猫の精霊を従えているらしい。俺も文献で読んだのみだが、ただの猫に屋敷と牢屋を往復する能力は流石にないだろう」
「……ということは、お嬢様にはまだ聖女としての力が残っていることになります。もしかしたら、女神様に頼れば元の身体に戻してもらえるかもしれません」

(え!? 戻れるかもなんですかぁ!?)

『祈ったら戻しますよー』

「も、戻せるみたいです。女神様の声が聞こえました」
「神託……。これでマリエルの中にいるのがリアだって証明できるな。マリエルがしでかしたことを公の場で示せる」

 殿下の言葉に力が戻ってます。

「マリー、偉いですよー」
「なーぅ」
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