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祭りだ！大騒ぎだ

ＦＡ３

　敵の本陣に行き、敵リーダーを倒す。
僕が勝利するにはそれしか方法はない。
　時間切れ狙いも考えたけど、それは危険だと思う。
あの数が本気になれば、どれだけ逃げ回ってもいずれ撃墜されるだろう。

　
　ただし下手に近づいたら、撃墜される。
敵もそこまで馬鹿じゃない。対シルフィード・ファルシュ用の対空兵器を用意している。
　近づくには敵の対空兵器を装備している機体を潰さなくてはならない。
ドローンからの情報で場所はもう分かっている。


　その二脚戦車は他の二脚戦車より二回りは大きい。
小型機というより、中型機に近いかも。

「たしか、レインだったっけ？」

　レインは両肩に対空ミサイルランチャーを装備しており、空を飛ぶファルシュの天敵とも呼べる機体だ。
普通に戦ったら勝てない。


　背中に装着していた武装を構えた。
ファルシュ専用ロングレンジライフル。
その全長はウェンディーより長い。
　花火の素材探しで島巡りをしていた時、ある島のファルシュの格納庫で放置されていた物だ。
錆びだらけで廃棄寸前だったそれをタダで引き取った。


　勿論、レストア済み。ちゃんと撃つことができる。
これが放置されていた理由は重いから。それ故にファルシュに装備するのには不適格だ。
でも、ＦＡ３のパワーなら問題ない。


　空中で姿勢を制御し、狙撃ができる体勢にする。
このライフルの装弾数は１２発。
　それに対して目標は５機。
右に２、左２、中央に１。


　いずれもここからなら狙い撃てる。
しかし、こちらが狙えるということは向こうも狙える。
　でも、撃ってくることはないだろう。
ジャミングの影響でレインの対空ミサイルは追尾機能が弱くなっている。
確実に当てられる距離までこちらが近づくのを待つはずだ。
もし、撃ってきてもブースターを使えば軽く躱せるから大丈夫。


　普通に考えたら、この距離で撃っても命中はしない。
カメラを最大望遠にしても、敵の二脚戦車は小さな点にしか見えない。

「それが間違いだということ教えてあげるよ」

　カメラにはほとんど映ってなくても、ドローンのおかげのその姿は捉えることができている。
敵の位置が正確に分かっても、それだけでは狙撃は成功しない。
　銃弾は重力や風などの影響を受けてしまう。
それは距離が長いほど強くなる。


　どれぐらいの影響を受け、目標から逸れるか、それを計算して撃たなければ命中しない。
ウェンディーに搭載してある弾道計算システムは悪い物ではないけど、この距離の狙撃ができるほど高性能ではない。
　だけど、それはこのシステム単体での話。ドローンを使えば、可能になる。
ドローンの中には観測機器を装備してある物もおり、そこから送られてくる風量などの情報をシステムに入力して弾道計算させれば、長距離高精度狙撃もできるはずだ。


　まずは一射目。
狙いは右にいる一機。
　
「シュート！」

　トリガーを引くと、ロングレンジライフルから一発の銃弾が放たれた。
銃の反動で後ろに飛ばされないよう、発射と同時にブースターを使った。

「ちっ！逸れた」

　弾丸は対空機でなく、その傍にいた機体に命中した。
すぐに二射目に移らなくては、逃げられる。
　でも、もう外さない。
今回の誤差も計算に入れる。


「よし！命中した」

　再び放たれた銃弾はレインのど真ん中に命中。
弾は機体を貫通し、後ろにいた二脚戦車にも当たった。
　二枚抜きを喜んでいる場合じゃない。
残りのレインも破壊しなきゃ。


「全機撃墜っと」

　問題は起こらず、全てのレインの破壊に成功した。
残りの弾は四発ある。ここから敵リーダーを狙えれば一番いいんだけど、流石にそれは不可能。
目の前に高い丘があって、狙えない。


　ジャマになるのでロングレンジライフルを持って、行動はできない。
ここで弾を使い切り、捨てていく。
　一機気になる機体がある。
見た目はレインと変わらない。
しかし、肩にあるのはミサイルランチャーではなく、巨大な大砲だ。


　なんか嫌な感じがする。
気のせいかもしれないが、一応落としておこう。

「撃ってきた！？」

　狙撃姿勢に入ろうとした時、あの機体の大砲から砲弾が発射された。
でも、弾道はかなりズレており、避けなくても大丈夫そうだ。
苦し紛れに撃ったのかな？


　砲弾から目を離し、狙撃に戻ろうとした瞬間、砲弾は空中で破裂、中から無数の小型の弾丸が飛び出してきた。
避けないとまずい！

「ブースト！」

　ブースターを動かし、緊急回避を試みる。
ブースターによってウェンディーは急加速。弾丸の影響範囲から高速で外れた。
ウェンディーの横を弾丸が通り過ぎる。


　機体の状況をちゃんとチェックしたら、損傷はなかった。全弾の回避に成功したようだ。
しかし、もう一度撃たれたら、今度も避けれるかは分からない。
次の弾が来る前に撃墜しなきゃ。