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風吹く星よ
シルフィダイト2
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「なんで統合軍がこれを欲しがっているんですか?微風を出すだけなんですけど」
「それはね、シルフィードの動力に使われる素材の一つなのよ」
「これがですか!?」
だとしたら、シルフィダイトは命玉と進化の鍵に匹敵するアイテムだ。
シルフィードについて、判明していることは少なく、動力源の情報なんて、全く出回っていない。
あの機体はまだプレイヤーが触れられる領域にはないのだろう。
革命が起こってしまったために、プレイヤーの前に現れたが、それがなければ、その存在すら知ることはできなかったはずだ。
「シルフィダイトは大量のエアロダイトを数十年掛けて、結晶化させることで作れるの。この大きさなら、50年は必要ね。統合軍は傘下の島に作らせているそうだけど、シルフィダイトが作れる結晶化装置の数なんて、たかが知れているの」
少なくともエンジ島の物とナートリ島の物はシルフィダイトは作れない。
あそこの二つは僕が修理整備を行ったが、そんな機能は見つからなかった。
「それに精製中はエアロダイトは作れなくなるからね。シルフィダイトの使い道はシルフィードぐらいなのよ。精製可能な装置を所持している島でも作っているところはほとんどないわ。儲からないからね。数十年分のエアロダイトの取引の利益を捨ててまで作る価値はないのよ」
エアロダイト結晶は生活必需品。絶対に売れる商品だ。
その数十年分の取引の利益を軽く計算してみたら、僕らの全財産、しかも工場に出資前の時の数十倍の金額が出た。
これを捨ててまで、統合軍に媚びを売る島は少ないと思う。
統合軍派と一口に言っても、完全に従っている島はそんなに多くないのだ。
利益があるから統合軍に従っている島の方が多数らしい。
「現物があるなら、統合軍は奪ってでも手に入れようとするわ。気を付けなさい」
「分かりました。ありがとうございます」
シルフィダイトはしばらく封印かな。
宇宙に行くか、統合軍の問題が解決するまでデバイスの中から出さないでおく。
シルフィダイトの詳細を聞いてしまったせいで、好奇心が抑えられなくなってしまった。
シルフィードの動力は一体どんなものなのだろう?
「これがあればシルフィードの動力源を作れるんですよね?」
「勿論、それ一つじゃ作れない。他にも色んな素材がいるの」
「例えば?」
「知らないわ。知っているのは統合軍の研究者だけ。奴らの最高機密よ。私が知っているのはそれが必要だということだけ。どう使うのかも知らないわ」
「そうですか」
それは残念。
シルフィードはヴィンディス最強の機体。プレイヤーの誰もが興味がある。僕も例外じゃない。
「もしかして、シルフィードを作ってみたいの?」
「いずれは、ですけど」
「ヴィニア。話してないのね」
「当たり前だろ。あれは国の最高機密だ」
二人は何やら秘密の話し合いをしていた。
「いい?あんなものは絶対に作っちゃ駄目よ」
「何故ですか?」
「申し訳ないけど、私じゃ大したことは話せないわ。でも、これだけは言える。あれは存在を許されてはいけないの。新たに作るのも駄目」
そう言われても、ちゃんとした理由が分からないと、好奇心を抑えるのは難しい。
それに存在が許されていないのなら、今現存するシルフィードは一体何なんだろう。
「じゃあ何で今も使われているんですか?」
「それは……」
「裏切りだ。あの機体はかの者たちとの誓いを裏切ったために存在する。早急に破壊する必要がある。それが我らがかの者に示すことができる唯一の誠意だ」
ベラさんは言葉を続けることはできなかった。
ヴィニアちゃんが割り込んできたからだ。
「ヴィニアちゃん?どうしたの?」
「破壊せねば。破壊せねば」
なんだか彼女の様子がいつもと違う。
目は虚ろで焦点が定まっておらず、壊れたAV機器のように破壊という言葉を繰り返している。
「ヴィニアちゃん!しっかりして!ヴィニアちゃん!!」
ユラさんがヴィニアちゃんの体を激しく揺さぶる。
「ユラ姉ちゃん、どうかしたの?」
「どうかしたのじゃないよ。大丈夫?」
ヴィニアちゃんはさっきの自分の様子を覚えてはいないようだった。
「彼女に一体何が……」
ヴィニアちゃんは明らかに普通じゃなかった。
「この件については詮索はしないでもらえますか」
ベラさんの目力があまりにも凄かったので、思わず頷いてしまった。
やっぱりヴィニアちゃんには統合軍が狙うだけの秘密があるに違いない。
さっきの様子から推測すると、シルフィードが関係しているのかもしれない。
ベラさんと約束したし、僕の方から探るつもりはない。
どうせ、ヴィニアちゃんと関わっていれば、自ずと明らかになるはずだしね。
彼女たちの言葉を信じるのなら。シルフィードは作ってはいけない。
僕は諦めても構わない。
僕的にはシルフィードをそのまま作るよりも、シルフィードに匹敵する機体を新たに開発する方が絶対に楽しいと思うし。
「それはね、シルフィードの動力に使われる素材の一つなのよ」
「これがですか!?」
だとしたら、シルフィダイトは命玉と進化の鍵に匹敵するアイテムだ。
シルフィードについて、判明していることは少なく、動力源の情報なんて、全く出回っていない。
あの機体はまだプレイヤーが触れられる領域にはないのだろう。
革命が起こってしまったために、プレイヤーの前に現れたが、それがなければ、その存在すら知ることはできなかったはずだ。
「シルフィダイトは大量のエアロダイトを数十年掛けて、結晶化させることで作れるの。この大きさなら、50年は必要ね。統合軍は傘下の島に作らせているそうだけど、シルフィダイトが作れる結晶化装置の数なんて、たかが知れているの」
少なくともエンジ島の物とナートリ島の物はシルフィダイトは作れない。
あそこの二つは僕が修理整備を行ったが、そんな機能は見つからなかった。
「それに精製中はエアロダイトは作れなくなるからね。シルフィダイトの使い道はシルフィードぐらいなのよ。精製可能な装置を所持している島でも作っているところはほとんどないわ。儲からないからね。数十年分のエアロダイトの取引の利益を捨ててまで作る価値はないのよ」
エアロダイト結晶は生活必需品。絶対に売れる商品だ。
その数十年分の取引の利益を軽く計算してみたら、僕らの全財産、しかも工場に出資前の時の数十倍の金額が出た。
これを捨ててまで、統合軍に媚びを売る島は少ないと思う。
統合軍派と一口に言っても、完全に従っている島はそんなに多くないのだ。
利益があるから統合軍に従っている島の方が多数らしい。
「現物があるなら、統合軍は奪ってでも手に入れようとするわ。気を付けなさい」
「分かりました。ありがとうございます」
シルフィダイトはしばらく封印かな。
宇宙に行くか、統合軍の問題が解決するまでデバイスの中から出さないでおく。
シルフィダイトの詳細を聞いてしまったせいで、好奇心が抑えられなくなってしまった。
シルフィードの動力は一体どんなものなのだろう?
「これがあればシルフィードの動力源を作れるんですよね?」
「勿論、それ一つじゃ作れない。他にも色んな素材がいるの」
「例えば?」
「知らないわ。知っているのは統合軍の研究者だけ。奴らの最高機密よ。私が知っているのはそれが必要だということだけ。どう使うのかも知らないわ」
「そうですか」
それは残念。
シルフィードはヴィンディス最強の機体。プレイヤーの誰もが興味がある。僕も例外じゃない。
「もしかして、シルフィードを作ってみたいの?」
「いずれは、ですけど」
「ヴィニア。話してないのね」
「当たり前だろ。あれは国の最高機密だ」
二人は何やら秘密の話し合いをしていた。
「いい?あんなものは絶対に作っちゃ駄目よ」
「何故ですか?」
「申し訳ないけど、私じゃ大したことは話せないわ。でも、これだけは言える。あれは存在を許されてはいけないの。新たに作るのも駄目」
そう言われても、ちゃんとした理由が分からないと、好奇心を抑えるのは難しい。
それに存在が許されていないのなら、今現存するシルフィードは一体何なんだろう。
「じゃあ何で今も使われているんですか?」
「それは……」
「裏切りだ。あの機体はかの者たちとの誓いを裏切ったために存在する。早急に破壊する必要がある。それが我らがかの者に示すことができる唯一の誠意だ」
ベラさんは言葉を続けることはできなかった。
ヴィニアちゃんが割り込んできたからだ。
「ヴィニアちゃん?どうしたの?」
「破壊せねば。破壊せねば」
なんだか彼女の様子がいつもと違う。
目は虚ろで焦点が定まっておらず、壊れたAV機器のように破壊という言葉を繰り返している。
「ヴィニアちゃん!しっかりして!ヴィニアちゃん!!」
ユラさんがヴィニアちゃんの体を激しく揺さぶる。
「ユラ姉ちゃん、どうかしたの?」
「どうかしたのじゃないよ。大丈夫?」
ヴィニアちゃんはさっきの自分の様子を覚えてはいないようだった。
「彼女に一体何が……」
ヴィニアちゃんは明らかに普通じゃなかった。
「この件については詮索はしないでもらえますか」
ベラさんの目力があまりにも凄かったので、思わず頷いてしまった。
やっぱりヴィニアちゃんには統合軍が狙うだけの秘密があるに違いない。
さっきの様子から推測すると、シルフィードが関係しているのかもしれない。
ベラさんと約束したし、僕の方から探るつもりはない。
どうせ、ヴィニアちゃんと関わっていれば、自ずと明らかになるはずだしね。
彼女たちの言葉を信じるのなら。シルフィードは作ってはいけない。
僕は諦めても構わない。
僕的にはシルフィードをそのまま作るよりも、シルフィードに匹敵する機体を新たに開発する方が絶対に楽しいと思うし。
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