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滅びし水晶の惑星

ベース22再訪

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 ベース22に到着した。
マイグラントをベース22の宇宙船ドックに着陸させる。
 マイグラントの船体は巨大だけど、牽引ビームの誘導のおかげでどこにもぶつけずに着陸することができた。
まず僕が先行し、ユラさんたちには船で待機してもらう。
もうズールがいないので、安全なはずだが、他のモンスターがベース内に侵入している可能性があるからだ。


 本当はジルコニアを着用して行きたかったが、現在修理中。
クインシフ脱出に使用する可能性があったガーディフォースと紅霞の修理を優先したからだ。
 代わりにパワードアームを着用して降りる。
船から降りると、二体のお手伝いロボが僕らを迎えてくれた。

「オカエリナサイ」
「ただいま」

 彼らはベース22に常駐していた作業ロボだ。
僕がいない間、ベース22の操作をしてくれていた。
シルフィード戦とヴィンディス離脱時、牽引ビームの照射をしてくれたのは彼らなのである。


 先史文明が製造したロボットなので、性能自体はヴィンディス製の物よりも上。
ただし、中身は壱たちの方が上だろう。
 彼らの自己判断能力は低い。いちいち指示を与えないと、ちゃんと働いてはくれない。
この点は壱たちよりも劣っている。後で改良するつもりだ。


「作業の進捗状況はどうなってる?」

 僕がいない間、彼らには荒れ放題だったベース22の掃除をお願いしていた。

「セクション1、20%、セクション2、50%、セクション3、10%、セクション4、10%、セクション5、15パーセント」

 あまり進んでいないけど、これは予想通りだ。
幾ら性能が高くても、広大なベース22全てをたった二体で掃除するのは不可能なのだ。
セクション2が半分終わっているだけでも、十分成果をあげていると言える。


 マザーズールがいたセクション5の進捗が3、4に比べて高いのはここを優先するように頼んでおいたから。
マザーズールが根城にしていたセクション5のガーデンは汚染物質が混ざった除草剤を撒いたため、人が侵入できる環境ではなくなっている。それを除染するように命令していたのである。


 とりあえず、セクション2の警備室に向かう。
警備室への道中、危険な物と遭遇することはなかった。
 監視カメラの映像を確認したが、特に問題はなかった。
これなら、ユラさんたちを呼んでも大丈夫だろう。


「ユラさん、聞こえる?大丈夫みたいだよ」
『ごめんなさい』
「何があった……コネコめ」

 ユラさんが謝罪した原因は監視カメラの映像を見たら、すぐに分かった。
コネコが我慢できずに船から降りていたのだ。


 よく考えたら、あいつが我慢できるはずがない。
椅子にでも縛り付けておくべきだった。
 コネコは一部屋一部屋を見て回っている。
このスピードなら、危険があるかもしれないセクション3に行く前に捕まえることができるだろう。


 警備室を飛び出し、コネコの元に向かった。
奴は今、食堂にいる。急げば間に合うだろう。
 食堂に行くと、コネコはテーブルを観察していた。
僕に気付いたコネコは逃走を図ろうとしたが、出口はユラさんとヴィニアちゃんが塞いでいた。


「で、申し開きは?」
「仕方ないのだ。我が探求心は止められん」
「仕方なくないよ」

 コネコをきつく叱ることは司馬さんから許可を得ている。


「まったく人騒がせだよな」
「あっ!待って!」

 ヴィニアちゃんは食堂の椅子に腰掛けようとしたので、慌てて止める。
だけど、少し遅かった。

「うわっ!」

彼女の体重が椅子に掛かった瞬間、椅子の足が折れ、床に転げ落ちた。


「いてて」
「大丈夫?」

 転んだヴィニアちゃんをユラさんが助け起こした。

「下手に触らない方がいいよ。とんでもなく古いからね」

 ベース22が使われていたのは遥か昔。
劣化している物が多く、下手に触ると壊れてしまう。
椅子だけじゃなくて、長机もぐらついていた。体重を少し掛けただけでも、足が折れそうだ。


「とりあえず、これを片付けよっか」

 食堂の出入り口は長机を出せるほど広くはない。
食堂から出すには解体しなければならない。工具は必要ない。
 劣化した長机と椅子は少し力を籠めるだけで簡単に壊せる。
壊した長机と椅子は作業ロボたちが次々と運び出している。
デバイスに突っ込んでもいいんだけど、どうせ処分するのだから、ついでに運んでおいた方が手間が省ける。


 長机と椅子は二体のお手伝いロボが片付けたゴミを集めている場所に運ばれている。
場所は宇宙船ドック。マイグラントを停泊している宇宙船ドックとは反対方向にあるドックだ。
ゴミは再利用できる物を仕分けし、残りは焼却処分するつもりだ。
 燃やした際に生じる灰も無駄にしない。
灰にも肥料など使い道があるのだ。
資源は大事にしないとね。
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