幼女先生と不思議な課外授業

青衣

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11月15日【クリアファイルの原価は数円】

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 通学途中の事だ……駅前で何やら人が物を配っているのをミカンと共に目にした。
 まずこういうのは直感的察するなら関わるとろくなことにならない。
 しかし駅に入るためには配り人の前を通過しなくてはならなず、こういうのが苦手な俺はミカンの影に隠れるように素通りすることに。

「これ、よかったらどうぞ。」

「……。」

 ミカンは涼しい顔をしながら無言で受け取った。
 何を受け取ったのかはさすがに気になる。

「なぁんだ、配ってたのはポケットティッシュじゃないのな。 クリアファイルか。」

「お、おぉ……。」

 基本他人を寄せ付けないような拒絶オーラを放つミカンがこんなにも頼もしいとは、いやはやだが……どれどれ?
 献血に協力を呼び掛けるクリアファイルと来たか。

「献血とかは俺はパスだ。 いや献血が人のためになるのはわかるが……痛いのは嫌だよな。 ほらよ、いる?」

「それ同感。 あと要らんわ。」

 クリアファイルを1枚寄越してくれたがあいにくこちらは必要としないからミカンにあげることにする。
 料理のレシピを入れるのにはもってこいかもしれないけど製本できるヤツがあるから要らないんだ。

「たまにはこういう落ち着いたクリアファイルも良いかもな。 俺なんか【みこっこふぁんたじー】のクリアファイルとか【くっころ姫】のアニメのヤツとかあるぞ? 2枚で1万円もするんだぜ。」

「出さなくていいから……こんな駅の中で。 俺が恥ずかしいよ。」

 俺はミカンから距離を取ろうとしたとき改札にはマルが通学指導で見張りをしているのを発見した。
 じゃあなミカン、お前は一人で楽しめよ。

「ミカンもミカンです。 萌え絵の印刷されたクリアファイルだろうと原価はたった数円なのです。」

「う、うるさいな……現実突きつけるんじゃねぇよ。 萎えるぞ。」

「別にいいんじゃないか、マル……。 人の趣味にとやかく言うのは嫌われるぞ? ってそう言う割にはかなりたくさん貰ったんだなぁ。」

 ミカンをジト目で見つめるマルの表情がヤバい、ちょっと1枚だけ。

 世の中オタクへの偏見があるのは俺もなんとかしたいとは思ってる節はある。
 料理が好きなのは言わずもがなだけどゲームだってキライじゃないし、イラストなら可愛い女の子も好きだ。

 こういう理解があるからこそミカンに共感はできるが駅前、つまり人前でそう言うのを露骨に披露するのだけはどうかなとは思う。

 それはさておき今日は3人で電車に乗るとしますかねぇ。
 それにしても朝は缶コーヒーがうまい。
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