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第2章 運命は巡る
第15話 恐怖の克服
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出雲は武器を渡すことを思い出し、レナに話しかけた。
「武器を持ってきてるよ! 取り替える?」
「まだ刃こぼれをしていないから大丈夫よ! だけど、1本もらっておくわ!」
レナは出雲から刀を受け取ると、腰に差した。
2本の刀を持つのは重くないのかと思うと、出雲の心配などお構いなしに軽々と動き始めた。
「さて、あの丘にいる竜人を倒さないとこの戦いは終わらないわよ」
レナは、目の前の草原の丘に佇んでいる竜人を見据えて言った。
出雲も竜人に視線を合わせると濃い青色の鎧を着て兜は被っていなく、黒色の鱗が両頬に数枚付いていた。
さらに竜人は耳にかかるまでの茶色い髪色と青白い体色をしているようである。そして鋭い目つきとシャープな顔つきが相まって、重い威圧感を放っている。
「竜人とは戦ったことがないな……どれぐらい強いんだ?」
未知な強さの竜人の威圧感を受けて、出雲は足が震えていた。
レナはそんな出雲を横目で見ると、私が戦うからと1歩前に出る。
「出雲君は逃げて! まだ手術が終わってから時間が経っていないし、すぐに動いたら危険だよ!」
「でも、1人じゃ危ないよ! あの2人の男性はあっちで戦っているんだから、俺も戦うよ!」
出雲はそう言いながら持っている剣の1つを鞘から引き抜いた。その剣は漆黒のように黒く、剣身から握りまで黒色で統一されていた。
「黒い剣だ……」
「それはノアの剣ね! 新しく作成依頼をしていたやつね!」
「それを俺が使っていいのかな?」
「緊急事態だから仕方がないわよ!」
2人が話していると、丘にいる竜人が一振りの剣を腰から引き抜いた。
「来るわよ! 竜人は魔人ほどじゃないけど力が強いわ! 気を付けて!」
「わかった!」
竜人が剣を構える姿を見た出雲は、頬に一筋を汗をかいていた。
魔人と戦った記憶が脳内を巡ると体全体が震えてしまい、初めて死線を潜ったことや死の恐怖のことを思い出してしまったからである。
「固まっちゃダメよ! 動かないと死ぬわ!」
注意を受けた出雲は、怖いんだと小さな声で呟いた。
「まだ心の傷が癒えていないのね! 下がってて!」
レナはその言葉と共に足に力を込めて一気に竜人との距離を詰めようとするも、竜人が素早く前方に向けて駆け出してレナと鍔ぜり合う。
刀と剣が重い金属音を響かせながら軋んでいると、レナが刀を傾けて竜人の攻撃を受け流した。
「そんな攻撃!」
竜人の背後に回ってそのまま刀を振り下ろそうとすると、竜人は背中に剣を回してその攻撃を防いでしまう。
「くぅ! まさか防ぐなんて!」
防がれたことを確認すると、レナは後方に飛んで距離を取る。
竜人は距離を取ったレナに詰め寄ると、出雲に聞こえる程の風切り音を発生させながら連続でレナに斬りかかる。
「危ない! 私よりも速度や力が強い! でも……負けられないのよ!」
上段や下段、水平切りなど多様な攻撃を浴びせてくる竜人に対して、レナは防戦一方になっていた。その姿を見ていた出雲は歯を喰いしばって戦っている姿を見ているしかなかった。
動きたくても体が動かない。
動きたいのに体が震えてしまう。
自身のことを不甲斐ないと思いながらも体に力が入らない。
「目の前で女の子が戦っているのに……俺は恐怖で動けないなんて情けない……」
剣を持つ手が震えているのを視線を動かして確認をしていると、体を斬られて苦しんでいるレナの声が出雲の耳に入っていた。
「左頬を斬られてる……でも恐れないで戦い続けてる……」
左頬を斬られて苦しそうにしているも、負けないと叫びながら斬り合いをしている姿が見える。
「恐怖に負ける……違う……俺は戦場に勝利を届ける配達人だ! 怯えてどうする!」
レナと竜人を見る目に生気が宿ると、出雲は一気に2人に向けて駆け出した。
剣を持つ手に力が入り、先ほどまでとは違って足が軽く動いている。出雲は剣を構えてレナと竜人の間に割って入った。
「出雲君!?」
「遅れてごめん! ちゃんと俺も戦えるよ!」
レナの前に立って剣を構えると、竜人が臆病者が来たかと出雲を見て低い威圧感を放つ声で言葉を発する。
「それが竜人の声か、初めて聞いたよ」
「先ほどまで震えていた臆病者が、よくここまで来たものだ」
竜人が出雲を見て話しかけていると、レナが惑わされないでと叫ぶ。
「話しかけて揺さぶることで、恐怖を思い出させるつもりよ!」
レナの言葉を聞いた出雲は、そんなことはさせないと竜人に斬りかかる。
だが、出雲の攻撃は軽々と防がれてしまい竜人の右膝によって腹部を蹴られてしまう。
「がっふ……くそ……」
その場で片膝をついて何度か咳き込んでいると、竜人が剣を出雲の首目掛けて振り下ろそうとする。
「これで死ね!」
竜人の剣が出雲の首に迫った瞬間、レナがさせないと叫んでその攻撃を刀で防いだ。
「殺させないわ! 私は守るために戦っているの! 私の目の届く範囲で誰も殺させないわ!」
剣を弾いたレナはそのまま連続で竜人に攻撃をする。
斬り上げ斬り下ろし、突きなど多くの技を使用して竜人を攻めていく。初めの時とは違って攻撃に速度と威力があるレナは竜人の死角に体を移動させると、刀に氷属性の魔法を付与させた。
「この魔法でなら!」
刀に氷属性の魔法である辺り一面を氷らせて爆発をさせる氷爆を付与をし、そのまま刀で竜人の背中を斬りつけると接触した場所から小規模な爆発が発生した。
「この攻撃でなら!」
背中を斬り続けると、次第に鎧にヒビが入り始めた。
レナが倒せると確信をした瞬間、鎧から赤色の鱗で覆われている羽が飛び出してきた。
「は、羽!? 竜人には羽があるの!?」
「当然だろう? 祖先は竜なのだから」
硬い羽でレナの体を吹き飛ばすと、着ていた鎧を砕いて裸の上半身が現れた。
その体は見えていた部分と同じ色と体中に鱗が付いており、竜人の特徴を浮き彫りにしていた。
「レナ!」
咳き込んでいた出雲は吹き飛ばされたレナの場所まで走ると、左腕から血を流して苦しそうにしている姿が見えた。
「大丈夫!? 血が出てる!」
「これくらい大丈夫! あの羽に付いている鱗にやられたわ……」
刀を地面に刺して、和服の袖を破って血が流れている左腕に巻いて止血をレナはし始めていた。
「せっかく作ってもらった服なのに傷つけちゃったわ……怒られそう……」
レナは嫌だなと言いながら止血を終えると、息を荒くしながら立ち上がる。
その姿を見た出雲は一緒に戦おうとレナに話しかけた。
「頼もしいわね……魔族を倒したその力、期待するわ」
「頑張るよ!」
2人で横並びに立って武器を構えると、竜人が面白くなりそうだなと口角を上げて微笑していた。
「今だに私は無傷だぞ。お前達で勝てるのか? 1人は手負いで、もう1人は恐怖に怯えていた男じゃないか」
怯えていた男といわれた出雲は、そうだったと言葉を発する。
「さっきまで怯えていたのは確かだ。だけど! 今の俺は違う! 戦場に勝利を届ける配達人だ! 俺は戦う!」
「そうよ! 出雲は弱くないわ! あの魔族を倒したんだから!」
魔族を倒した。
その言葉を聞いた竜人は、大きく目を見開く。
「それは本当なのか? 嘘ではないのか?」
「本当だ! 俺は魔族と戦ってほぼ相打ちな形でここに流れ着いたんだ!」
「相打ちか……しかし魔族に傷を負わせたのは確かなようだな……なら、お前の力を見せてもらおう!」
竜人は剣を構えると勢いよく出雲に対して斬りかかろうとする。
だが、その攻撃をレナが防ぐと、竜人は邪魔だと叫ぶ。
「邪魔じゃないわ! 2人であなたを倒すのよ!」
刀を切り上げて剣を上に弾くと、出雲が剣で竜人の腹部を切り裂こうとした。
しかし竜人の表皮が硬いのか攻撃が通らない。
「竜人族の表皮は固いぞ。並みの攻撃では傷を負わせられない」
「だったら!」
出雲は4属性を発動し剣に付与をし、魔族と戦った時のように虹色の光を放つ剣を構える。レナは氷爆を再度刀に付与をすると、出雲に目配せをした。その目配せを合図に2人はタイミングを合わせて攻撃をし始める。
「武器を持ってきてるよ! 取り替える?」
「まだ刃こぼれをしていないから大丈夫よ! だけど、1本もらっておくわ!」
レナは出雲から刀を受け取ると、腰に差した。
2本の刀を持つのは重くないのかと思うと、出雲の心配などお構いなしに軽々と動き始めた。
「さて、あの丘にいる竜人を倒さないとこの戦いは終わらないわよ」
レナは、目の前の草原の丘に佇んでいる竜人を見据えて言った。
出雲も竜人に視線を合わせると濃い青色の鎧を着て兜は被っていなく、黒色の鱗が両頬に数枚付いていた。
さらに竜人は耳にかかるまでの茶色い髪色と青白い体色をしているようである。そして鋭い目つきとシャープな顔つきが相まって、重い威圧感を放っている。
「竜人とは戦ったことがないな……どれぐらい強いんだ?」
未知な強さの竜人の威圧感を受けて、出雲は足が震えていた。
レナはそんな出雲を横目で見ると、私が戦うからと1歩前に出る。
「出雲君は逃げて! まだ手術が終わってから時間が経っていないし、すぐに動いたら危険だよ!」
「でも、1人じゃ危ないよ! あの2人の男性はあっちで戦っているんだから、俺も戦うよ!」
出雲はそう言いながら持っている剣の1つを鞘から引き抜いた。その剣は漆黒のように黒く、剣身から握りまで黒色で統一されていた。
「黒い剣だ……」
「それはノアの剣ね! 新しく作成依頼をしていたやつね!」
「それを俺が使っていいのかな?」
「緊急事態だから仕方がないわよ!」
2人が話していると、丘にいる竜人が一振りの剣を腰から引き抜いた。
「来るわよ! 竜人は魔人ほどじゃないけど力が強いわ! 気を付けて!」
「わかった!」
竜人が剣を構える姿を見た出雲は、頬に一筋を汗をかいていた。
魔人と戦った記憶が脳内を巡ると体全体が震えてしまい、初めて死線を潜ったことや死の恐怖のことを思い出してしまったからである。
「固まっちゃダメよ! 動かないと死ぬわ!」
注意を受けた出雲は、怖いんだと小さな声で呟いた。
「まだ心の傷が癒えていないのね! 下がってて!」
レナはその言葉と共に足に力を込めて一気に竜人との距離を詰めようとするも、竜人が素早く前方に向けて駆け出してレナと鍔ぜり合う。
刀と剣が重い金属音を響かせながら軋んでいると、レナが刀を傾けて竜人の攻撃を受け流した。
「そんな攻撃!」
竜人の背後に回ってそのまま刀を振り下ろそうとすると、竜人は背中に剣を回してその攻撃を防いでしまう。
「くぅ! まさか防ぐなんて!」
防がれたことを確認すると、レナは後方に飛んで距離を取る。
竜人は距離を取ったレナに詰め寄ると、出雲に聞こえる程の風切り音を発生させながら連続でレナに斬りかかる。
「危ない! 私よりも速度や力が強い! でも……負けられないのよ!」
上段や下段、水平切りなど多様な攻撃を浴びせてくる竜人に対して、レナは防戦一方になっていた。その姿を見ていた出雲は歯を喰いしばって戦っている姿を見ているしかなかった。
動きたくても体が動かない。
動きたいのに体が震えてしまう。
自身のことを不甲斐ないと思いながらも体に力が入らない。
「目の前で女の子が戦っているのに……俺は恐怖で動けないなんて情けない……」
剣を持つ手が震えているのを視線を動かして確認をしていると、体を斬られて苦しんでいるレナの声が出雲の耳に入っていた。
「左頬を斬られてる……でも恐れないで戦い続けてる……」
左頬を斬られて苦しそうにしているも、負けないと叫びながら斬り合いをしている姿が見える。
「恐怖に負ける……違う……俺は戦場に勝利を届ける配達人だ! 怯えてどうする!」
レナと竜人を見る目に生気が宿ると、出雲は一気に2人に向けて駆け出した。
剣を持つ手に力が入り、先ほどまでとは違って足が軽く動いている。出雲は剣を構えてレナと竜人の間に割って入った。
「出雲君!?」
「遅れてごめん! ちゃんと俺も戦えるよ!」
レナの前に立って剣を構えると、竜人が臆病者が来たかと出雲を見て低い威圧感を放つ声で言葉を発する。
「それが竜人の声か、初めて聞いたよ」
「先ほどまで震えていた臆病者が、よくここまで来たものだ」
竜人が出雲を見て話しかけていると、レナが惑わされないでと叫ぶ。
「話しかけて揺さぶることで、恐怖を思い出させるつもりよ!」
レナの言葉を聞いた出雲は、そんなことはさせないと竜人に斬りかかる。
だが、出雲の攻撃は軽々と防がれてしまい竜人の右膝によって腹部を蹴られてしまう。
「がっふ……くそ……」
その場で片膝をついて何度か咳き込んでいると、竜人が剣を出雲の首目掛けて振り下ろそうとする。
「これで死ね!」
竜人の剣が出雲の首に迫った瞬間、レナがさせないと叫んでその攻撃を刀で防いだ。
「殺させないわ! 私は守るために戦っているの! 私の目の届く範囲で誰も殺させないわ!」
剣を弾いたレナはそのまま連続で竜人に攻撃をする。
斬り上げ斬り下ろし、突きなど多くの技を使用して竜人を攻めていく。初めの時とは違って攻撃に速度と威力があるレナは竜人の死角に体を移動させると、刀に氷属性の魔法を付与させた。
「この魔法でなら!」
刀に氷属性の魔法である辺り一面を氷らせて爆発をさせる氷爆を付与をし、そのまま刀で竜人の背中を斬りつけると接触した場所から小規模な爆発が発生した。
「この攻撃でなら!」
背中を斬り続けると、次第に鎧にヒビが入り始めた。
レナが倒せると確信をした瞬間、鎧から赤色の鱗で覆われている羽が飛び出してきた。
「は、羽!? 竜人には羽があるの!?」
「当然だろう? 祖先は竜なのだから」
硬い羽でレナの体を吹き飛ばすと、着ていた鎧を砕いて裸の上半身が現れた。
その体は見えていた部分と同じ色と体中に鱗が付いており、竜人の特徴を浮き彫りにしていた。
「レナ!」
咳き込んでいた出雲は吹き飛ばされたレナの場所まで走ると、左腕から血を流して苦しそうにしている姿が見えた。
「大丈夫!? 血が出てる!」
「これくらい大丈夫! あの羽に付いている鱗にやられたわ……」
刀を地面に刺して、和服の袖を破って血が流れている左腕に巻いて止血をレナはし始めていた。
「せっかく作ってもらった服なのに傷つけちゃったわ……怒られそう……」
レナは嫌だなと言いながら止血を終えると、息を荒くしながら立ち上がる。
その姿を見た出雲は一緒に戦おうとレナに話しかけた。
「頼もしいわね……魔族を倒したその力、期待するわ」
「頑張るよ!」
2人で横並びに立って武器を構えると、竜人が面白くなりそうだなと口角を上げて微笑していた。
「今だに私は無傷だぞ。お前達で勝てるのか? 1人は手負いで、もう1人は恐怖に怯えていた男じゃないか」
怯えていた男といわれた出雲は、そうだったと言葉を発する。
「さっきまで怯えていたのは確かだ。だけど! 今の俺は違う! 戦場に勝利を届ける配達人だ! 俺は戦う!」
「そうよ! 出雲は弱くないわ! あの魔族を倒したんだから!」
魔族を倒した。
その言葉を聞いた竜人は、大きく目を見開く。
「それは本当なのか? 嘘ではないのか?」
「本当だ! 俺は魔族と戦ってほぼ相打ちな形でここに流れ着いたんだ!」
「相打ちか……しかし魔族に傷を負わせたのは確かなようだな……なら、お前の力を見せてもらおう!」
竜人は剣を構えると勢いよく出雲に対して斬りかかろうとする。
だが、その攻撃をレナが防ぐと、竜人は邪魔だと叫ぶ。
「邪魔じゃないわ! 2人であなたを倒すのよ!」
刀を切り上げて剣を上に弾くと、出雲が剣で竜人の腹部を切り裂こうとした。
しかし竜人の表皮が硬いのか攻撃が通らない。
「竜人族の表皮は固いぞ。並みの攻撃では傷を負わせられない」
「だったら!」
出雲は4属性を発動し剣に付与をし、魔族と戦った時のように虹色の光を放つ剣を構える。レナは氷爆を再度刀に付与をすると、出雲に目配せをした。その目配せを合図に2人はタイミングを合わせて攻撃をし始める。
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