7 / 22
第7章
しおりを挟む
「本当に?辛くありませんか」
セシリオの目線はフラヴィオの花芯に向いていた。花咲く寸前の蕾のように震えている。セシリオのシャツの染みは広がり冷えていた。
「だって・・・」
自らの肉体に群がる男や女たちを浅ましい奴らだと腹の中でせせら笑っていたが、セシリオには求めて欲しかった。だがプライドの高さから、セシリオには口が裂けても言えない。
セシリオの爪の先が、かすかに前立腺を刺激する。フラヴィオの背中が弓形になる。セシリオの指が抽送を始めれば、バイオリンのように高い声が上がった。調子の狂った旋律ソプラノがフラヴィオの口から流れ続ける。
「・・・お前は、僕の何が欲しいの?」
喘ぎの合間に絞り出す。セシリオの手はただ対象を写しとるだけで、愛撫とは程遠い。しかしフラヴィオの中は熱く熟れきっていた。吐き出される息も熱を帯びている。指だけでは足りないとばかりに締め付け抽送の動きを細い腰が追う。
「すべて私に見せてください。貴方の乱れる様も、達する瞬間も、欲に翻弄される様も」
セシリオはフラヴィオの髪を梳いた。形を確かめる手つきではなく、宥めるような優しさを宿したものだ。
背筋を羽で撫でられるようなぞくぞくした感覚が腰骨から駆け上がる。セシリオの上着を握り縋り付いた。
「あっ・・・もうっ・・・セシリオ!ああっ!」
フラヴィオは全身を震わせ、花芯から白濁が迸った。がくりと垂れ下げた頭の中を快楽の余韻が支配する。
そこに新たな刺激が加えられる。セシリオの指はなおもフラヴィオの体内を搔き回していた。
「セシリオッ・・・さっき、」
「まだ、全部見せていないでしょう?」
「もう、ないよ・・・だから、あっ」
達したばかりの敏感な身体はすぐに昇り詰めていく。フラヴィオの視界に星が瞬き始めた。ソプラノがまた工房に響いて反響する。
「あるはずだ。貴方の美しさと淫らの奥にあるものが。例えば、あの秋の夜ーーーー」
フラヴィオの勿忘草の目が見開かれる。
「貴方がまだ何も知らぬ天使だった頃のこと」
毛布の下の肌が粟立つ。自分を組み伏せる月明かりを背にした黒い影、好きだと告げられた時の混乱、傍若無人な手の感触がありありと蘇る。
「やめろ!・・・っ不愉快だ」
セシリオの頬に添えられた手を振り払う。
「彼を、まだ憎んでいるのですか」
「もうどうでもいい、アイツも僕を食い散らかしていった奴らの1人でしかない」
「そうやって、ご自分を守ってこられたのですか」
その言葉はフラヴィオの胸に突き刺さった。じわじわと恐怖に似た感情が染み出していく。
「本当は辛かったのでしょう」
セシリオの顔は憐みをたたえ、優しくフラヴィオの頬を撫でる。しかし、それこそが、あわれみや憐憫の情を向けられることこそが、フラヴィオが最も忌避してきたことだ。
癇癪玉に火がつく。
「僕をそんな顔で見るな!僕から誘ってやったんだ!僕は惨めな人間なんかじゃない!」
「そうです。何も知らぬ貴方を弄んだ者が悪いのです。幼い貴方に邪な欲望をぶつけるとは。まるで獣だ」
「違う!もう黙れ、何も知らないくせに!」
「ええ、リコはとても誠実で優しい人間だったはずだ。そうでしょう?」
フラヴィオは息を飲む。あの使用人の名が、セシリオの口から飛び出すとは思わなかった。
セシリオの目線はフラヴィオの花芯に向いていた。花咲く寸前の蕾のように震えている。セシリオのシャツの染みは広がり冷えていた。
「だって・・・」
自らの肉体に群がる男や女たちを浅ましい奴らだと腹の中でせせら笑っていたが、セシリオには求めて欲しかった。だがプライドの高さから、セシリオには口が裂けても言えない。
セシリオの爪の先が、かすかに前立腺を刺激する。フラヴィオの背中が弓形になる。セシリオの指が抽送を始めれば、バイオリンのように高い声が上がった。調子の狂った旋律ソプラノがフラヴィオの口から流れ続ける。
「・・・お前は、僕の何が欲しいの?」
喘ぎの合間に絞り出す。セシリオの手はただ対象を写しとるだけで、愛撫とは程遠い。しかしフラヴィオの中は熱く熟れきっていた。吐き出される息も熱を帯びている。指だけでは足りないとばかりに締め付け抽送の動きを細い腰が追う。
「すべて私に見せてください。貴方の乱れる様も、達する瞬間も、欲に翻弄される様も」
セシリオはフラヴィオの髪を梳いた。形を確かめる手つきではなく、宥めるような優しさを宿したものだ。
背筋を羽で撫でられるようなぞくぞくした感覚が腰骨から駆け上がる。セシリオの上着を握り縋り付いた。
「あっ・・・もうっ・・・セシリオ!ああっ!」
フラヴィオは全身を震わせ、花芯から白濁が迸った。がくりと垂れ下げた頭の中を快楽の余韻が支配する。
そこに新たな刺激が加えられる。セシリオの指はなおもフラヴィオの体内を搔き回していた。
「セシリオッ・・・さっき、」
「まだ、全部見せていないでしょう?」
「もう、ないよ・・・だから、あっ」
達したばかりの敏感な身体はすぐに昇り詰めていく。フラヴィオの視界に星が瞬き始めた。ソプラノがまた工房に響いて反響する。
「あるはずだ。貴方の美しさと淫らの奥にあるものが。例えば、あの秋の夜ーーーー」
フラヴィオの勿忘草の目が見開かれる。
「貴方がまだ何も知らぬ天使だった頃のこと」
毛布の下の肌が粟立つ。自分を組み伏せる月明かりを背にした黒い影、好きだと告げられた時の混乱、傍若無人な手の感触がありありと蘇る。
「やめろ!・・・っ不愉快だ」
セシリオの頬に添えられた手を振り払う。
「彼を、まだ憎んでいるのですか」
「もうどうでもいい、アイツも僕を食い散らかしていった奴らの1人でしかない」
「そうやって、ご自分を守ってこられたのですか」
その言葉はフラヴィオの胸に突き刺さった。じわじわと恐怖に似た感情が染み出していく。
「本当は辛かったのでしょう」
セシリオの顔は憐みをたたえ、優しくフラヴィオの頬を撫でる。しかし、それこそが、あわれみや憐憫の情を向けられることこそが、フラヴィオが最も忌避してきたことだ。
癇癪玉に火がつく。
「僕をそんな顔で見るな!僕から誘ってやったんだ!僕は惨めな人間なんかじゃない!」
「そうです。何も知らぬ貴方を弄んだ者が悪いのです。幼い貴方に邪な欲望をぶつけるとは。まるで獣だ」
「違う!もう黙れ、何も知らないくせに!」
「ええ、リコはとても誠実で優しい人間だったはずだ。そうでしょう?」
フラヴィオは息を飲む。あの使用人の名が、セシリオの口から飛び出すとは思わなかった。
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる