全てを識る指先

SF

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第10章

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「セシリオッ・・・来て・・・」

眦を濡らすフラヴィオがセシリオに腰を擦り付ける。先走りがぬるぬるとセシリオの太ももになすりつけられる。

「もう少しお待ちください。楽にしてあげますからね」

香油を塗った太い指が、綻んだ菊座に侵入する。フラヴィオはもういいとかぶりを振って細かな涙を散らす。しかしセシリオは怪我をするといけないからと聞く耳を持たず、フラヴィオの花芯も握る。
彫刻家の手は器用であった。右手で媚肉を解し、左手で花芯を扱き上げる。ピアノ奏者のように左右で違う動きをする手は様々な音階の嬌声を奏でた。フラヴィオは悲鳴のようなソプラノを響かせながら、二度目の絶頂に背中をしならせた。
ぐったりしてフラヴィオから力の抜け切ったところに、セシリオの陰茎が差し込まれる。
充分解したにもかかわらず、その逞しい男根に肉輪の襞は伸び切り引き攣った。フラヴィオは身体を硬くするが、セシリオはその度に金の髪と白い肌を優しく撫でさする。

「大丈夫、落ちついたら力を抜いて。・・・そう、いい子だ」

フラヴィオは幼な子のように素直にセシリオに縋り従った。
圧迫感や入り口の痛みに息が上がる。しかしそれらはセシリオの甘い声に溶けていく。身体の奥から快楽の兆しが見え隠れしてきた。
やがてセシリオはフラヴィオを抱き込み少しずつ身体を揺すり始める。体内でもセシリオの陰茎が動くのを感じ、フラヴィオは一つになっている悦びに震えた。
セシリオのゆったりした律動をフラヴィオの腰が追った。甘い痺れが結合部から広がっていく。
これほど丁寧に快楽を引き出されていったのは初めてのことだった。強張っていた心も身体も解けていく。白い頬は火照って薔薇色に染まり、勿忘草色の目は温めたゼリーのように蕩けていた。唇から熱い吐息が溢れる。

「気持ちいい・・・」

フラヴィオがそう漏らせば、セシリオは口角を微かにあげた。表情の緩んだフラヴィオの顔中にキスを降らせる。
ぬるま湯の中で揺蕩うように二人身体を揺らしていたが、押し寄せる快楽の波が高くなってきた。それに比例してベッドの軋みが激しくなる。毛布の中に熱気が篭り、互いの汗が肌の上で混じり合う。セシリオが息を乱しフラヴィオを腕の中に閉じ込めた。

「すみません、もう・・・っ」

フラヴィオはコクコクと頷き、細い脚をセシリオに絡めた。セシリオは何度か大きく腰を打ちつけ息をつめる。そしてすぐ身体を離そうとするも、フラヴィオの脚はセシリオの腰を捕らえたままで、そのまま引き寄せて胎内にその精を受け止めた。熱い奔流に小さく身体を震わせる。

「ああ・・・いけません。腹を下してしまいますよ」

フラヴィオはふるふると首を振る。

「僕は、まだ満たされていないぞ」

白い脚を開く。珊瑚色の陰嚢の下に薔薇色の蕾がしどけなく綻んでいた。セシリオの手を取りそこに導く。香油と体液で濡れそぼって、ひくりとセシリオの指先に吸いついてくる。

「僕を慰めろと、言ったはずだ」

まだ息を整えている最中だというのに、もう不遜な態度が顔を出した。

「いけない子だ」

そう言いながらも、セシリオはフラヴィオに優しく口づける。

「まるで淫魔だ」
「軽蔑するか?」
「いいえ、それも貴方だということを識っていますから」

セシリオは金と緑を柔らかくたわませる。

「愛していますよ、私の女神ミューズ」

そう言って、祝福を授けるようにフラヴィオに接吻を落とすのであった。
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