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第12章
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冬が来た。
屋敷や森は雪の真白に閉ざされる。
フラヴィオのもっぱらの友は白の絵の具とサモワール、シルクロードから渡ってきた毛織物だ。
窓から見える白銀の景色は、朝になれば朝日に照らされて薄く青い影を作り、昼は曇り空からも貪欲に光を吸収してキラキラと光り、夜は帷の中で仄明るく存在を主張する。木の影に梟やキツネの目玉がたまにきらりと光ることもある。
毛織り物を羽織りそれらをキャンパスに筆で映していき、指が悴んでこればサモワールで淹れた茶を啜った。ボーンチャイナのカップは薄く、平素ならば茶を淹れると熱くて持てないほどであったが、氷のように冷たくなった手を手っ取り早く温めるのにちょうどよかった。フラヴィオはせっかちな性分なのだ。
そのため、セシリオが一向に訪ねてこないことに苛立っていた。完成には時間がかかると言っていたし、雪と氷で閉ざされた森の中にある屋敷に盲人の足で来るのは自殺行為に等しい。せめて手紙の一つでも欲しいところだが、セシリオは目が見えないためそれも難しい。
手が温まったところで窓を開けるが、白い雪の上をキャンパスにセシリオの顔が浮かび筆が止まる。あの醜悪とも言える傷跡から覗く鮮烈な金と緑は美しかった。分厚い唇は弧を描きいつでも優しくフラヴィオに言葉を紡いだ。
そして、あの手。あの大きく節くれだった手は驚くほど繊細にフラヴィオに触れてきた。
たった一度交わっただけだというのに、セシリオの手の感触が身体に刻み込まれている。思い出すだけでフラヴィオの中心が疼いた。
フラヴィオは再び窓を閉めた。
セシリオから送られてきた箱を取り出す。
その中には、立派な張型が詰まっていた。最初に箱を開けた時は、黒光りする男根が目に飛び込んできて驚愕した。
しかしよくよく見れば見事な作りであることが分かった。雁首の皺や海綿体に浮かぶ血管まで精巧に彫られている。肌に馴染むように滑らかな手触りで、どこを撫でても肌理の一つさえ逆立てることはない。職人技からなるもので、決して片手間には作れぬ逸品である。
フラヴィオは下履を脱いでベッドに上がる。下着をくつろげ香油を菊座にも張型にも纏わせた。目を閉じて、セシリオの愛撫や囁きを甦らせる。自身の指で後孔を解した後は、張型をゆっくりと後孔に差し込んだ。この形も、大きさも太さもあの日感じたセシリオの雄と寸分違わぬものであった。快感を感じている間は多幸感に包まれていたが、精を放った後は虚しさが残った。何度昇りつめても、セシリオのぬくもりはやってこない。やがて疲れ果て、セシリオの分身を抱えて眠ってしまうのが常であった。
屋敷や森は雪の真白に閉ざされる。
フラヴィオのもっぱらの友は白の絵の具とサモワール、シルクロードから渡ってきた毛織物だ。
窓から見える白銀の景色は、朝になれば朝日に照らされて薄く青い影を作り、昼は曇り空からも貪欲に光を吸収してキラキラと光り、夜は帷の中で仄明るく存在を主張する。木の影に梟やキツネの目玉がたまにきらりと光ることもある。
毛織り物を羽織りそれらをキャンパスに筆で映していき、指が悴んでこればサモワールで淹れた茶を啜った。ボーンチャイナのカップは薄く、平素ならば茶を淹れると熱くて持てないほどであったが、氷のように冷たくなった手を手っ取り早く温めるのにちょうどよかった。フラヴィオはせっかちな性分なのだ。
そのため、セシリオが一向に訪ねてこないことに苛立っていた。完成には時間がかかると言っていたし、雪と氷で閉ざされた森の中にある屋敷に盲人の足で来るのは自殺行為に等しい。せめて手紙の一つでも欲しいところだが、セシリオは目が見えないためそれも難しい。
手が温まったところで窓を開けるが、白い雪の上をキャンパスにセシリオの顔が浮かび筆が止まる。あの醜悪とも言える傷跡から覗く鮮烈な金と緑は美しかった。分厚い唇は弧を描きいつでも優しくフラヴィオに言葉を紡いだ。
そして、あの手。あの大きく節くれだった手は驚くほど繊細にフラヴィオに触れてきた。
たった一度交わっただけだというのに、セシリオの手の感触が身体に刻み込まれている。思い出すだけでフラヴィオの中心が疼いた。
フラヴィオは再び窓を閉めた。
セシリオから送られてきた箱を取り出す。
その中には、立派な張型が詰まっていた。最初に箱を開けた時は、黒光りする男根が目に飛び込んできて驚愕した。
しかしよくよく見れば見事な作りであることが分かった。雁首の皺や海綿体に浮かぶ血管まで精巧に彫られている。肌に馴染むように滑らかな手触りで、どこを撫でても肌理の一つさえ逆立てることはない。職人技からなるもので、決して片手間には作れぬ逸品である。
フラヴィオは下履を脱いでベッドに上がる。下着をくつろげ香油を菊座にも張型にも纏わせた。目を閉じて、セシリオの愛撫や囁きを甦らせる。自身の指で後孔を解した後は、張型をゆっくりと後孔に差し込んだ。この形も、大きさも太さもあの日感じたセシリオの雄と寸分違わぬものであった。快感を感じている間は多幸感に包まれていたが、精を放った後は虚しさが残った。何度昇りつめても、セシリオのぬくもりはやってこない。やがて疲れ果て、セシリオの分身を抱えて眠ってしまうのが常であった。
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