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砂の夜明け
Aube.02 姫君は魔皇レオンの愛娘
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「従えない時には――」
背中側から抱き締められ、エヴァディザードに軽く喉元を弄ばれながら、シルクは恐怖に掠れる声で尋ねた。
「なに、するの……」
「あなたを犯す。それでもあなたが従わない時には、気を失わせて、砂に連れ去る。追っ手は皆殺しにする」
「――や、やだっ! やめて、待っ……! し、従う! 従うからっ!!」
抱き締める腕が、震えるほど、恐ろしかったのに。
温かな腕の中、求められるような、与えられるような口付けに、シルクはふと、胸の高鳴りを覚えて途惑った。
「……っ……」
魂を交えられるキスが、終わらない。
何もわからなくなる頃に解放されて、切なげな吐息を漏らしたシルクを、いたわるように抱いたエヴァディザードが、その腕を解いた。
「あ……」
シルクは熱に浮かされた瞳で虚空を見詰め、ぎこちなく、エヴァディザードの衣装をつかんだ。足りないと、続きをねだった。
一度解かれた腕が、シルクの背中と後頭部を支え、柔らかなシルクの唇に、エヴァディザードの乾いたそれが重ねられた。
「んっ……!」
どれだけの間、そうしていたのかわからない。心満たされると、シルクは心地好さに酔うように、エヴァディザードの胸に身を任せて、目を閉じた。
もっと、いつまでも甘やかして、ずっと、優しくしていて欲しい。
何だろう、この気持ち。
「エヴァ、明日もする……? 明日もしたい……?」
少し、途惑ったように、エヴァディザードが片手で口許を覆った。頷いた彼の瞳に、初めてつけ込む隙を見つけて、シルクはくすくす笑った。額をぐいと、彼の胸に押し付ける。
「じゃあ、いいよ。させてあげる。甘やかしてね。嬉しい?」
無邪気な微笑みを向けて尋ねるシルクに、エヴァディザードはいよいよ、どうかしたように片手で顔を覆った。空いた片手でシルクを制し、認めるから、それ以上の追及はしないで欲しいと、降参した体で頷いた。
「ふふ、エヴァ、ぼくが可愛くて仕方ないんだよね。じゃあ、また――」
行きかけたシルクが、エヴァディザードの固い手の平に、幸せそうに、その華奢な手の平を重ねた。束の間、優しさを確かめるように。
その後、筋張った彼の手の甲に、柔らかな口付けを残して、彼女はひらりと身を翻した。
――彼女は、空を舞う鳥そのもの。
その背に、彼は確かに、自由な美しい翼を見た気がした。
背中側から抱き締められ、エヴァディザードに軽く喉元を弄ばれながら、シルクは恐怖に掠れる声で尋ねた。
「なに、するの……」
「あなたを犯す。それでもあなたが従わない時には、気を失わせて、砂に連れ去る。追っ手は皆殺しにする」
「――や、やだっ! やめて、待っ……! し、従う! 従うからっ!!」
抱き締める腕が、震えるほど、恐ろしかったのに。
温かな腕の中、求められるような、与えられるような口付けに、シルクはふと、胸の高鳴りを覚えて途惑った。
「……っ……」
魂を交えられるキスが、終わらない。
何もわからなくなる頃に解放されて、切なげな吐息を漏らしたシルクを、いたわるように抱いたエヴァディザードが、その腕を解いた。
「あ……」
シルクは熱に浮かされた瞳で虚空を見詰め、ぎこちなく、エヴァディザードの衣装をつかんだ。足りないと、続きをねだった。
一度解かれた腕が、シルクの背中と後頭部を支え、柔らかなシルクの唇に、エヴァディザードの乾いたそれが重ねられた。
「んっ……!」
どれだけの間、そうしていたのかわからない。心満たされると、シルクは心地好さに酔うように、エヴァディザードの胸に身を任せて、目を閉じた。
もっと、いつまでも甘やかして、ずっと、優しくしていて欲しい。
何だろう、この気持ち。
「エヴァ、明日もする……? 明日もしたい……?」
少し、途惑ったように、エヴァディザードが片手で口許を覆った。頷いた彼の瞳に、初めてつけ込む隙を見つけて、シルクはくすくす笑った。額をぐいと、彼の胸に押し付ける。
「じゃあ、いいよ。させてあげる。甘やかしてね。嬉しい?」
無邪気な微笑みを向けて尋ねるシルクに、エヴァディザードはいよいよ、どうかしたように片手で顔を覆った。空いた片手でシルクを制し、認めるから、それ以上の追及はしないで欲しいと、降参した体で頷いた。
「ふふ、エヴァ、ぼくが可愛くて仕方ないんだよね。じゃあ、また――」
行きかけたシルクが、エヴァディザードの固い手の平に、幸せそうに、その華奢な手の平を重ねた。束の間、優しさを確かめるように。
その後、筋張った彼の手の甲に、柔らかな口付けを残して、彼女はひらりと身を翻した。
――彼女は、空を舞う鳥そのもの。
その背に、彼は確かに、自由な美しい翼を見た気がした。
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