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砂の夜明け
Aube.05 今夜はもう帰したくない
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その刹那に機を逃したシルクは、なし崩しに、エヴァディザードの部屋に連れ込まれた。
(どう、しよう――)
何だか、怖い。
(だってエヴァ、ぼくの言うこと聞かないんだ。エヴァが、何かの間違いでその気になったら、どうしよう――)
エヴァディザードが寝台に彼女を下ろそうとしたので、シルクは怖くてたまらなくなって、彼にしがみついた。
「や! お願い、やっぱり、帰して……!」
「シルク皇女、今夜はもう、帰したくないな」
筋張った手に口を塞がれて、寝台に横たえられた。
「……っ!」
**――*――**
**――*――**
翌、夜明け前。
何もかも蹂躙された身を抱きながら、シルクは涙ぐんで、唇を噛んだ。
エヴァディザードが目覚めそうな気配を見せると、その前に、彼に馬乗りになって仰向かせた。その喉元を押さえて睨めつける。
「――っ!」
「エヴァ、動くな! おまえがぼくから逃げられないように、施術するんだから!」
表情を険しくしたエヴァディザードが、腕ずくで身を入れ替えようとした。
「だ、駄目っ! させない気なら、ぼくのものにならない気なら、ひどいから! 死んでやる、本気なんだから!!」
エヴァディザードが手を振り上げるのを見て、シルクはきつく目を閉じて、身を硬くした。
けれど、覚悟した痛みは、与えられなかった。
「施術はさせない。それをしたら、あなたは私が心を尽くしてあなたを抱いても、あなた自身が私を捕らえていると、思えなくなる」
「え……?」
優しく彼女の横顔を捕らえたエヴァディザードが、宥めるようなキスをして、柔らかく彼女を腕に包んだ。
それだけで、シルクには何も言えなくなってしまって。
「……エ、ヴァ、ぼくが、砂についていけばいいの? エヴァが、カムラに来てくれるの?」
「私があなたを、砂に連れる」
「そう……。こんな風にさらうなら、ぼく自身以外、何も、エヴァのものにならないよ? それで、いいの?」
刹那、エヴァディザードが浮かべた微笑は、ひどく哀切だった。
「あなただけでも得られるなら、どんなに、いいかしれないな。この生を受けたことに感謝する。だが、あなたはいずれ私を憎む――私には、愛される資格など、ないから」
「……エヴァ?」
「何でもない」
シルクは不思議そうに、しばらく彼を見た。
「少し、抱いて」
彼の首に巻きついてねだると、優しい腕が、彼女を包んだ。
「エヴァ、いつも、抱いて。毎日、こうやって抱いてね。エヴァも、抱きたいよね?」
微笑んで、彼は彼女の額から順に口付けた。満たされる、抱擁だった。
(どう、しよう――)
何だか、怖い。
(だってエヴァ、ぼくの言うこと聞かないんだ。エヴァが、何かの間違いでその気になったら、どうしよう――)
エヴァディザードが寝台に彼女を下ろそうとしたので、シルクは怖くてたまらなくなって、彼にしがみついた。
「や! お願い、やっぱり、帰して……!」
「シルク皇女、今夜はもう、帰したくないな」
筋張った手に口を塞がれて、寝台に横たえられた。
「……っ!」
**――*――**
**――*――**
翌、夜明け前。
何もかも蹂躙された身を抱きながら、シルクは涙ぐんで、唇を噛んだ。
エヴァディザードが目覚めそうな気配を見せると、その前に、彼に馬乗りになって仰向かせた。その喉元を押さえて睨めつける。
「――っ!」
「エヴァ、動くな! おまえがぼくから逃げられないように、施術するんだから!」
表情を険しくしたエヴァディザードが、腕ずくで身を入れ替えようとした。
「だ、駄目っ! させない気なら、ぼくのものにならない気なら、ひどいから! 死んでやる、本気なんだから!!」
エヴァディザードが手を振り上げるのを見て、シルクはきつく目を閉じて、身を硬くした。
けれど、覚悟した痛みは、与えられなかった。
「施術はさせない。それをしたら、あなたは私が心を尽くしてあなたを抱いても、あなた自身が私を捕らえていると、思えなくなる」
「え……?」
優しく彼女の横顔を捕らえたエヴァディザードが、宥めるようなキスをして、柔らかく彼女を腕に包んだ。
それだけで、シルクには何も言えなくなってしまって。
「……エ、ヴァ、ぼくが、砂についていけばいいの? エヴァが、カムラに来てくれるの?」
「私があなたを、砂に連れる」
「そう……。こんな風にさらうなら、ぼく自身以外、何も、エヴァのものにならないよ? それで、いいの?」
刹那、エヴァディザードが浮かべた微笑は、ひどく哀切だった。
「あなただけでも得られるなら、どんなに、いいかしれないな。この生を受けたことに感謝する。だが、あなたはいずれ私を憎む――私には、愛される資格など、ないから」
「……エヴァ?」
「何でもない」
シルクは不思議そうに、しばらく彼を見た。
「少し、抱いて」
彼の首に巻きついてねだると、優しい腕が、彼女を包んだ。
「エヴァ、いつも、抱いて。毎日、こうやって抱いてね。エヴァも、抱きたいよね?」
微笑んで、彼は彼女の額から順に口付けた。満たされる、抱擁だった。
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