見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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四二三

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「ふん」

 マイヤードが鼻を鳴らした。

「銀猫は人間じゃねえ。あれは化け物だ、お前とおんなじさ」

 銀猫が化け物だと。
モンスターと言う意味なのか。

「さあな。俺から見れば、お前もモンスターも同じくくりだ。何が違うってんだ」

 そうハッキリ言われると俺もどう答えて良いか判らんが、少なくとも俺は理由も無く人は襲わん。

「だからブラッドサファイアを追っていたのか?」

「そうだ。てめえなんぞが現れるずっと前からな」

 銀猫とは会ったが、そんな風には見えなかったが。
またオオムカデンダルに、お前はもっと人を見る目を養えだのなんだの言われるな。

「銀猫がそんなに強いなら、なんで銀猫が三番手なんだ。ヤツが第一勢力になってる筈だろ」

 俺は疑問を口にした。

「最初からああだった訳じゃねえ。ここ半年くらいだ。第三勢力とは言え、銀猫の所は今よりももっと小さかった。それが急に勢力を拡大し始めやがった。ウチもスラッグの所もずいぶんシマを取られちまった」

 それだけでモンスター認定なのか。
どうも根拠が弱いな。

「ヤツは人を欺くのが上手いんだよ。普段は大人しい顔をしているがな、あれは本性じゃねえ」

「じゃあ、お前は本性とやらを見たのか」

「見たぜ」

 マイヤードが真剣な眼差しで俺を見つめる。

「知っているか?銀猫は夜しか出歩かねえ。昼間は絶対に姿を現さねえ。あの身のこなし、情け容赦なく次から次へと人間を喰らう。そして妖しげな術を使う。あんな人間が居てたまるか」

 俺は記憶を辿った。
確かに銀猫には夜出会った。
昼間に会った事があるか、ハッキリと思い出せないがたぶん無かった筈だ。

「俺はな、きっと自分が襲われると思っていたんだ。だからブラッドサファイアを手に入れようと躍起になったし、スラッグとも手を組む事を決めたんだ。スラッグは自分の正体を知られる事を極端に嫌っていた。俺が知った時でさえ執拗に俺の命を付け狙っていたからな。ここまでスラッグに話を通すのに、どれだけ苦労したと思ってやがる」

 マイヤードは俺から視線を外すと、深く椅子にもたれかかった。

「テメエさえ現れなければ……ブラッドサファイアも俺の物になっていた筈なんだ。クソッタレめ!」

 なるほど。
だいたい判ってきた。
後は銀猫が本当にコイツの言う通りかどうかだ。
確認しなければなるまい。

「おい」

「なんだ」

 マイヤードはふて腐れたように返事をした。

「あのワーウルフはどうした?」

 俺の質問にマイヤードは眉間にシワを寄せた。

「ワーウルフだあ?なんだそれは?」

 マイヤードが怪訝そうに俺の顔を覗きこんだ。
どうもとぼけている感じでも無いな。
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