こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第二章 ダンスパーティー

名前の由来

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 マリアが解放されたのは1人の人間のおかげだった。

「これこれ。嫌がっておるぞ」
「えっ?」

 アイリスはマリアから離れた。

「すいません、学園長」

 そして学園長に頭を下げた。

「謝るのは私にではないと思うがの」

 学園長の言葉にアイリスは慌てた様子でマリアに謝った。

「マリアさんもごめんなさい。ちょっと興奮しすぎてしまいましたわ」
「大丈夫ですから頭を上げてください」

 下げられた頭に今度はマリアが慌てた。

「気にしていませんから」
「本当ですの?」
「はい!」

 マリアはアイリスの頭を上げさせるのに必死だった。

「じゃあまた一緒にお菓子の話をしてくれますの?」
「はい!」

 マリアは力強く頷いた。

「早く他のお菓子についても教えてください!」

 もはやマリアの頭の中にはお菓子のことしかなかった。

「そんなに焦らなくっても教えてあげますわ」

 それから長きに渡りアイリスのお菓子講座が始まった。
マリア的にはお勧めを教えてくれればそれで良かったのだが……。

「そもそもお菓子はこの世界の人間ではない者が考案したと言われていますの」
「この世界の人間じゃない?じゃあ他の種族の者ですか?」
「いいえ、人間ですわ」

 マリアの質問にアイリスは頭を振った。

「えっ?でもさっき人間じゃないって……」
「正確にはこの世界の人間ではないと言いましたわ。かつてこの地が魔族による脅威に脅かされていたことは知っていますわね?」
「はい」
「ではその魔族の王、魔王を倒した者が勇者と呼ばれていたことも知っていますわね?」
「はい」
「その勇者がこの世界の者ではないことは?」
「いいえ知りません」

 初耳だった。

「勇者はこの世界とは違う世界からその頃の王に召喚されたそうですわ。そしてこの世界の食事事情を目の当たりにして様々な料理を作ったそうですわ。今食べられているものは殆どが勇者に考案されたものだそうですわ。不思議と勇者のいた世界とこの世界は似通っていたそうで似た名前のフルーツもあったそうですわ。例えば先ほどのアロンズはオレンジ、ウツガはイチゴと呼んでいたそうですわ。それにちなんで勇者の料理も同じ様に勇者が言った料理名とは会えたそうですわ」
「……もしかしてゾルーはゼリーですか?」
「よくわかりましたわね。そうですわ」

 アイリスは目を丸くした。

「でもなんでこの話を?」
「中にはもとの名前に直すと説明文になっているものもありますの。わかっていた方がどんなものかわかりやすいと思いましたの」

 アイリスはにっこり笑った。

「でも歴史を話す必要はありました?」
「……なかったですわね」

 アイリスはガックシと肩を落とした。
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