上 下
64 / 464
第三章 魔術の授業

手紙

しおりを挟む
マリアとアルフォードのマリアが最初に学園長室に呼び出されてから授業内容変更を話し合った日までのやり取り

『色々あって学園長とお話して授業の内容を自由に変えて良いって言われたよ。その代わりにフェリシー・ベルジュラックとかいう横暴な貴族と決闘しなくちゃいけなくなったんだけどね』

『そうか……。色々の詳細は気になるがお前は具体的に学園長にどんな要望を出すんだ?場合によっては少し詰めなければ通らないと思うぞ』

『えっと、色々の内容は昨日女子寮の食堂であったことだから今日噂になってなかった?遅くても明日には噂になっていると思う。学園長も最後に乱入したしね。要望の方だけど授業で冒険者の仕事ってできないかな~って思ってる。試しに学園長に聞いてみたら大丈夫だって。少し面白がっていたよ』

『冒険者の仕事をさせるというのは面白い案だと思うが、基本的に生徒は貴族だということを忘れるな。絶対にギルド職員に賄賂とかを送って不正を行うやつが出てくると思うぞ』

『だったら予めギルド長に学園の方から伝えておいて賄賂などを受け取らないように徹底したら?』

『それだとまだ権力にものを言わせて冒険者と諍いを起こす奴が出てくる。その辺はどうするんだ?』

『その辺は先生たちに丸投げするしかないと思う。それにその手の問題を起こしそうなのは一部だけだしね』

『そうか。前もってこれも授業だと言っておけばそれなら大丈夫だろうな』

『良かった。それじゃあそう提案してみる。後、貴族を実力主義のところに放り込んで自分の実力を知らしめるためだと言えば通りやすくなるかな。冒険者ギルド的には数少ない魔術師が大量に確保できて嬉しいだろうし』

『多分な。少し黒い考えだとは思うが。後、冒険者ギルドに魔術師が少ないって本当か?』

『うん。前にウーノさんっていう冒険者のおじさんが言っていた。いないって言ってもいいぐらいだって』

『よくよく考えてみれば魔術師のほとんどが貴族だものな。それでその魔術師の実力はどれぐらいかわかるか?』

『えっと、確か初級魔術までしか使えない者が大半だって言ってた。冒険者ランクもせいぜいEだって』

『Eってどれくらいだ?』

『下から4番目。でもHは戦えない人だから実質下から3番目だね。C、Dがベテラン扱いだった筈だから結構低いよ。冒険者の間では魔術師=弱いっていうイメージがあるらしいし』

『そうか。この機会にイメージを払拭できると良いな』

『《払拭》ってどういう意味?』

『変えることができれば良いってことだ。お前歳の割に難しい言葉を使っているからすっかり同い年ぐらいの人間と話している気がしてた。年相応のところもあるんだな』

『なんか馬鹿にされている気がする……。まぁ私もイメージは変えられれば良いとは思っているけどね』

『そうか。決闘は明日だろう?頑張れよ』

ここから数日間間が空く

『今日学園長に呼ばれて伝えてきたよ。先生たちも呼ばれていてOKだって。これから細かいところを詰めるって』

『お前はいなくて良かったのか?』

『私は小さいからって部屋から追い出された。後でオーリーさんが結果を教えてくれるって』

『オーリーって誰だ?』

『先生。私たちとは違うクラスを教えているらしいよ。なんかお母さんみたいな雰囲気の人』

『わざわざ説明してくれてありがとう』

『今、オーリーさんが来て詳細を教えてくれた。来週からになるって』

『そうか、楽しみだな』

『うん』
しおりを挟む

処理中です...