65 / 464
第三章 魔術の授業
説明と諸注意
しおりを挟む
そして次の週、第三演習場に集まった生徒たちに向かってカーラが言った。
「今日から授業内容が変更になったわ。これから説明するからよく聞きなさい」
その言葉に生徒たちは騒めいたがすぐに静かになった。
マリアとアルフォードはいよいよかと気を引き締めた。
「貴方たちにはこれから冒険者ギルドで冒険者として登録してもらうわ」
その言葉に再度騒めいた。
「あの~」
1人の男子生徒が手を挙げた。
「何かしら?」
「それは僕たちに冒険者になれということですか?」
「ええ」
カーラは何馬鹿なことを言っているんだという顔をした。
「ふざけるな!冒険者など庶民の中でも粗雑で乱暴な人間の職種ではないか!なぜ私たちがそのようなものにならなければならない!」
誰かがそう叫んだ。
騒めきもだんだんと大きくなった。
「静かに!」
カーラの言葉で一瞬で辺りは静まった。
「これは学園長の決定よ。貴方たちに実力社会の冒険者になり、自分の実力を知ってもらうためらしいわ。それと庶民の暮らしの一部を体験してもらう、実戦経験を積んでもらう、世間での魔術師の評価の向上の目的もあるそうよ」
カーラの言葉に反応した者がいた。
「ちょっと待て!他は兎も角魔術師の評価の向上とはどういうことだ!」
「そのままの意味よ。この国の魔術師のほとんどが貴族だというのは貴方たちも知っていると思うわ。そのため冒険者などには魔術師が少ないのよ」
貴族は冒険者なんてしないしねと、カーラが自虐的に笑った。
「この学園の学費は庶民には手が出ないほど高いわ。だから入れる者はほとんどいない。推薦で入るという手もあるけどさっきも言ったように庶民の魔術師はほとんどいない。その中でも推薦状を書けるような者は一握りよ。その結果多くの人が知っている魔術師は実力が低く、せいぜい初級魔術までしか使えないそうよ」
大半の生徒が魔術師の評価が低い理由を理解したようだ。理解できなかった者も近くの者に説明されわかったようだ。
「悪循環、というわけか」
誰かが皮肉気に呟いた。
それにカーラが大きく頷いた。
「その通りよ。そして国民の多くが貴族が魔術師だと知っている。最近では貴族を軽く見ている者も増えてきているわ」
「自分たちの実力を示せばそれも減るということか……」
皆、今回の授業内容変更意味を自分たちに都合良く解釈したようだ。
その様子にマリアは何とも言えない表情をした。
「それではこれから冒険者ギルドに向かうわ。ただし歩きよ。文句は受け付けないわ。それと注意事項を1つ、冒険者として活動している間は冒険者とは対等な立場で付き合い権力は振り翳さないこと。イメージが悪くなるわよ。ちなみに学園に戻るまでが授業だからね」
その言葉に生徒は皆頷いた。
それを見てカーラは満足そうに笑った。
説明と諸注意が一通り終わったところで冒険者ギルドに向かった。
「今日から授業内容が変更になったわ。これから説明するからよく聞きなさい」
その言葉に生徒たちは騒めいたがすぐに静かになった。
マリアとアルフォードはいよいよかと気を引き締めた。
「貴方たちにはこれから冒険者ギルドで冒険者として登録してもらうわ」
その言葉に再度騒めいた。
「あの~」
1人の男子生徒が手を挙げた。
「何かしら?」
「それは僕たちに冒険者になれということですか?」
「ええ」
カーラは何馬鹿なことを言っているんだという顔をした。
「ふざけるな!冒険者など庶民の中でも粗雑で乱暴な人間の職種ではないか!なぜ私たちがそのようなものにならなければならない!」
誰かがそう叫んだ。
騒めきもだんだんと大きくなった。
「静かに!」
カーラの言葉で一瞬で辺りは静まった。
「これは学園長の決定よ。貴方たちに実力社会の冒険者になり、自分の実力を知ってもらうためらしいわ。それと庶民の暮らしの一部を体験してもらう、実戦経験を積んでもらう、世間での魔術師の評価の向上の目的もあるそうよ」
カーラの言葉に反応した者がいた。
「ちょっと待て!他は兎も角魔術師の評価の向上とはどういうことだ!」
「そのままの意味よ。この国の魔術師のほとんどが貴族だというのは貴方たちも知っていると思うわ。そのため冒険者などには魔術師が少ないのよ」
貴族は冒険者なんてしないしねと、カーラが自虐的に笑った。
「この学園の学費は庶民には手が出ないほど高いわ。だから入れる者はほとんどいない。推薦で入るという手もあるけどさっきも言ったように庶民の魔術師はほとんどいない。その中でも推薦状を書けるような者は一握りよ。その結果多くの人が知っている魔術師は実力が低く、せいぜい初級魔術までしか使えないそうよ」
大半の生徒が魔術師の評価が低い理由を理解したようだ。理解できなかった者も近くの者に説明されわかったようだ。
「悪循環、というわけか」
誰かが皮肉気に呟いた。
それにカーラが大きく頷いた。
「その通りよ。そして国民の多くが貴族が魔術師だと知っている。最近では貴族を軽く見ている者も増えてきているわ」
「自分たちの実力を示せばそれも減るということか……」
皆、今回の授業内容変更意味を自分たちに都合良く解釈したようだ。
その様子にマリアは何とも言えない表情をした。
「それではこれから冒険者ギルドに向かうわ。ただし歩きよ。文句は受け付けないわ。それと注意事項を1つ、冒険者として活動している間は冒険者とは対等な立場で付き合い権力は振り翳さないこと。イメージが悪くなるわよ。ちなみに学園に戻るまでが授業だからね」
その言葉に生徒は皆頷いた。
それを見てカーラは満足そうに笑った。
説明と諸注意が一通り終わったところで冒険者ギルドに向かった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる