こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第四章 護衛依頼

二日目(4) 作戦会議

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 宿の部屋に戻って来ると、4人は思い思いに適当な場所に腰を下ろした。

「一応念のため防音しておくね『《防音障壁》』」

 マリアが魔術を使うと、僅かに聞こえていた外の喧騒も聞こえなくなった。
 《防音障壁》は風魔術の応用で難易度的には基礎魔術と同じだ。空気の振動を止める壁を創り出すことで音が外に伝わるのを防ぐ。

「ありがとう。それじゃあ作戦会議と行きましょうか?取り敢えず大まかな流れだけど、街に着いたら情報収集、特にスノーウェル男爵領に入ったら念入りにね。領都に入ったらまずマリアが正面から領主の屋敷に窮状を訴えに行く。私たちはその間近くに隠れて待機。対応にもよるけど、様子を見て私たちが姿を現してその状況を追求する。その後は代官を捕まえて終わり、そんなところかしらね?」
「ああ、そうだね」
「うん、いいと思うよ」
「後はこれをどれだけ詰められるかだな」
「まだ時間があるし、大丈夫じゃない?」
「……一番危険が高いのはお前なのに余裕だな」

 アルフォードが無邪気に笑うマリアに呆れた目を向けた。

「だってたかだか男爵家の警備ごときに、そんなに強い人がいるわけないもの。冒険者ランクで言えばD、高くても精々Cの下ってところでしょう?」
「……本当のことだけに言い返せない。何気に合ってるし……」

 マリアの言葉にエリザベートが肩を落とした。

「ま、まあそれは仕方がないことだろう?寧ろ男爵家が王領の隣に領地を持てるだけで凄いことだと思うぞ」

 アルフォードがフォローになっているんだかなっていないんだかよくわからない励ましを口にした。

「わかっているわよ、それぐらい……。でも仕方がないじゃない。わかっていてもはっきり言われると傷つくのよ!」
「……ごめんなさい。私、エリザを傷つける気なんて……」

 マリアは目から涙が零れ落ちるのを止められなかった。
 エリザベートはそんなマリアの姿を見て我に帰った。

「マリア、私の方こそごめんなさい。少し言い過ぎたわ」
「ううん、私が他の人の気持ちを考えないで思ったことを言っちゃったから……」
「それを言っちゃ怒鳴った私も……」
「はいはい、きりがないから両方悪かったってことでもうその話は終わり。作戦会議の時間がなくなるだろ?」

 いつまで経ってもお互いに謝り続け、話が先に進まないことを察したアルフォードが手を叩きながら止めに入った。

「うん」
「……わかったわ」

 マリアはもう泣き止んでおり、涙を拭った。

「とは言ってもそろそろ食堂に行かなきゃ夕食を食べ損なうけどな」

 アーティスにそう言われ、慌てて時間を確認すると、ラストオーダーまで残り10分を切っていた。

「不味い!」
「なんでもっと早く言わないのよ!」
「とにかく急ごう!」

 4人は部屋から飛び出し、ドアに鍵を掛けると小走りで食堂に向かった。
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