上 下
87 / 464
第四章 護衛依頼

二日目(5) 夕食

しおりを挟む
「夕食には間に合ったか?」

 食堂に駆け込むや否やそう給仕をしていた少女に尋ねた。

「はい。時間ギリギリですけど……」

 その言葉にホッとしながら空いている席を見つけ、座った。

「今日のメニューですが、黒パンとサラダに日替わりスープ、それにメイン料理を焼き魚とセトーク、魚のヘリウから選べます。飲み物はアロンズ、イッペレ、ゲローペのジュース、お酒は地酒とエールがあります。何になさいますか?」

 席についたのを見て、先程の少女が注文を取りに来た。

「じゃあ私はヘリウにイッペレのジュース!」
「私は焼き魚と、そうですね、アロンズジュースをお願いします」
「僕はセトークを。飲み物はゲローペジュースで」
「僕もセトークとイッペレのジュースをお願いします」
「えっと、焼き魚が一つに、セトークが二つ、ヘリウが一つ。飲み物がアロンズ一つ、イッペレ二つ、ゲローペ一つですね?少々お待ちください」

 少女が立ち去るとその場は出てくる料理の話になった。

「マリアはヘリウは食べたことがあるの?」
「ううん、でも美味しいって話は聞いたことがあるから楽しみ!出している店ってほとんどないんだもん……」
「そう言えばそうね……」
「何気に見ないなそう言えば」
「そこまで手がかかる料理じゃないと思うんだが……」
「揚げ物だから油の質の問題かしら?あまり安い油だと匂いがきついって言うし……」

 そんなことを話しているうちに料理が運ばれてきた。

「お待たせいたしました。まず黒パンとサラダです。他のお料理もすぐにお持ちしますね」

 その言葉通りすぐに他の料理も運ばれてきた。

「日替わりスープはタミタのスープです。パンとスープはおかわり自由なので声をかけてください」
「わかりました」

 その説明の間も、マリアの目は目の前のヘリウに釘付けだった。

「これがヘリウ……」
「このソースをかけて食べるのよ」

 そんなマリアに笑いながらエリザベートはソースを差し出した。

「ありがとう」

 早速マリアはソースをかけると一口かじった。

「美味し~い♪」

 笑顔のマリアに自然と周りも笑顔になった。

「良かったな」
「ここにして正解ね」
「ああ」

 他の料理も申し分ない味で心ゆくまで料理を楽しむのだった。

☆★☆★☆

宿選びの基準
一、 防犯面
二、 評判(料理の味など)
三、 一人当たり小銀貨5枚まで(平均は小銀貨3枚前後。最低ランクは素泊まり小銀貨1枚)

料理名に不思議に思った方は『第二章名前の由来』をお読み下さい。
しおりを挟む

処理中です...