こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第四章 護衛依頼

十六日目(8) グレンの棲み処

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 光が収まると、グレンの巨体は消えていた。その代わりに、マリアと同い歳ぐらいの少年が立っていた。

「これで文句ないだろ?」
「えっと、グレンだよね?」

 マリアは恐る恐る尋ねた。

「そうだよ!」

 グレンは紅い瞳を瞬かせながら、少し怒ったように言った。

「ねぇ、確か人化できるのって、かなり高位の種族だけじゃなかったっけ?」
「確かそうだな」
「落ちこぼれでも紅龍は紅龍ってことか……」

 3人も、唖然としたように呟いた。

「それよりも、依頼って何だ?」
「えっと、私たち冒険者として活動してるんだけど、冒険者ってわかる?」
「馬鹿にするな!それぐらい知っている!」

 馬鹿にされたと思ったのだろう。グレンはマリアに怒鳴った。

 「ご、ごめん。それで今、ギルドの依頼でリザードマンの討伐をしているの。10体以上倒さなきゃいけないんだけど……」
「リザードマン?この辺に住んでいる蜥蜴のことか?人型のやつ」
「多分それであってると思うけど」
「それなら僕、100体ぐらいなら倒したぞ?」
「本当!?あっ、でも倒した証明に、指定された部分が必要なんだよね……」

 マリアは目を輝かせたが、すぐに無理だと肩を落とした。

「それなら大丈夫だぞ?巣穴に纏めて置いておいたからな」
「本当!?すぐに案内して!」
「ちょっ!落ち着け!」

 マリアの勢いに圧され、半ば強引にグレンは4人を案内することとなった。

「人の足じゃ数日かかるからな。良いか、絶対に離すなよ?落ちても知らないからな?」

 時間短縮のため、龍形態に戻ったグレンに乗ることとなった。4人がしっかりと捕まっていることを確認すると、グレンは力強く翼を羽ばたかせた。

「うわぁ」

 グレンの背から見える景色は絶景で、街が点のように見えた。

「ちょ、ちょっと高すぎない?」

 エリザベートだけは目をギュッと閉じて、下を見ないようにしていた。

《でも、あまり低いと人に見られるからね。最悪僕を殺しに来るから、これも身を守るためだ。我慢してくれ》
「あれ?でもその割には、最初私たちを見つけたら、問答無用で襲い掛かってこなかった?」
《あ、あれも身を守るためだ!目撃者は消すのが鉄則だろ!?》
「どこかの暗殺者のようなことを言うな……」

 アーティスの突込みが入ったが、全員に無視された。

《た、確かに自分よりも弱いと思って侮って、ちょっと遊んじゃったのはホントだけどさ……》
「それで油断してやられたと?」
《うう、それ以上は言わないでくれ》

 10分ほどで目的地に到着した。そこには大きな穴が空いており、奥の方はよく見えない。

「えっと、確かこの辺に……あった!これで大丈夫か!?」

 グレンは勝手知ったる様子で奥に入っていくと、すぐにマリアたちを呼んだ。

「あっ、中は結構綺麗。うん、大丈夫だよ」

 中に入ると、グレンは横穴の一つにいた。そこには大量のリザードマンの死体が山になっていた。中には幾つかワーム系の魔物も混ざっていた。
 早速4人がかりで剥ぎ取りを始めた。

「僕はやることない?」
「あなたは見てて。……リザードマンは確か討伐証明部位は尻尾だったよね?」
「そうよ。いくつか混じってるアースワームも解体しちゃいましょうか」
「僕、とりあえず尻尾だけ切り取っちゃうよ」
「あっ、頼む」

 仲良く作業している傍ら、誰にも相手にしてもらえず、何もさせてもらえもせず、ただ隅で見ていろと言われたグレンはいじけていた。

「どうせ僕なんて何の役にも立たないんだ……」

 そのことに他の者が気がついたのは、粗方作業が終わってからだった。
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