こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第五章 エイセルの街

リオナ(6)

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 リースさんは熊の獣人さんに魔術をここで使って良いか許可を取ってくれた。

「『水の精霊よ、あなたの踊りを見せて頂戴、《水の舞》』」

 水でできた人形が空中に4つできて、2組になって踊り始めた。どの人形も皆同じデザインの服で、ふわりとしたスカートのワンピースを着ていた。
 そのスカートがクルクルと回る度に膨らんで、微妙に雫にになって舞った水とスカートが光を反射してキラキラ光って、幻想的だった。

「キレ~い」

 思わずそんな声が出た。
 横目でエリザお姉ちゃんを見ると、エリザお姉ちゃんもその光景に目を奪われているみたいだった。でもエリザお姉ちゃんはハッとすると煽るようにエールを飲み始めた。

「お代わりをお願い」

 中身がなくなると次から次へとお代わりを頼んでいた。おかわりが5杯目を超えた辺りで私はエリザお姉ちゃんの体調が心配になってきた。

「もう止めた方がいいよ。もうだいぶ酔っぱらってるでしょ?」
「しょんにゃことにゃいわよ~」

 完璧に呂律が回っていなかった。そしてそのままそこで寝てしまった。

「はぁ。代金は後でこいつから貰うから203号室に運んで貰えるか?」

 熊さんが溜息を吐きながらリアリスさんに頼むと、リアリスさんは頷いてエリザお姉ちゃんを担いで2階に運んでいった。

「嬢ちゃんはどうする?ここで待ってるか?帰るなら家まで送るぞ」
「だいじょうぶ。ここで待ってる」
「部屋で目を覚ますのを待ってても良いぞ?」
「ここの方が面白そうだもん。ここにいる」

 せっかく来たんだし、何も収穫なしじゃ帰りたくない。

「……そうか。気をつけろよ。中には柄の悪い連中もいるからな」
「わかった」

 サービスだと言って焼いてくれたハッタコークを食べていると、冒険者の服装をした5人組が入ってきた。

「おっ、美人がいるじゃねえか」
「よく見りゃぁエルフじゃねぇか。俺、エルフなんて初めて見たぜ」
「1人か?一緒に呑まねぇか?」
「エルフって寿命が長いんだろ?いくつなんだ?」
「一度でいいからこんな別嬪さんに相手して貰いたいものだぜ」

 下心が丸見えなあいつらに、リースさんは毅然としていた。私だったら一人ぐらいは殴ってるかもしれない。

「止めてください。あなたたちと呑むつもりもありませんから」
「なんだと!?このアマ!こっちが下からお願いしているのによう!」

 あいつらのうちの1人がリースさんに掴みかかった。私はリースさんを少しでも傷つけたら、後ろから蹴り飛ばしてやろうと身構えた。
 でもそんな心配は無用だった。

「すごい……」

 リースさんは掴みかかってきた腕を掴むと、そのまま勢いよく振り回した。周りの男たちを薙ぎ払い、あっという間に全員倒してしまった。どこにあんな力があるんだろう?
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