こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第七章 それぞれの過ごす日々

マリアの1日(2)

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 皆が固唾を飲んで見守る中、紡がれた答えは──。

「ああ!?何言ってんだ。お前みたいなガキが高ランクランクになんてなれるかよ。そもそもランクアップ試験を受けられる条件さえ満たせねぇんだよ」

 遠回しの肯定だった。

「……それはギルドは年齢で人を判断すると言っているようなものですよ?」

 マリアはいい加減丁寧な言葉を使うことに嫌気がさしてきた。

「俺はな、実力がないガキが粋がんなって言ってんだ」

 その言葉にギルドが騒めいた。

「な、なんなんだよ一体」

 男はその時になってようやく自分を見る周りの視線がおかしいことに気づいた。

『……マリアちゃん相手に実力がないって』
『あいつ……死んだな』

 まるで狼に食べられる寸前のウサギを見るような目で見られ、男は狼狽えた。

「私に実力がない?」

 マリアが口を開いた瞬間ギルドが静まりかえった。

「当たり前だろ?見たところ防具はおろか武器すらも持っていないじゃねぇか」

 それすらも買う金すらないのは実力がない者の証だと男は続けた。

「……訂正して」

 マリアは腰のアイテムポーチからローブを取り出すと身につけた。

「それができないなら私と勝負して。もし私が負けたら私には大した実力がないって認めてあげる。……でも私が勝ったら謝罪と……そうだな、有り金を全部置いていって」

 マリアは静かに怒っていた。

「はっ、お前みたいなガキに俺が負けるわけがねぇだろ!?その勝負、受けてやるよ!」

 男は馬鹿だった。先ほどの視線の意味に気づいていなかった。いや、すでに忘れていると言った方が正確だった。

「決まりだね。……ルーシーさん、少し演習場を借りますね?」
「え、ええ」

 声をかけられた受付嬢のルーシーは話についていけていなかったが、許可は出した。
 マリアは許可をもらうと地下の演習場に男と共に降りていった。その後を冒険者たちと、必要最低限の人員だけ残したギルド職員がぞろぞろと続いた。

「ルールは通常の模擬戦で良いよね?……誰か審判をお願いできますか?」
「ああ。後審判はCランク以上の奴にしてくれ」

 ルールはあっさりと決まった。気絶させるか降参させる、もしくは審判が止めれば終了。至ってシンプルだ。

「審判は俺がやろう」

 進み出てきたのはギルガルドだった。
 両者共に異論はなく、黙って頷いた。

「じゃあ早速始めようか」
「そうだな。時間がもったいねぇ」

 ギルガルドに合図を出すように促すが、ギルガルドはマリアを見て言った。

「……絶対に相手を殺すなよ」
「そんぐらいわかってるよ」

 ただそれに答えたのは男の方だった。哀れなものを見る目が男に突き刺さる。

「……ハンデで私は素手で相手をしてあげる」
「フン、後で後悔しても知らねぇぞ。今からでも誰かに武器を借りた方がいいんじゃねぇか?」

 男は完全にマリアを舐めていた。
 ギルガルドは男が剣を構えたのを確認すると、合図を出した。

「それじゃあ始め!」
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