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第七章 それぞれの過ごす日々
マリアの1日(19)
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「1週間だ」
国王は静かに言った。
「……1週間。それ以上は待てぬ」
「……わかりました。お時間をくださりありがとうございます」
満面の笑みを浮かべ、マリアは国王に見えないように小さくガッツポーズをした。
普段マリアは絡んでくる輩には情け容赦などしない。前にバートを相手にした時は、エリザベートが困っていたということも大きいが、それ以上に男爵領が小さく、関わる者が少ないということが大きかった。
一部の上層部だけの前回と、おそらく一族全体だけでなく、近隣の領地のいくつかも関わっていることは少し考えればわかることだ。マリアは臆病だった。
「……マリア?ココ、ドコ?」
話がひと段落したところでようやくベルが気がついた。
「「「喋った!?」」」
ルアンの宿屋の時のように、マリアを除いた3人は目を見開いた。
「もう!さっき喋っちゃだめって言ったのに……驚かせてしまってすいません」
「……いや、大丈夫だ。まさか話までできるとは思わなかった」
王家諜報部。優秀だが顔見知りしかいない宿屋の中まで潜入することはできなかった。普段相手にしているのがお忍びの貴族が大半ということも大きい。
「餌にしては立派すぎるかもしれんな」
国王はそう言ってベルの価値を上方修正した。
「エサ?」
「……気を悪くしたのならすまんな。悪気はなかったのだ」
「ワタシ、オコル、スル、ナイ」
ベルは不思議そうに国王を見上げた。その姿は可愛らしくて、国王はドキッとした。
「……用件がそれだけでしたら、お暇させてもらってよろしいでしょうか?」
いまだに固まっているアルフォードと宰相を横目で見ながらマリアに尋ねた。
「あ、ああ。先ほども帰るところであったのだろう?時間を食わしてしまってすまんな」
「……大丈夫です。これぐらい。あっ、ベルはどうしましょう?このまま連れ歩くのも危険ですよね?」
「……心配はなかろう。しばらくはいざという時の護衛も兼ねて監視をつける。少々煩わしいかもしれぬが我慢してくれ」
「……わかりました」
マリアは頭を下げると今度こそ部屋の外に出た。そして待機していた兵士にも軽く頭を下げて兵の詰所から出た。
「もう!なんでいきなり国王様が来るのよ!」
城の敷地内から出てようやく一息つけたマリアがそう小さく毒づいてしまったのも誰も責められないだろう。
マリアは気を取り直すと改めて冒険者ギルドに向かって歩き始めた。
その小さな後ろ姿を密かにつける者が1人。リンリーの直属の部下の1人、ラーナだった。
彼女が今回の役に選ばれた理由。それは女性であること。そして何よりも諜報部の中でも数少ない平民であることだった。
「せっかくの休日なのに。リンリー様の馬鹿!」
ラーナは涙目だった。それというのもラーナは齢23にしてようやく春が来た。今日はそんな彼女の初めてのデートの日だった。念願の彼氏といちゃついていたところを仕事だと呼び戻された彼女は不憫以外の何物でもない。おまけに仕事の詳しい内容を明かせないために早くも別れの危機が訪れていた。
そんな彼女が初めてマリアと話すのはまだ先の話。
国王は静かに言った。
「……1週間。それ以上は待てぬ」
「……わかりました。お時間をくださりありがとうございます」
満面の笑みを浮かべ、マリアは国王に見えないように小さくガッツポーズをした。
普段マリアは絡んでくる輩には情け容赦などしない。前にバートを相手にした時は、エリザベートが困っていたということも大きいが、それ以上に男爵領が小さく、関わる者が少ないということが大きかった。
一部の上層部だけの前回と、おそらく一族全体だけでなく、近隣の領地のいくつかも関わっていることは少し考えればわかることだ。マリアは臆病だった。
「……マリア?ココ、ドコ?」
話がひと段落したところでようやくベルが気がついた。
「「「喋った!?」」」
ルアンの宿屋の時のように、マリアを除いた3人は目を見開いた。
「もう!さっき喋っちゃだめって言ったのに……驚かせてしまってすいません」
「……いや、大丈夫だ。まさか話までできるとは思わなかった」
王家諜報部。優秀だが顔見知りしかいない宿屋の中まで潜入することはできなかった。普段相手にしているのがお忍びの貴族が大半ということも大きい。
「餌にしては立派すぎるかもしれんな」
国王はそう言ってベルの価値を上方修正した。
「エサ?」
「……気を悪くしたのならすまんな。悪気はなかったのだ」
「ワタシ、オコル、スル、ナイ」
ベルは不思議そうに国王を見上げた。その姿は可愛らしくて、国王はドキッとした。
「……用件がそれだけでしたら、お暇させてもらってよろしいでしょうか?」
いまだに固まっているアルフォードと宰相を横目で見ながらマリアに尋ねた。
「あ、ああ。先ほども帰るところであったのだろう?時間を食わしてしまってすまんな」
「……大丈夫です。これぐらい。あっ、ベルはどうしましょう?このまま連れ歩くのも危険ですよね?」
「……心配はなかろう。しばらくはいざという時の護衛も兼ねて監視をつける。少々煩わしいかもしれぬが我慢してくれ」
「……わかりました」
マリアは頭を下げると今度こそ部屋の外に出た。そして待機していた兵士にも軽く頭を下げて兵の詰所から出た。
「もう!なんでいきなり国王様が来るのよ!」
城の敷地内から出てようやく一息つけたマリアがそう小さく毒づいてしまったのも誰も責められないだろう。
マリアは気を取り直すと改めて冒険者ギルドに向かって歩き始めた。
その小さな後ろ姿を密かにつける者が1人。リンリーの直属の部下の1人、ラーナだった。
彼女が今回の役に選ばれた理由。それは女性であること。そして何よりも諜報部の中でも数少ない平民であることだった。
「せっかくの休日なのに。リンリー様の馬鹿!」
ラーナは涙目だった。それというのもラーナは齢23にしてようやく春が来た。今日はそんな彼女の初めてのデートの日だった。念願の彼氏といちゃついていたところを仕事だと呼び戻された彼女は不憫以外の何物でもない。おまけに仕事の詳しい内容を明かせないために早くも別れの危機が訪れていた。
そんな彼女が初めてマリアと話すのはまだ先の話。
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