こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第七章 それぞれの過ごす日々

アルフォードの1日(4)

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 時はマリアが兵の詰所から出ていった直後まで遡る。
 国王たち一行は執務室に戻ってきていた。

「……一応いざという時の護衛を兼ねた者をつけるように指示を出しておいたが、年齢を考えると心配だな」

 椅子に座るや否や国王は溜息を吐きながらそう呟いた。

「……マリアにその手の心配はご無用ですよ」

 どうせマリアのことだから好き勝手に行動しているのだろうと、アルデヒドは苦笑いした。

「……そうなのですか?私には何の力も持たない少女にしか見えませんでしたが……」

 宰相は不思議そうに首を捻った。

「……ああ見えてフェリシー・ベルジュラックと正面からぶつかって勝ったぐらいですからね。確か2月ほど前だったかと……」

 アルデヒドは苦笑した。宰相は文官と武官、どちらだと問われれば、迷いなく文官と即答できるほど、戦闘はからっきしなのだから見た目に騙されても仕方ない。
 とは言っても、宰相も貴族の嗜みとして一応一部の中級魔術までは使える。

「……ベルジュラック。あの家の娘か」
「はい。戦闘能力でいえば同年代の平均の少し上といったところです」
「……アル、お前が戦えばどうだ?勝てるか?」

 国王は真っ直ぐにアルデヒドの瞳を見た。

「ベルジュラック公爵令嬢とですか?ご冗談を……」

 アルデヒドは優雅に微笑んだ。ただしその目は笑っていない。

「私が平均の、それも学生の平均より少し良いくらいの者に負けるわけがありませんよ」

 その言葉は自信に満ち溢れていた。

「……そうだな。愚問だった」

 アルデヒドの戦闘の腕など、10数年前に直々に教え込んだ国王が誰よりも知っていた。

「アル、わかっているな?」

 アルデヒドを見つめる国王の目は先ほどよりもさらに真剣なものだった。

「ええ」

 返答は短く一言。それだけで十分だった。

「ベルジュラック家の者。抵抗をするようなられ」
「……わかってますってば。他人を傷つけることで自己顕示欲を満たすことしか能がない輩にかける情けは残っていませんから」

 2人は微笑んだが目は笑っておらず、静かな怒りを湛えていた。

(御二方とも敵には回したくありませんな)

 宰相はそんな2人を見ながらベルジュラック家の者の末路を脳裏に思い描いていた。

(まあ私もあやつらには容赦はしませんがね。……法の見直しでもしておきますか。穴など決してないよう)

 その日の国王は妙に上機嫌で、ここしばらく憔悴しきった顔をした国王ばかり見ていた城の者たちは、思わず二度見をしてしまうほどだった。
 そして第四王子アルデヒドもまた久方ぶりに皆に元気な姿を見せた。こちらも上機嫌だったことは言うまでもない。
 その日の城は数年ぶりに穏やかな空気が流れていた。

☆★☆★☆

次回からはエリザベート&リオナ編、またはグレン&アーティス編になります。どちらになるかは作者の気分次第です。
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