こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第七章 それぞれの過ごす日々

アーティスの受難(2)

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 30分後、2人の姿は冒険者ギルドにあった。

「グレンとアーティだったか?お前ら2人だけなんて初めてじゃねぇか?珍しい」

 顔見知り程度の冒険者、デリーにそう声をかけられた。
 アーティスは涙ぐんでしまった。最近王都に来たばかりのグレンではなく、自分の名前が覚えられていない。

「……アーティです」
「おお、そうだったな。すまんすまん。それでお前ら2人でどうしたんだ?」

 軽く流され、アーティスは少なからず心にダメージを負った。

「……冒険者が冒険者ギルドにいてはダメですか?」

 まさか父親から逃げてきたとは言えず、アーティスは無難にそう答えた。

「いや、そうじゃないが……」

 デリーは言い辛そうに言葉を濁した。

「その、なんだ。もし良かったら俺らと一緒に依頼を受けてくれねぇか?Cランクの討伐依頼なんだが、この間ダウスの奴が怪我しちまってな。前衛の奴しかいねぇんだ。それだとちっと厳しくてな」

 デリー自身は剣士、残りのパーティーメンバーの2人も槍使いと短剣や針といった軽量武器を使う者で、見事に後衛をこなせる者がいなかった。

「ダウス?」
「ああ、覚えていねぇか?ほらいつも大弓を担いでいた奴だ」
「……もしかして頬に傷がある?」
「ああ、そいつだ」

 アーティスは素早く考えた。

(どうする?父上にはもう逃げたという連絡は行っているだろうし……。カモフラージュには丁度良いか?いや、でも万が一見つかったらこの人たちに迷惑が……)

 この間1秒にも満たない。

「……条件がありますが、良いですか?」
「条件?なんだ?言ってみな」
「……僕たちはちょっと今とある人物から逃げているところでして、もしかしたらご迷惑をおかけしてしまうかもしれません。それでも良ければ。あっ、別に悪いことをしたわけではないですよ」

 アーティスが出したのは哀切案とも言えるものだった。
 デリーは何かを探るようにアーティスたちを見た。

「……何か事情があるみたいだな。深くは訊かねぇが、それだけで良いならその話、受けさせてもらう」

 アーティスはホッと息を吐いた。

「それでお前たちは何も荷物を持っていねぇみてぇだが、出発は西門で1時間後で大丈夫か?」

 2人は改めて自分の体を見下ろして何も持っていないことにようやく気づいた。

「「あっ」」

 思わず顔を顰めた。

(まずい。着替えはアイテムボックスに入っていた予備の服を使ったから気づいていなかった。部屋の中だ。これなら普段からアイテムポーチをアイテムボックスに仕舞っておくべきだった)
(別に僕は武器がなくても大丈夫だが、アーティスは……無理だな)

 2人はどうするべきか必死に頭を働かせた。
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