こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第七章 それぞれの過ごす日々

アーティスの受難(4)

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「……この辺りだな」

 王都近郊の草原を一行は進んでいた。草原といっても背の低い木が所々に点在している。

「……よく考えたらCランクの討伐依頼としか聞いていないんですが、何の討伐依頼ですか?」
「……言ってなかったか?」
「……言ってません」
「……言ってなかったぞ」

 はっきりと断言した。

「すまんすまん。今日の獲物はファイアバードという魔物だ」
「……ファイアバード?僕たちがいなかったらどうやって戦う気だったんだ?」
「……何も考えていなかった」
「「……」」

 アーティスもグレンも何も言葉が出てこなかった。

「……俺たちも止めたんだ」
「……それなのに大丈夫だって言って聞きゃあしない」
「……終いにゃあ勝手に依頼を受ける」
「……まったく、つき合わせられる身にもなって欲しいよ」

 デリーのパーティーメンバーのロンとリンが順番に2人に話して聞かせた。

「……この間ダウスが怪我したのだって、デリーが勝手に依頼を受けたせいだっていうのに」

 ロンとリン、男女の違いはあれどよく似た双子は揃って溜息を吐いた。

「おいおい、2人ともそこまで言うことはないだろ?」

 デリーは心外だと言わんばかりに目を怒らせた。

「お黙り。あんたからは反省の色が窺がえないって言ってんだよ」

 アーティスは思う。

(名前にファイアが付くってことは、火を纏っているとか火を使って攻撃してくるとかだろ?どう考えても弓じゃ相性が悪いじゃないか)

 ひしひしとデリーへの怒りが沸いてきた。それと同時にロンとリンの気持ちがよくわかった。

「……次同じことをしたら俺たちはパーティーを抜けさせてもらうからな?」

 アーティスが考えている間にデリーへのお灸が据え終わった。

(……あれ?何か忘れているような?)

 歩きながらもアーティスは何か引っかかりを覚えた。

(……待てよ。さっきグレンが言ったのは僕がいなかったらだ。ってことは……)

 アーティスは血の気が引いていくのを感じた。

(グレンに《身体強化》以外の魔術の使用禁止を言ってなかった!)

 よく考えればグレンが戦闘をする機会など、身内しかいない状況の時にしかなかった。

(は、早く止めないと。でもどうやって……)

 ここには他の3人もいる。かと言って内緒話をするのも不自然だ。
 アーティスは焦る気持ちを必死に抑えながら考えた。

 王都を離れて一息吐けたものの、未だにアーティスの気が休まることはなかった。
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