こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第七章 それぞれの過ごす日々

アーティスの受難(8)

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 一方その頃アーノルドはとある人物を捜すのに必死だった。

(どこにいるんだよ!アーティス!)

 アーノルドの言動は粗野だが頭は良かった。普通16~18歳で入学する学園に14歳で入ったぐらいだ。だがそれでなぜガルティスから頻繁に言葉遣いでお叱りを受けるのかは謎だ。
 話が逸れた。何はともあれガルティスはアーティスがすでに王都内にいないことを見抜いていた。どこぞの馬鹿子爵とは違う。

「たく、どこにいんだよ」

 アーノルドがアーティスを捜す理由。それは兄たち2人に押し付けられた役割が自分1人では実行不可能だったからだ。

「俺に人望なんてねぇんだよ!」

 アーノルド、恋人はおろか友達すらもいない歴18年=年齢だった。それに比べアーティスは極々普通の人間程度に人に慕われていた。本人はだいぶ気にしているのだが、その言動がもとで怖がられていることを知らない。
 ともあれ、今回はそれなりの人望が求められていた。アーノルドは泣きそうだった。アーノルドとて18歳。友達の1人ぐらいは欲しかったのだ。

◇◆◇

「……結局僕たちがすべて倒すことになりましたね?」

 アーティスは機嫌が悪かった。それもそのはず、依頼の最低討伐数である5羽、すべてグレンと2人だけで仕留めることになったのだから。

「……悪かったって言ってんだろ?」

 デリーはもう何度目かもわからない謝罪を口にした。

「……何でも悪かったで済めば警備兵なんて要りませんよね?」
「そうだな。悪かったで済んだらこの世に犯罪者なんていないな」

 だがデリーを見るアーティスとグレンの目は冷ややかなものだった。ロンとリンも何も言わなかった。

 王都の門まで後20分ほどというところで不意にグレンは足を止めた。

「どうした?」

 グレンはいつになく真剣な表情をしてアーティスを見た。

「……馬が来る。アーティス、お前の名前を呼んでいるぞ」

 アーティスは顔を青ざめた。

「まさか……」
「十中八九お前の身内だろうな」

 それを聞いていたデリーは首を傾げた。

「馬なんて影も形も見えねぇぞ?」

 だが2人は近づいてくる馬の足音とアーティスの名を呼ぶ声を聞き取っていた。グレンは常人より鋭い聴覚で、アーティスは風を操ることで音を集めて。アーティスの顔色はグレンに教えられた直後より幾分和らいでいた。

 数分もしないうちに馬が視界に入ってきた。

「……なんでアーノルド兄さんなんだ」

 アーティスは誰にも聞こえないような声で呟いた。

「おっ、アーティス!」

 アーノルドはアーティスの姿を見とめると両手を大きく振った。

「……随分と立派な服を着ているが、アーティス、お前の知り合いか?」
「……ええ、まあ」

 アーティスは疲れがドッと襲ってくるのを感じた。

(なんでその格好なんだよ!?)

 アーティスの心労は絶えない。
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