こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第七章 それぞれの過ごす日々

アーティスの受難(13)

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「な、なんでだ?」

 アーノルドは流石にこうもハッキリと断られるとは思っていなかった。

「……失礼を承知で申し上げますが、1週間もしないうちに肉体的、精神的にボロボロになって仕事を追われるんですよ?あなたが私の立場なら、そんなところに大事な子どもたちを送り出したいと思いますか?」
「……」

 アーノルドは言葉を失った。確かに王都の一部の人間には嫌われているかもしれないと、覚悟はしていた。だが、シスターの言葉はそんな覚悟など薄氷のように簡単に粉々にしてしまった。

「少なくとも今の当主様であるうちは、すべてお断りします」
「……当主が代われば検討するんだな?」

 アーノルドは再度問いかけた。

「ええ。新たな当主様の人となりで判断させていただきます」
「……わかった。明日、遅くても明後日にもう一度来る。その言葉、忘れるなよ。……アーティス、グレン、一度兄貴たちと合流するぞ」
「……何度来られようと同じことです」

 シスターの言葉は淡々としていた。

「え~、兄ちゃんたちもう帰っちゃうのかよ。何か話してもらおうと思ったのによ」
「ねぇ?」

 子どもたちは不満気だった。

「ごめんな。これからすぐに行かなきゃいけないところがあるんだ。話なら今度来たときに好きなだけしてやるから」
「ホント!?」

 目が輝いた。

「ああ。嘘なんか吐かないぞ」
「……僕が知っている話ってあまりないんだけど」
「……アーティス、お前は体験談で十分だと思うぞ?」
「そう?」

 子どもをグレンが宥め、次回話をする約束をした。シスターはそんな子どもたちを止めるわけでもなく、ただ無言で見ていた。

「何してるんだ。行くぞ」

 アーノルドは子どもたちなどお構いなしにすでに外に足を踏み出していた。

「今行く!……じゃあ、またな!」
「「「「「「「またね~!」」」」」」」

 こどもたちの元気いっぱいな声に見送られ、3人は何の成果もないまま城の方に歩いていった。

「……格好は……このままでもなんとか大丈夫か」
「……そうなのか?」

 アーティスは自分の服装を見下ろして許容範囲内だと判断を下した。

「んっ、ああ。このローブ、材質はかなり良いものだからなグレンは……着替えた方が良いな」

 グレンはその辺の店で売っているような普通の服だった。一応念のため作りのしっかりした服自体は所持している。

「でもどこでだ?」

 その疑問は至極当然のことだった。

「……あっ」
「……そんなことだとは思ったよ」

 グレンは呆れた顔で溜息を吐いた。

「……兄さん、途中で一旦屋敷に戻って良い?流石にグレンはこの格好のままだとまずい」
「それぐらいなら良いぞ。どうせ通り道だしな」

 というわけで急遽行き先が変更し、3人はどこか重い空気を纏いながら歩を進めていった。

☆★☆★☆

次回はギルゲルムの話になります。

シスターの名前、決まっていないんですよね。何か案があれば出してくださると嬉しいです。
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