282 / 464
第七章 それぞれの過ごす日々
一方その頃……(2)
しおりを挟む
「……この情報はどうやって?」
「秘密です。非合法的なこと、倫理に反することは行っていないとだけ言っておきます」
国王の驚いた顔で多少落ち着いたのか、ギルゲルムは微笑んで答えた。
「……そうか」
「……話を戻しますね。領地全体で言えば農作物の収穫量は農耕地の面積を考慮し、国内の平均と比べると約1,2倍です」
「……待て、こちらに書いてある平均収入は国内平均以下だぞ。あり得ん」
国王は目を見開き、慌てて言われた項目を見比べた。
「……その理由ですが……こちらがグランファルト子爵領の税率になります」
税についてだけ分けて纏めていた紙を国王の前に出した。
「……税が収穫量の9割だと!?」
そこに書かれていた数字を見た瞬間国王の驚愕の叫びを上げた。
「あっ、すいません。こちらが税率です」
ギルゲルムは慌てて別の書類を出した。そこには収穫量の7割と、先ほどのものよりは大分ましだが、平均よりもかなりまだ高い数字が書かれていた。
「待て、それではここに書かれている数字は何だ?」
「……後にお渡したのが昨年の表向きの税、そして先にお渡ししたのが昨年のグランファルト子爵が出した税の草案になります」
その言葉に国王もジェロームも絶句した。
「……こんなに搾り取っては領民がまともに生活できぬぞ。……待てよ、表向きのと言ったな。それはどういう意味だ?」
ギルゲルムはニヤリと笑った。
「……こちらが実際の税率になります」
その言葉とともに出された紙には平均よりも少し多い5割と書かれていた。
「……どういうことだ?」
国王のギルゲルムを見る目が剣呑なものになった。
「……グランファルト子爵はあまり勉学の類が得意ではあられませんから」
ギルゲルムは満面の笑みを浮かべていた。
「……率直に申せ」
「……収穫物の品目別に書類を分けて、その数値で持っていったところ満足そうに判を押されました。大方、税が平均よりも多いことで満足したのでしょう」
「……流石に気づくのではないか?」
国王の後ろではジェロームが首を縦に振っていた。
「……ですが気づきませんでしたよ?グランファルト子爵はそういう男です。領主として統治する上でそれは致命的かと」
「……よく今まで持ちこたえたな」
国王は呆れたように呟いた。
「……10数年前までは優秀な臣下がいましたから」
「今はどこに?」
「……機嫌を害して屋敷から追い出されました。当時の者で残っている者はもういませんね。それからは私がそれとなく……」
ギルゲルムは曖昧な微笑みで誤魔化した。
「そうか……」
国王のギルゲルムを見る目は憐れみで満ちていた。
「……弟たちも何かと助けてくれましたし、それほど大変でもなかったですよ」
「秘密です。非合法的なこと、倫理に反することは行っていないとだけ言っておきます」
国王の驚いた顔で多少落ち着いたのか、ギルゲルムは微笑んで答えた。
「……そうか」
「……話を戻しますね。領地全体で言えば農作物の収穫量は農耕地の面積を考慮し、国内の平均と比べると約1,2倍です」
「……待て、こちらに書いてある平均収入は国内平均以下だぞ。あり得ん」
国王は目を見開き、慌てて言われた項目を見比べた。
「……その理由ですが……こちらがグランファルト子爵領の税率になります」
税についてだけ分けて纏めていた紙を国王の前に出した。
「……税が収穫量の9割だと!?」
そこに書かれていた数字を見た瞬間国王の驚愕の叫びを上げた。
「あっ、すいません。こちらが税率です」
ギルゲルムは慌てて別の書類を出した。そこには収穫量の7割と、先ほどのものよりは大分ましだが、平均よりもかなりまだ高い数字が書かれていた。
「待て、それではここに書かれている数字は何だ?」
「……後にお渡したのが昨年の表向きの税、そして先にお渡ししたのが昨年のグランファルト子爵が出した税の草案になります」
その言葉に国王もジェロームも絶句した。
「……こんなに搾り取っては領民がまともに生活できぬぞ。……待てよ、表向きのと言ったな。それはどういう意味だ?」
ギルゲルムはニヤリと笑った。
「……こちらが実際の税率になります」
その言葉とともに出された紙には平均よりも少し多い5割と書かれていた。
「……どういうことだ?」
国王のギルゲルムを見る目が剣呑なものになった。
「……グランファルト子爵はあまり勉学の類が得意ではあられませんから」
ギルゲルムは満面の笑みを浮かべていた。
「……率直に申せ」
「……収穫物の品目別に書類を分けて、その数値で持っていったところ満足そうに判を押されました。大方、税が平均よりも多いことで満足したのでしょう」
「……流石に気づくのではないか?」
国王の後ろではジェロームが首を縦に振っていた。
「……ですが気づきませんでしたよ?グランファルト子爵はそういう男です。領主として統治する上でそれは致命的かと」
「……よく今まで持ちこたえたな」
国王は呆れたように呟いた。
「……10数年前までは優秀な臣下がいましたから」
「今はどこに?」
「……機嫌を害して屋敷から追い出されました。当時の者で残っている者はもういませんね。それからは私がそれとなく……」
ギルゲルムは曖昧な微笑みで誤魔化した。
「そうか……」
国王のギルゲルムを見る目は憐れみで満ちていた。
「……弟たちも何かと助けてくれましたし、それほど大変でもなかったですよ」
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる