こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第九章 夏季休業

人間関係

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「……ちょっと待て。マリアちゃんたちはいったいどうやってシュタット前辺境伯様とお知り合いになったんだ?」

 我に返ったギルガルドは当然ともいえる疑問を口にした。

「どうやってと言われても……」
「気づいた時にはすでに知り合いだったからな」

 2人は困ったように苦笑いした。
 片やマリアは説明をする為には王族と知り合いだと言わなければならず、さらに追及されることは目に見えていた。
 一方アルフォードはもっとややこしい。生まれた時からどころか生まれる前からの付き合いであり、適当なことを言って誤魔化したところでどこかに必ずぼろが出る。誤魔化すには言葉を濁すしかない。

「……いや、なんで気づいたら貴族様の知り合いになってるんだよ!?」

 だがそんな言葉で誤魔化されるギルガルドではなかった。

「……そんなこと、私にわかるわけがありませんよ。人生は何が起こるかわからないんですし、そんなのいちいち気にしてたら身が持ちませんよ」
「……いや、そんなのって。それで済む問題か?」
「はい。爵位なんてただの肩書で、中身は私たちと同じ人間にすぎないんですから。ねぇ?アル」

 アルフォードはここで同意を求めるのかと、一瞬嫌そうな顔をする。

「……まあな。大事なのは肩書や身分ではなく、人としての中身だと思うぞ。少なくとも僕は権力を傘に着るような連中は大っ嫌いだしな。ベルジュラック公爵とかが良い例だろ?」
「……なんだか妙に説得力があるな」
「……それで納得できるとこがあいつの凄いとこだね」

 最近話題の人物が引き合いに出されたことで説得力が増していた。

「……儂は普通に接してもらえるのが一番なのだがなぁ」

 レリオンは深い深い溜息を吐いていた。

「変に敬われても逆に気疲れするしの。せめて年長者を敬う程度でお願いしたい。別にタメでも良いぞい」
「いや、流石にそれは……」
「貴族だからと畏まられる理由がよくわからんわい。それに今の儂は爵位をとうの昔に息子に譲った爵位も持たぬただの老いぼれだ」

 渋るギルガルドにレリオンは切り札を切る。

「……それで妥協してもらえぬのならちょっと王族を引きずり出してこようかの。王族命令なら聞かざるをえんだろう」

 王族は引っ張り出しても自分では命令する気がないらしい。

「「「「「「「えっ?」」」」」」」

 いきなりの王族を連れてくる宣言に全員が困惑する。若干顔色を変える者も1名。

「誰が良いかのう。サンディ様は最近忙しいしティーナ様が良いかの」
「「「「「……えっ?」」」」」

 王族を、それも国王と王妃を敬称を付けているとはいえ、愛称呼びしていることにさらなる困惑を呼ぶ。

「あっ、2人とも儂の古い友人だぞ?」

 新たなる爆弾の投下に場の空気が固まる。
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