こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第九章 夏季休業

貴族と魔術と今後

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「……サウリさんは私みたいに外見で侮られることがなくて良いじゃないですか」
「ソレニサイジャクハワタシ」
「えっ?」

 ベルの言葉に首を傾げる。

「……確かベルちゃんってBランクの魔物じゃなかったか?」

 一対一だったら絶対に俺の方が負けるだろうと、不可解そうな顔をする。

「本来はね。ベルは……今まで生き残っているのが不思議なくらい弱いから。多分ゴブリンにも負けると思う」
「はっ?」

 サウリの思考が停止する。

「それって弱すぎないか?ゴブリンなんて1体ぐらいだったらそこらの農民でも鍬で倒せる底辺の魔物だろ?大丈夫なのか?そのうち戦闘の流れ弾に当たって死ぬんじゃないか?」

 流石に今の話では誰だって心配になる。

「うん。だから最近ベルに魔術を教えてるの。ベル、頭だけは良いから」
「ムゥ。ソレハワタシニホカニナンノトリエモナイッテイウノ?」
「ごめんごめん。ベルは魔力量も多いし、筋も良いよ」

 頭を撫でながらそう宥める。

「……魔物も魔術、使えたんだな」
「……少なからず生き物は魔力は持っていますから。使い熟すにはある程度知力が必要ですけど」

 その言葉にサウリは目を輝かせる。

「それじゃあ俺にも使えるのか?」
「はい。訓練は必要ですし、魔力量、属性によってできる幅は変わりますけど」

 可能だと言われより一層顔を明るくする。

「……マリアちゃん、頼む。俺にも魔術を教えてくれ!」
「……別に構いませんけど」

 その言葉に顔を綻ばせる。

「本当か!?」
「ただ、実戦で使い物になるかどうかは魔力量次第ですし、属性を調べる道具もないですからかなり古典的な方法を取ることになりますけど、それでも良いなら」

 極稀にだが魔力をほとんど持たない者もいる。その確率は全属性の確率より低い。

「ああ、それで構わねぇ」

 サウリは自分の限界を感じていた。これから数年もすれば体は衰えていく。そもそもサウリが冒険者になったのは何をやっても平均以下のことしかできず、唯一先頭に関してだけは人並みの才能があったからだった。今後の生活を考えればできるだけ貯蓄は欲しかった。

「あっ、おじさんたちもよろしければ教えますよ」
「良いのか?」
「はい。魔術なんて貴族が自分の立場をより強固にしたいがために人に教えていないだけであって、法律上私が教えることに何の問題もないですから」

 身もふたない言葉にレリオンとアルフォードの貴族組が苦笑いする。

「その通りだ。儂も貴族が独占するよりは多くの者が使える方が良いと考えとる。いつになるか正確なところはわからんが、後10年もすれば平民でも魔術を使うのが当たり前の世になると思っておるよ。少なくとも今回粛清を免れた貴族は儂と似た思想を持っとる者が大半だ」
「えっ?」

 言われた言葉の意味がすぐには理解できなかった。
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