こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第九章 夏季休業

ある種の勇者

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「……何の音?」

 遠くから聞こえてきた鈍い打撃音にマリアは首を傾げる。

「あの推測が当たったかもしれないぞ」
「えっ?まさか……」

 マリアは笑い飛ばそうとした。
 だが現実はあまりにも無情だった。

「おお、2人とも久しぶりだな」

 角から各々の武器を手にした国王たちが現れ、マリアとアルフォードは引きつった顔を見合わせた。

「……前回お会いしたのは久しぶりというほど昔じゃないですよ」
「そうか?1週間も経てば昔だろう?」

 国王の後ろで宰相が頭痛がするのか額を押さえている。

「……今はそんな世間話をしている場合ではありません」
「んっ?ああ、そうだったな。そちらの者たちが今回同行している冒険者たちか?ギルガルドという者の仲間の」

 その言葉でマリアとアルフォードは最悪の予想が当たったことを悟った。誰もギルガルドの名など国王に伝えていない。

「……なんか頭痛がしてきた」
「……奇遇だな。僕もだ」

 いったいユニコーンたちは何をやらかしてくれたのだと、叶うことならば今すぐこの場にユニコーンを呼び出して問い詰めたかった。

「?どうした?違うのか?」
「いえ、あってますよ。あってはいますけど……」

 それ以上言葉が続かない。

「そうか。……私はサンドライト、こっちはエルマンだ。よろしく頼む」

 そんなマリアの複雑な心境に気づかなかったのか、はたまた気づいてはいるがあえて気づかなかった振りをしたのか国王はフェルトたち3人に向き直ると軽く挨拶をする。

「あっ、ご丁寧にどうも。ギルガルドとパーティーを組んでいるフェルトです」
「同じくダスケルです」

 2人とも何かを感じたのか普段よりも若干丁寧に自己紹介をする。
 後ろではらはらと見守っていたギルガルドがホッと息を吐いた。

「サウリだ。別にパーティーを組んでいるわけじゃねぇが一緒に行動させてもらっている」

 だがどこにでも空気の読めない者はいる。国王が──サンドライトが国王であると知っている者たちが直ちに顔色を変える。
 奇妙な沈黙がその場に満ちた。

「えっ?なんだ?俺何か変なこと言ったか?」

 部屋の空気が変わったことにサウリは戸惑いの声を上げる。

「いや、そんなことはない。私のことはサンディと呼んでくれ」

 国王が何事もなかったかのように愛称呼びを許可したことでようやく時間が動き始めた。一部の人間は驚愕の眼差しでサウリを見ていたが。

「わかった。サンディだな」

 サウリはそう軽く国王の名を呼んだ。眩暈がしたのかエリーザが部下の1人に肩を支えられていた。

「ところでサンディとマリアちゃんたちはどんな関係なんだ?」

 当然といえば当然の疑問。だがその言葉で場の空気が緊迫したものへと変わり、何と答えるのかと視線が国王に集まった。
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