こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第九章 夏季休業

理由

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「今さらすぎる質問なの」

 ベルが軽くマリアの頭を叩く。

「……キヅクノオソイ」
「ちょっとなんで叩くの!? 暴力反対!」

 思わず頭を押さえるマリアに、ベルは呆れたように言った。

「マリア、イツモイッテモキカナイ」
「うっ」
「ソレニ、ワタシガタタイテモドウセタイシタダメージナイ。ダカラモンダイナイ」
「そこなの!? これはそういう問題じゃないんだけど……」
「……ジャア、マリアダカラモンダイナイ」
「じゃあって何? じゃあって……?」

 喧嘩を始めてしまった2人を前にエーアリアスはどうすれば良いのかわからず、おろおろするだけだ。

「け、喧嘩は駄目なのよ」

 それでも意を決して発せられた言葉に2人は言い争いを止め、涙目なエーアリアスを見た後、揃って苦笑した。

「別に本気で喧嘩してるわけじゃないよ。これは……いつもの恒例行事みたいなものだから」

 エーアリアスはホッと息を吐くと、再度マリアを見た。

「……この船が見かけよりも広い理由、そんなもの決まってるの」
「えっ?」

 エーアリアスは不敵な笑みを浮かべる。

「この国は魔術国家なのよ? そんなの魔術を使ったに決まってるの」
「あっ」

 マリアは過去のフェジーの言葉を思い出していた。

「でも……空間拡張は大変なんじゃ……」
「確かにその通りではあるの。だけどバッグの中を広大な空間にするんじゃあるまいし、この船レベルの空間拡張なんて比較的簡単なの」
「簡単って……」

 あっさり言い切られ、マリアは呆然とする。

「まあこの国基準で比較的だから、よその国ならかなり高額なお金がかかると思うの」

 だがこの国では一般的な技術なのだとエーアリアスは笑った。

「すごい……リアは物知りだね」
「こ、これぐらい大したことないの。ただの一般常識レベルの知識でしかないのよ。断じて国の自慢をしたかったわけじゃないの」

 エーアリアスは早口でまくし立てると、謎が解けたなら早く行くのと言って早足になった。

「えっ? 別にリアがエーデル王国の自慢がしたかったとは一言も言ってないよ?」
「き、気にしちゃ駄目なのよ。それに私は国が好きなわけじゃないもの」

 マリアは苦笑した。

「……リアは本当、ある意味でわかりやすいよね」
「わ、わかりやすくなんてないの」

 エーアリアスの慌てる様子にベルはニヤニヤと笑っていた。

「べ、ベルも笑っちゃ駄目なのよ!」
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