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45二人きり
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サニーは人払いをした。泥鼠も灰鷹も少し離れたところからの警護を任じ、自室を覆うように強力な結界を張り巡らせる。
「私、閉じ込められたのかしら?」
あまりの念の入り様に驚いて、ルーナルーナはわざとおちょけた声を上げる。しかし、サニーはどこまでも真剣だった。
「そうだね。ずっと俺に囚われてくれたらいいのに」
サニーは、ルーナルーナを導いてソファに座らせる。自分もその隣に腰を下ろすと、思いつめたような顔で俯いてしまった。
二人共、緊張している。空気が張り詰めている。
口火を切ったのは、話があったはずのルーナルーナではなく、サニーの方だった。
「ルーナルーナ。俺からも話があるんだ。聞いてもらえないだろうか」
サニーの声は少し掠れている。ルーナルーナは姿勢を正して返事した。
「えぇ、聞かせて」
サニーはパンッと両膝を叩くと、その勢いで天井を見上げた。
サニーの賭けが始まった。
「俺は、ルーナルーナが思ってるほど綺麗な人間じゃない。隠してきたこともあるし、他人を妬んだり、八つ当たりすることもある」
「そりゃぁ、サニーも人間だもの。当たり前のことだと思うわ」
「違う! ほんとに、ほんとに酷い奴なんだ……」
ルーナルーナは、敢えて詳細を問い正そうとはしなかった。ルーナルーナとて、これまでの人生ではたくさんの苦しいことがあり、その度に自分の生まれや持ち色について悩み続けてきた。サニーだって、いろんな悩みや葛藤があるだろう。しかもサニーは王子だ。それだけでも一般庶民よりも気苦労することは多いはずだ。そんな中で、邪な考えを持つことがあってもおかしくは無い。
「ねぇ、サニー。完璧な人間なんていないわ」
「でも、ルーナルーナ。薄々気づいていると思うけど、俺は王家の闇を一手に引き受けている身だ。王が表立ってできないことをするということ。つまり……暗殺稼業だ」
言葉を絞り出すサニーはあまりにも痛々しい。ルーナルーナは見ていられなくなって、サニーの背中に手を回した。
「俺が殺してきた人間の大半は大罪人と呼ばれる者ばかりで、俺の殺しは王によって正当化されてきた。でも罪人達の罪にも様々な程度があって、その罪に至った経緯は王家に非があることも多い。それに、罪人にだって家族がいて、死んだ身内を前に嘆き叫ぶ姿なんて、腐る程見てきた。でも、そういうのが全部当たり前になっていって、だんだん人を殺しても何も感じなくなっていたんだ。俺はたぶん、人間として壊れてる」
ルーナルーナには、薄暗い部屋が一層暗くなったように感じられた。
「でも、俺は王子で、王位継承権第一位を持っている。それだけが俺の誇りであり、それを守ることだけがずっと生きがいだった」
サニーは腰から剣を下ろしてローテーブルに置くと、ソファに深く座り直す。
「でも、人生ってそれだけじゃないんだなって。そう初めて思えたのは……あの夜」
サニーがルーナルーナの手を取る。少し震えている。
「闇の女神がついに裁きを下すために俺の前へ現れたのかと思った。でもその女性は、生身の人間だった。そして、無条件に欲しくてたまらなくなったんだ」
「それって、私のこと?」
「そう、ルーナルーナのことだよ。こんなに何かを欲しいと思ったことはなかったんだ」
ルーナルーナは、サニーの熱い思いを肌で感じとっていた。サニーの瞳に吸い込まれて、二人が一つになってしまいそうな気がした。
「ルーナルーナ、俺は王子であることを辞められないし、王子だからこそ君と出会えたのだから、この生まれながらの役目を放棄するつもりはない。だから、とても辛いし、本当に我儘を言ってると思う。それでも、どうしても叶えたいことがあるんだ」
「サニー……」
「ルーナルーナ。これを言うのは、もう最後にする。そしてこれを君以外の人に言う日は、金輪際来ないと思う」
サニーは、すっと息を吸い込んだ。右手に魔力を集中させる。黒と金の光が小さく渦を巻いてキラキラ光り、さらに紫とピンクに瞬くクリスタルがホログラムのようにしてそこへ現れた。それをそっとルーナルーナの右手に近づけていく。ルーナルーナも見たことのない術式だ。
「ダンクネス王国第一王子サニウェルとして、闇の女神の如く優しく麗しい貴女、ルーナルーナと奇跡的に出会って、魅せられ、畏れ多くも恋してしまった一人の男として、告げる」
ルーナルーナは、手元にある不思議な色合いの魔術に目を奪われつつも、サニーの声が春の雨のように自分の体へ降り注ぎ、どこまでも深く深く浸透していくのを感じていた。
二人の目がピタリと合う。あの夜と同じように。ルーナルーナは息をするのも忘れた。
「ルーナルーナ。俺のものになってくれないか」
サニウェルはゆっくりと紫とピンクのクリスタル状のものをルーナルーナの手の上に移し変える。
「愛してる」
ルーナルーナの手に、サニウェルの魔術の結晶が完全に移った。ルーナルーナの顔も、その美しい色合いの光に染まって輝く。
「サニー、私……」
ルーナルーナの瞳が急激に潤んで、溢れ出した一滴がつっと頬を伝っていく。
(私、たぶんこの一言が欲しかったんだわ。誰のものでもない、サニーの声で、伝えて欲しかったのよ)
「私も、サニーを愛してるわ」
その瞬間、紫とピンクに輝くクリスタルは、ルーナルーナの手の中に吸い込まれて、その輝きはそのまま体の中を通って胸元に到達し、眩しい程の強い光を放ってから消えた。途端、胸の中には、甘くて切なくて苦しいほどの喜びが弾け飛ぶ。ルーナルーナは直感的に、『サニーと結ばれた』と理解した。
「サニー、私、あなたとずっと一緒にいたい。たくさんのことを背負って、それでも前を向いて歩み続けるあなたを尊敬しているし、そんなあなたを放っておけない!」
ルーナルーナの言葉には次第に熱を帯びていく。
「私を全面的に肯定してくれるあなたを、私は一生かけて肯定していきたいの。そのためならば、王妃にだってなるわ。どんな形でもいいの。やっぱり私は、あなたじゃなきゃ駄目なのよ」
「ルーナルーナ…!!」
二人は抱き合った。二人の間には、もはや世界も身分も歳の差も、いかなる物も遮ることのできない絆がある。髪一本分の隙間もできないように互いの体を寄せ合って、その存在感と、今、共に在る幸福を分かち合う。
ダンクネス王国は、ちょうど真夜中を迎えようとしていた。
サニーはルーナルーナの耳元で囁く。
「世界が再び二つに分かれたら、両国は交渉に入ると思う。そこで、正式にルーナルーナの全てを貰い受けたい。協力してくれないか」
「サニーのものになれるなら、どんな努力も惜しまないわ」
二人は体を絡み合わせるように抱き合って、ベッドへ横たわる。至福の眠りが二人を癒やした。
「私、閉じ込められたのかしら?」
あまりの念の入り様に驚いて、ルーナルーナはわざとおちょけた声を上げる。しかし、サニーはどこまでも真剣だった。
「そうだね。ずっと俺に囚われてくれたらいいのに」
サニーは、ルーナルーナを導いてソファに座らせる。自分もその隣に腰を下ろすと、思いつめたような顔で俯いてしまった。
二人共、緊張している。空気が張り詰めている。
口火を切ったのは、話があったはずのルーナルーナではなく、サニーの方だった。
「ルーナルーナ。俺からも話があるんだ。聞いてもらえないだろうか」
サニーの声は少し掠れている。ルーナルーナは姿勢を正して返事した。
「えぇ、聞かせて」
サニーはパンッと両膝を叩くと、その勢いで天井を見上げた。
サニーの賭けが始まった。
「俺は、ルーナルーナが思ってるほど綺麗な人間じゃない。隠してきたこともあるし、他人を妬んだり、八つ当たりすることもある」
「そりゃぁ、サニーも人間だもの。当たり前のことだと思うわ」
「違う! ほんとに、ほんとに酷い奴なんだ……」
ルーナルーナは、敢えて詳細を問い正そうとはしなかった。ルーナルーナとて、これまでの人生ではたくさんの苦しいことがあり、その度に自分の生まれや持ち色について悩み続けてきた。サニーだって、いろんな悩みや葛藤があるだろう。しかもサニーは王子だ。それだけでも一般庶民よりも気苦労することは多いはずだ。そんな中で、邪な考えを持つことがあってもおかしくは無い。
「ねぇ、サニー。完璧な人間なんていないわ」
「でも、ルーナルーナ。薄々気づいていると思うけど、俺は王家の闇を一手に引き受けている身だ。王が表立ってできないことをするということ。つまり……暗殺稼業だ」
言葉を絞り出すサニーはあまりにも痛々しい。ルーナルーナは見ていられなくなって、サニーの背中に手を回した。
「俺が殺してきた人間の大半は大罪人と呼ばれる者ばかりで、俺の殺しは王によって正当化されてきた。でも罪人達の罪にも様々な程度があって、その罪に至った経緯は王家に非があることも多い。それに、罪人にだって家族がいて、死んだ身内を前に嘆き叫ぶ姿なんて、腐る程見てきた。でも、そういうのが全部当たり前になっていって、だんだん人を殺しても何も感じなくなっていたんだ。俺はたぶん、人間として壊れてる」
ルーナルーナには、薄暗い部屋が一層暗くなったように感じられた。
「でも、俺は王子で、王位継承権第一位を持っている。それだけが俺の誇りであり、それを守ることだけがずっと生きがいだった」
サニーは腰から剣を下ろしてローテーブルに置くと、ソファに深く座り直す。
「でも、人生ってそれだけじゃないんだなって。そう初めて思えたのは……あの夜」
サニーがルーナルーナの手を取る。少し震えている。
「闇の女神がついに裁きを下すために俺の前へ現れたのかと思った。でもその女性は、生身の人間だった。そして、無条件に欲しくてたまらなくなったんだ」
「それって、私のこと?」
「そう、ルーナルーナのことだよ。こんなに何かを欲しいと思ったことはなかったんだ」
ルーナルーナは、サニーの熱い思いを肌で感じとっていた。サニーの瞳に吸い込まれて、二人が一つになってしまいそうな気がした。
「ルーナルーナ、俺は王子であることを辞められないし、王子だからこそ君と出会えたのだから、この生まれながらの役目を放棄するつもりはない。だから、とても辛いし、本当に我儘を言ってると思う。それでも、どうしても叶えたいことがあるんだ」
「サニー……」
「ルーナルーナ。これを言うのは、もう最後にする。そしてこれを君以外の人に言う日は、金輪際来ないと思う」
サニーは、すっと息を吸い込んだ。右手に魔力を集中させる。黒と金の光が小さく渦を巻いてキラキラ光り、さらに紫とピンクに瞬くクリスタルがホログラムのようにしてそこへ現れた。それをそっとルーナルーナの右手に近づけていく。ルーナルーナも見たことのない術式だ。
「ダンクネス王国第一王子サニウェルとして、闇の女神の如く優しく麗しい貴女、ルーナルーナと奇跡的に出会って、魅せられ、畏れ多くも恋してしまった一人の男として、告げる」
ルーナルーナは、手元にある不思議な色合いの魔術に目を奪われつつも、サニーの声が春の雨のように自分の体へ降り注ぎ、どこまでも深く深く浸透していくのを感じていた。
二人の目がピタリと合う。あの夜と同じように。ルーナルーナは息をするのも忘れた。
「ルーナルーナ。俺のものになってくれないか」
サニウェルはゆっくりと紫とピンクのクリスタル状のものをルーナルーナの手の上に移し変える。
「愛してる」
ルーナルーナの手に、サニウェルの魔術の結晶が完全に移った。ルーナルーナの顔も、その美しい色合いの光に染まって輝く。
「サニー、私……」
ルーナルーナの瞳が急激に潤んで、溢れ出した一滴がつっと頬を伝っていく。
(私、たぶんこの一言が欲しかったんだわ。誰のものでもない、サニーの声で、伝えて欲しかったのよ)
「私も、サニーを愛してるわ」
その瞬間、紫とピンクに輝くクリスタルは、ルーナルーナの手の中に吸い込まれて、その輝きはそのまま体の中を通って胸元に到達し、眩しい程の強い光を放ってから消えた。途端、胸の中には、甘くて切なくて苦しいほどの喜びが弾け飛ぶ。ルーナルーナは直感的に、『サニーと結ばれた』と理解した。
「サニー、私、あなたとずっと一緒にいたい。たくさんのことを背負って、それでも前を向いて歩み続けるあなたを尊敬しているし、そんなあなたを放っておけない!」
ルーナルーナの言葉には次第に熱を帯びていく。
「私を全面的に肯定してくれるあなたを、私は一生かけて肯定していきたいの。そのためならば、王妃にだってなるわ。どんな形でもいいの。やっぱり私は、あなたじゃなきゃ駄目なのよ」
「ルーナルーナ…!!」
二人は抱き合った。二人の間には、もはや世界も身分も歳の差も、いかなる物も遮ることのできない絆がある。髪一本分の隙間もできないように互いの体を寄せ合って、その存在感と、今、共に在る幸福を分かち合う。
ダンクネス王国は、ちょうど真夜中を迎えようとしていた。
サニーはルーナルーナの耳元で囁く。
「世界が再び二つに分かれたら、両国は交渉に入ると思う。そこで、正式にルーナルーナの全てを貰い受けたい。協力してくれないか」
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