自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第408話 迷宮都市 地下14階 丸椅子完成&囲碁教室

 翌日の午前中はキウイフルーツの収穫&薬草採取、午後からは丸椅子の組み立て作業を進める。

 まずは昨日の残り作業、130個分の補強材を丸座面に木工用ボンドで貼り合わせていく。
 それが済んだら、電動ドリルを使用して4ケ所ネジを入れる。
 
 数をこなしている間に、大分手付きが慣れてきた。
 ただ、油断していると怪我をする元になるので要注意だ。

 電動工具は取り扱いを間違えると大惨事になる可能性がある。
 兄に心配されたように、手に穴が開いたりしてからでは遅い。

 残り4日間をかけて全ての脚を付け終わり、全部で180脚の丸椅子が完成した。
 完成した大人用の丸椅子に座り出来を確認する。

 うん、ガタガタもしないし初めて作ったにしては上出来かも?
 全部を自分で作った訳じゃないけど、これは自慢しても良いと思う。

 後は、食事時のテーブルが必要なんだけど……。
 これは、ガーグ老の工房で注文した方が早そうね。

 その後も問題なく5日間の攻略は終了。

 旭が換金。
 ファングボアの肉5体を引き取り、肉屋にファングボアの肉3体を卸す。
 シルバーとフォレストは、冒険者ギルドを出た後でホームに連れ帰った。

 以前リバーシを製麺店の従業員に教えた時に、兄に将棋か囲碁を教えてもらえないか確認するのを忘れていた事を思い出した。

 将棋は漢字が読めないと意味が分からないだろう。
 囲碁なら大丈夫かな?

「お兄ちゃん、これから『製麺店』に寄ってもいい? 出来れば囲碁の仕方を教えてあげてほしいの」

「囲碁? あぁ、この世界には娯楽が少ないからな。旭も出来るから2人で教えるよ」
 
「わぁ~囲碁なんてするの、何十年振りだろう。まだルール覚えてるかな?」

「大丈夫だろう。やっていく内に思い出すさ」

「ちょっと不安だけど……」

 兄はこころよくOKしてくれたので、そのまま『製麺店』に歩き出す。
 囲碁に必要な物はアイテムBOXに入っているので問題ない。
 アパートの住人さんは、趣味人が多かったようだ。

 店内に入ると、本日の料理当番の人が野菜を手にしたままこちらに向かってきた。

「こんばんは。これから夕食の準備ですか?」

「オーナー、いらっしゃい! はい、丁度今から作ろうとしてました」

 それなら、今日の夕食は私が作ってあげよう!

「じゃあ一緒に作りましょう。今日は皆に新しい遊びを教えにきたので、部屋にいる人達を呼んできてもらってもいいですか?」

「そりゃ楽しみですね、今から呼んできます!」

 人参・・を手に持ったまま、彼は呼びに行ってしまった……。
 
 囲碁は本来正座で打つ物だけど、異世界で正座は馴染みがないだろうなぁ。
 少し打ちにくいかもしれないけど、5台のテーブルの上に碁盤ごばんと白・黒の碁石ごいしをセットした。

 後は2人に任せておけばいいだろう。
 私は、夕食当番の人と料理の準備開始。

 食べた事がない物にしようと、夕食は『ナン』を2枚使用した『カツサンド』にする。
 キャベツを千切りに切ってもらい、私は厚切りのハイオーク肉に小麦粉・卵液・パン粉を付けて揚げていく。

 そういえば、『製麺店』の従業員達は揚げ物を食べるのは初めてだったかしら?
 『バーベキュー』と『鰻の蒲焼』は、披露ひろうした覚えがあるんだけど……。

 『肉うどん店』の母親達みたいに教会の炊き出しには参加しないから、新しい料理を食べる機会が少ないのかも知れない。
 
 同じ従業員に差があってはいけないので、気をつけるようにしなくちゃね。
 帰りにソースの壺も渡しておこう。

 ナン種を四角い状態に伸ばし、フライパン2枚で同時に焼き上げる。
 時短のためオーブン代わりに、表面はファイヤーボールの魔法を使用した。
 
 焼けた『ナン』の上に千切りキャベツ・揚げたてのカツを載せ、上からソースを掛けてもう一枚の『ナン』に挟めば完成だ。

 食べやすく4等分に切って皿に盛る。
 カツの厚みが3cmもあるので、食べ応え充分だろう。

 料理担当者と2人でカツサンドを作り終わり従業員達を見てみると、兄と旭の囲碁勝負を真剣な表情で見ていた。

 リバーシは簡単な遊びで私も教える事が出来たけど、囲碁は流石さすが門外漢もんがいかんで分からない。
 兄と旭は子供の頃に祖父や父とよく対局をしていたので、初心者相手に多面打ちも出来るだろう。

「夕食が出来たので、皆さん一旦いったん席に着いて食事にしましょう。今日のメニューは『カツサンド』です」

 私が夕食が出来たと声を掛けると、従業員達が素早く席に着いたので笑ってしまう。
 料理を作る時の匂いにやられて、お腹が空いてしまっていたのかな?

 『カツサンド』が盛られた皿を、テーブルの上に置いていく。
 全員に配り終えた所で、「いただきます!」と声を出し皆が料理を手に取った。

「旨い! 何だこれっ!」

「このサクサク感といい、初めて食べたけど『カツサンド』は最高だ!」

 気に入ってもらえて良かった。
 豚カツは、男の人は好きだと思う。
 兄の大好物だしね~。

 2人も今日はソース味なので嬉しいだろう。
 カツも厚めに切ってあるし。

 温かい紅茶と一緒に、私も『カツサンド』を食べる。
 これは片手で食べる事も出来るので、この世界のパンに挟んで作ってほしい。

 料理担当者には揚げ物の作り方を教えておいたから、オーク肉や迷宮サーモンを使用した料理が増えるといいな。

 その夜は、遅くまで『製麺店』にいる事になった。

 皆、新しい遊びの囲碁に夢中だ。

 私と一緒に料理をしていた彼だけがルールを覚えられずしょんぼりしていたので、一緒にリバーシをする事にした。
 きっといつも仕事終わりに皆で遊んでいたのだろう、最初より随分ずいぶんと強くなっていて驚く。

 でも、まだまだ私の方が強いわよ!
 負けないからね!

 兄と旭は2面打ちをしている。
 まぁ、初心者相手だから勝てるだろう。

 ここで一番強くなりそうなのは、やはりバスクさんかな?
 Lvが高いと知力も上がるからね~。

 全員の対局が終了する頃には23時を過ぎていた。
 兄も旭も、久し振りの囲碁を楽しんだみたいで機嫌が良い。

 旭は一度も兄に勝てなかったけどね……。
 子供達の遊び道具も考えておかないと。

 最後にオリーブ油・ソースの壺と梨を5個お土産として渡し店を出た。

 今日は飲みに行けなかったけど、後で2人は晩酌ばんしゃくでもするだろう。
 明日は休みの日だから、寝るのが遅くなっても大丈夫だよ。
 
 従業員のために囲碁を教えてくれた2人に感謝しながら、私は眠りに就いたのだった。

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