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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第568話 迷宮都市 MAXポーションの販売
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私が覚えた違和感の正体については後で考えよう。
今は『MAXポーション』の販売数を決める必要がある。
「ゼリアさん。『毒消しポーション』は毎週60本の浄化をしていますが、『MAXポーション』は何本にしますか?」
「そうさね、『毒消しポーション』よりは多い方がいいだろう。100本頼もうか。こちらはヒール代を、1本毎に銀貨30枚(30万円)支払うよ。販売価格は銀貨40枚(40万円)にしておこう」
エクスポーションが銀貨30枚(30万円)だから、本来のエリクサー金貨1枚(100万円)を考えるとかなり破格な設定だ。
これで助かる命が増える!
兄達は毎週ポーションへ浄化30本とヒール50本を掛ける必要があるけど、ハイエーテルを飲めば大丈夫だろう。
「じゃあ、追加のポーションを準備してくるよ」
ゼリアさんはそう言い、ポーションを取りに部屋を出ていった。
彼女がいなくなったので、私は先程覚えた違和感を確認しようと口を開く。
「お父さん。どうしてゼリアさんを、ゼリア様と呼んだの?」
「あぁ、それは……。ガーグ老から彼女が獣人だと聞いていたからだ。白狼族という種族で、かなり長命らしい。見た目は80代だが、実際は数百歳だろう。俺よりかなり年上の方に、お願いをするんだから敬称を付けた方がいいと思ってな。それに、薬師ギルドは教会と対立している組織でもある。賢也達の情報が漏れた場合は、頼る場所も必要だ」
えっ?
ゼリアさんは獣人だったの?
じゃあリースナーの冒険者ギルドマスターをしている、お爺ちゃんも獣人なのか……。
迷宮都市の副ギルドマスターであるウォーリーさんはハーフ獣人だけど、身体的特徴は何もなかった。
「白狼族?」
兄はゼリアさんの種族が気になったらしい。
珍しく、種族名を口にし首を傾げている。
耳や尻尾が付いてないから不思議に思ったのかしら?
「じゃあ、エリクサーの原料もガーグ老から聞いたの? そういうのは、秘匿されてると思うけど……」
「いや実際の原料は知らない。ただ、味が違うらしいから異なると思っただけだ」
そういえばシルバーの背に初めて乗った時、落ちてエクスポーションを飲んだな。
リンゴジュースみたいな味がして美味しかった覚えがある。
エリクサーは、どんな味がするんだろう?
「そう……。後ね、ゼリアさんがお父さんを知っているように見えたんだけど?」
「ほら、沙良が少し彼女はボケてると言っていたから誰かと勘違いしたんだろう。訂正するのも悪いし、話を合わせたんだよ」
「ふ~ん」
なんだろう?
私の質問に対し、父がまるで用意した言葉を返しているような感じがする。
疑惑が拭えないまま、ゼリアさんが戻ってきた。
テーブル上に100本のポーションが並べられる。
兄達がポーションへ次々ヒールを掛けていく。
魔力が不足したのか、途中でハイエーテルを飲みながら50本完成させた。
これは浄化と違い魔法が光ったりせず、見た目の変化がなく見ても楽しくない。
ゼリアさんから浄化代とヒール代を受け取り、薬師ギルドを後にした。
MAXポーションの販売は月曜日になるそうだ。
今回兄達が使用したヒールLvは、浄化と同じLv2で消費MPは15。
これは昨日、父が鑑定しながら確かめたらしい。
浄化Lv2の消費MP20×30で600とヒールLv2の消費MP15×50で750。
合わせて1,350の魔力が必要になる。
Lv30で基本値が50の兄は魔力量が1,550あるけど、旭は基礎値が45なので1,395しかない。
魔力酔いは大丈夫か心配したけど、2人は平気な顔をしていたから問題なかったようだ。
薬師ギルドからそれぞれの従魔に乗り、異世界の家へ移動。
庭からホームへ戻り、今日は休日なので好きに過ごす。
といっても、私と父はセイさんへ会いにいくんだけどね。
兄達はジム通いだから、お昼は外食にするだろう。
マンションを設定した時、ホテルのフィットネスクラブの会員証が有効だったらしく兄が喜んでいたから、きっとそこへ旭といくんじゃないかな?
旭はまた会員証を発行する必要がありそうだけど、異世界のお金を日本円に換えれば済む話だ。
父へ目配せし私の家にきてもらう。
セイさんは宿泊先のホテルにいるかな?
時間的にお昼前だから昨日飲んでいれば、まだ寝ているかも知れない。
マッピングを使用し部屋を覗くと、セイさんは髪を乾かしている所だった。
シャワーを浴びた後なのか、腰にバスタオルを巻いている。
あぁ、このマッピング能力は使い方が難しい。
少し前ならシャワー中だったかも?
携帯がホーム内だけでも使えると便利なんだけどなぁ。
「お父さん、セイさん部屋にいたよ。出掛ける準備をしてるから、ホテルのロビーで待ってようか」
「お昼は好きな物を食べさせてやろう」
そう父が太っ腹な事を言ったので、私は豪華な昼食を期待しつつホテルのロビーへ移転する。
部屋から出てきたセイさんがリクエストした料理が、チェーン店のカレーだったのは非常に残念だった。
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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今は『MAXポーション』の販売数を決める必要がある。
「ゼリアさん。『毒消しポーション』は毎週60本の浄化をしていますが、『MAXポーション』は何本にしますか?」
「そうさね、『毒消しポーション』よりは多い方がいいだろう。100本頼もうか。こちらはヒール代を、1本毎に銀貨30枚(30万円)支払うよ。販売価格は銀貨40枚(40万円)にしておこう」
エクスポーションが銀貨30枚(30万円)だから、本来のエリクサー金貨1枚(100万円)を考えるとかなり破格な設定だ。
これで助かる命が増える!
兄達は毎週ポーションへ浄化30本とヒール50本を掛ける必要があるけど、ハイエーテルを飲めば大丈夫だろう。
「じゃあ、追加のポーションを準備してくるよ」
ゼリアさんはそう言い、ポーションを取りに部屋を出ていった。
彼女がいなくなったので、私は先程覚えた違和感を確認しようと口を開く。
「お父さん。どうしてゼリアさんを、ゼリア様と呼んだの?」
「あぁ、それは……。ガーグ老から彼女が獣人だと聞いていたからだ。白狼族という種族で、かなり長命らしい。見た目は80代だが、実際は数百歳だろう。俺よりかなり年上の方に、お願いをするんだから敬称を付けた方がいいと思ってな。それに、薬師ギルドは教会と対立している組織でもある。賢也達の情報が漏れた場合は、頼る場所も必要だ」
えっ?
ゼリアさんは獣人だったの?
じゃあリースナーの冒険者ギルドマスターをしている、お爺ちゃんも獣人なのか……。
迷宮都市の副ギルドマスターであるウォーリーさんはハーフ獣人だけど、身体的特徴は何もなかった。
「白狼族?」
兄はゼリアさんの種族が気になったらしい。
珍しく、種族名を口にし首を傾げている。
耳や尻尾が付いてないから不思議に思ったのかしら?
「じゃあ、エリクサーの原料もガーグ老から聞いたの? そういうのは、秘匿されてると思うけど……」
「いや実際の原料は知らない。ただ、味が違うらしいから異なると思っただけだ」
そういえばシルバーの背に初めて乗った時、落ちてエクスポーションを飲んだな。
リンゴジュースみたいな味がして美味しかった覚えがある。
エリクサーは、どんな味がするんだろう?
「そう……。後ね、ゼリアさんがお父さんを知っているように見えたんだけど?」
「ほら、沙良が少し彼女はボケてると言っていたから誰かと勘違いしたんだろう。訂正するのも悪いし、話を合わせたんだよ」
「ふ~ん」
なんだろう?
私の質問に対し、父がまるで用意した言葉を返しているような感じがする。
疑惑が拭えないまま、ゼリアさんが戻ってきた。
テーブル上に100本のポーションが並べられる。
兄達がポーションへ次々ヒールを掛けていく。
魔力が不足したのか、途中でハイエーテルを飲みながら50本完成させた。
これは浄化と違い魔法が光ったりせず、見た目の変化がなく見ても楽しくない。
ゼリアさんから浄化代とヒール代を受け取り、薬師ギルドを後にした。
MAXポーションの販売は月曜日になるそうだ。
今回兄達が使用したヒールLvは、浄化と同じLv2で消費MPは15。
これは昨日、父が鑑定しながら確かめたらしい。
浄化Lv2の消費MP20×30で600とヒールLv2の消費MP15×50で750。
合わせて1,350の魔力が必要になる。
Lv30で基本値が50の兄は魔力量が1,550あるけど、旭は基礎値が45なので1,395しかない。
魔力酔いは大丈夫か心配したけど、2人は平気な顔をしていたから問題なかったようだ。
薬師ギルドからそれぞれの従魔に乗り、異世界の家へ移動。
庭からホームへ戻り、今日は休日なので好きに過ごす。
といっても、私と父はセイさんへ会いにいくんだけどね。
兄達はジム通いだから、お昼は外食にするだろう。
マンションを設定した時、ホテルのフィットネスクラブの会員証が有効だったらしく兄が喜んでいたから、きっとそこへ旭といくんじゃないかな?
旭はまた会員証を発行する必要がありそうだけど、異世界のお金を日本円に換えれば済む話だ。
父へ目配せし私の家にきてもらう。
セイさんは宿泊先のホテルにいるかな?
時間的にお昼前だから昨日飲んでいれば、まだ寝ているかも知れない。
マッピングを使用し部屋を覗くと、セイさんは髪を乾かしている所だった。
シャワーを浴びた後なのか、腰にバスタオルを巻いている。
あぁ、このマッピング能力は使い方が難しい。
少し前ならシャワー中だったかも?
携帯がホーム内だけでも使えると便利なんだけどなぁ。
「お父さん、セイさん部屋にいたよ。出掛ける準備をしてるから、ホテルのロビーで待ってようか」
「お昼は好きな物を食べさせてやろう」
そう父が太っ腹な事を言ったので、私は豪華な昼食を期待しつつホテルのロビーへ移転する。
部屋から出てきたセイさんがリクエストした料理が、チェーン店のカレーだったのは非常に残念だった。
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